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黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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EXTRA STAGE 02 下と上が交わるとき(後編)

「そこまでですっ」
「はぁ~」

メリロットの一言に、地面に膝をついたのはガイ達であった。

「な、なんだったんだ」
「は、歯が立たない」

アルバートの言葉に続いてつぶやくガイの視線の先には、息を切らして疲れ切った様子のクルセイダースと疲れた様子も見せずに立っている浩介に向けられていた。

「さすがは、魔界最強と言われていた人だね。あれだけの戦いで息も切らしていないよ~」
「本当だ。何だか背筋が寒くなってきた」

レゾンの指摘に、自然に立っている浩介を見たセーナはひきつった表情を浮かべる。

「今回の試合の結果ですが……」

そんな彼らをしり目に、メリロットはこの試合の結果を口にする。

「――引き分けです」

その言葉に、あたりは一瞬静寂に包まれる。

「えっと、どうしてですか?」
「第一に、両者ともに互角の攻め合いをしていたこと」

ガイの問いかけに、メリロットは目を閉じながら人差し指を立てて理由を話し始める。

「二つ目に、高月君たっての希望で”自分の戦力を加味せずに勝敗をつける”という願いがあったから。の二点になります」
「……なんだ?」

メリロットの説明が終わると同時に周囲から浴びせられる視線に、浩介は腕を組みながら反応する。

「つまり、これは情けをかけられたということか」
「情け……ねぇ」

アルバートの解釈に、浩介は何とも言い難い表情でつぶやくと鼻で笑い一蹴する。

「勘違いも大概にしろ。私は確かにハンデキャップのようなものを提言した。だが、それは情けではなく別の目的があったからだ」
「別の目的?」
「ズバリ、データの収集だ」

その言葉に、再び静寂に包まれる。

「僕を含めた戦いで最も効率の良いパフォーマンスを引き出すためには実戦に近いデータが必要。だから、今回はそれに利用させてもらった」
「それじゃ、俺たちは実験用の駒と言うわけか?」
「そういうわけではない。お前たちの強さを認めたうえで、データを取ったまでだ。そうじゃなければ、一瞬で片を付ける」

神剣をしまいながら、浩介はそう答えるとやれやれと言わんばかりに手を広げる。

「お前たちには、最高の敬意を与える。この言葉に嘘偽りはない」
「ど、どうも」

浩介の言葉に、思わずお礼を言ってしまうセーラ。

「で、あんたらは落ち着いたか? いい加減話すネタがなくなってきて困ってるんだけど」
「別の意味で落ち着かないというか」
「心臓に悪いよ」

浩介がシンたちに声をかけると苦笑しながらナナカとシンが答える。

「そうよ! いきなり喧嘩を吹っ掛けないでよね」
「失礼な。向こうが頓珍漢なことを言うから指摘を――あいたぁっ!?」
「だから、やめなさい!」

浩介の言葉を遮って鉄拳をふるう聖沙にレゾンたちは吹き出した。

「笑うなっ!」
「はいはい、皆さん落ち着いてください」

これ以上は収拾がつかなくなると判断したのか、メリロットはガイたちの方へと向かおうとするのを止めながら落ち着くように促した。

「まだあなたたちが戻るまでには時間がありますが、どうしますか?」
「え、僕が決めるんですか?」

突然聞かれたシンは目を丸くしながらメリロットに言葉を返した。

「当然です。咲良君はここ流星学園生徒会の会長です。この場ではあなたに決定権があります」

メリロットは何を驚いているんだといわんばかりに、シンに答える。

「それじゃ……」

しばらく考え込んだ後で、シンはこの後のことについて口にするのであった。










「で、ひとつ聞きたいんだけど」
「な、何かな?」

浩介から浴びせられるジト目に、シンは視線をそらしながら尋ねる。

「どうして、僕たちはここにきているんだ?」
「そ、それはあれだよ! スイーツと言えばここ! みたいな」
「シン様、それはさすがに無理があるぜ」

浩介の問いかけに、シンは人差し指を立てて答えるが、そんなシンにパッキーがため息をつきながら相槌を打った。

「しかも僕の奢りになってるし」
「そうおっしゃっていただけるとありがたいですわ」

浩介のボヤキを退けるように、『ショコラ・ル・オール』の店長、冬華は笑顔で相槌を打っていた。

「………」

浩介は無言で半ば貸切状態にもなっている店内を見回す。

「やっぱりチョコレートは定番よね!」
「くくく、これはウェストアップは確じ―――チョコリエール!?」

浩介の視線の先では、おいしそうにチョコレートケーキを頬張るセーナに、腹黒い笑みを浮かべながら口を開くパッキーに、容赦ない攻撃を加えるセーナ。
そのほかのメンバーもワイワイとケーキを口にしていた。

「………すみません」
「は、はい。何でしょう?」

それを見渡した浩介のドスの利いた声色に、若干ドモリながらも用件を尋ねる冬華に、浩介は用件を告げた。

「ここにあるケーキ、全てください」
「は、はい。でも、大丈夫なんですか?」

経営者としては非常にうれしい注文ではあったが、人として不安に駆られた冬華が浩介に心配そうに尋ねた。

「ええ、大丈夫ですよ。あはははは」
「そ、そうですか。少々お待ちください浩介のただならぬ様子に若干引きながら逃げるように去っていった」

こうして、実戦訓練を兼ねた戦いは、ひとまずの終焉を迎えた。





一方その頃、流星学園の理事長室では。

「やぁっ、もうやめてぇっ!」
「グヘヘヘ、よいではないか。よいではないか」

過激なスキンシップをされているリアの姿があったとかなかったとか。

「誰でもいいから、助けて~~~!」

そんなむなしい叫びが響き渡るのであった。

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