昼休みも終わり、俺は授業を受けていた。
科目は算数だ。
「三角形の内角の和は180度です。よってこの角度は――――」
その授業を聞きながら、俺は昼休みに師匠が話した魔法講義の事を思い出した。
【魔法と言うのは俗にいう、奇跡を起こす力だ】
最初の出だしはそれだった。
魔法使いともなれば、俺の友人たちの間では一種の夢物語な内容だ。
大人になって行くにつれて、そんなものは存在しないと考えるようになってしまう。
でも、俺は言い続けるだろうし、信じる。
魔法使いは実際にいるんだ、と。
【もちろん一般人には使うことはできず、この力が使える者は絶大な力とそれ相応の責任が追い求められる】
【責任?】
突然出てきた思い言葉に、俺は聞き返してしまった。
【そう、責任だ】
師匠は頷くように答えると言葉を続けた。
【魔法は人を幸せにしたりすることもできる反面、人を殺したり傷つけたりする武器にもなる】
それは、とても重い言葉だった。
”魔法”という漠然とした理想像に隠された思い言葉だった。
【だから魔法と言う力を使うのであれば、覚悟を決めることだ。これからもお前は人を傷つけたり殺めることがあるだろうからな】
まさかと思いたかったが、それはできなかった。
なぜなら昨日、俺はすでにその兆しを見たからだ。
(もし、師匠たちが来るのが遅れていたら……)
考えただけでも俺はぞっとした。
【そうだ。そのように力の恐ろしさを認識できただけで、お前は少し強くなった】
師匠はそんな俺にどういう威とかは分からないけど、声をかけてくれた。
【少しでも強くなれるように……自分の身を自分で守ることが出来るようにするために、今日の放課後から本格的に特訓を始めるぞ】
【はい!!】
俺は師匠の宣言に返事を返す。
かくして、俺の魔法の特訓はこの後から本格的になるのであった。
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