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黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第5話 思わぬ出会い

師匠の特訓という出来事を除けば、いつも通りと思われた一日は、先生の一言で変わり始めた。

「さて皆さん。実は先週急に決まったんですが、今日から新しいお友達がこのクラスにやってきます。海外からの留学生さんです。フェイトさん、どうぞ」
「し、失礼します」

教室に入ってきたのは、金髪のツインテールで目の色が赤い少女だった。

「あの、フェイト・テスタロッサと言います よろしくお願いします」
その少女がお辞儀をすると、クラス中から拍手が沸き起こった。
近くの人が『あの子、かわいい』と言っている声が聞こえた。

(あれ、あの子は)

その少女と、前に会っていた。
少女は俺の顔を見ると、一瞬目を見開かせるが、すぐに元に戻った。

(………まあ、いいか)

俺は出会った経緯を思い起こそうとするのを止めると、先生からの連絡事項を聞くのであった。










「ねえ、向こうの学校ってどんな感じ」
「あ、あの私、学校には――」

休み時間、テスタロッタさんの周りにクラスメイトたちが質問を投げかけていた。
俺はと言えば、特に興味もないので、遠くで静観している。

「すっげえ急な転校だよね、なんで?」
「そのっ、色々あって―」
「日本語上手だね、どこで覚えたの?」
「どこに住んでたの?」

どうでもいいが、彼女は困っているようだった。
いい加減に止めようとした時だった。

「テメェ、俺のフェイトに手を出すんじゃねえよ!」

あー、視界の片隅で阿久津が怒鳴りながらクラスメイトを脅している。
脅されているクラスメイトは、手が震えていた。
さすがにかわいそうだろと思い、俺は阿久津の元に向かおうとした時だった。

「はいはい、転入初日の編入生をそんなにみんなでわやくちゃにしないの」
「アリサ」
「それに質問は順番に、フェイト困ってるでしょ」

アリサによってその場はなんとか鎮静化したのだった。

「さすがは俺のアリサ!」

阿久津の方も、クラスメイトのことなど気にしたことのない様子で称賛の声を上げていた。
その隙に脅されていたクラスメイトは逃げて行った。

(……まあ、いいか)

人助けをするタイミングがおかしいの何ていつもの事だと思いながら、俺は自分の席に戻るのであった。










そして昼休み。

「ささ、あんたも座って座って」
「あ~誰かさんに引きずられたせいで、腰が痛い」

俺はアリサに(半強制的に)屋上に連れてこられていた。

「はいはい。へんなこと言ってないで自己紹介」
「……山本 真人です。よろしく」
「わ、私は……フェイト・テスタロッサ。よろしく、ね?」

いや、なんで疑問形?
取りあえず、自己紹介は無事に(?)終わった。

「それじゃ、お昼を食べるわよ!!」

と言うことで昼食となったのだが……。

「あ、真人君のお弁当おいしそうだね」
「ほんとね~、これと交換でいい?」
「いや、聞いておきながら、もう交換してるし」
「良いじゃない! あんたはあたしたちのお弁当が食べられるんだから! ……おいし」

とまあこんな感じで、お弁当の中身はどんどんと変わっていく。
ちなみに、母さん作だ。

【ふむ……女子とのおかず交換か……中々にしてモテモテのようで何よりだ】
「っ!!?」

俺は突然頭の中に響くような感じで聞こえてきた声に、思わずベンチから立ち上がってしまった。

「ど、どうしたのよ? いきなり立ち上がったりなんかして?」
「あ、いや、なんでもない」

俺は怪訝そうな様子で聞いてくるアリサにそう答えると、再びベンチに腰かけた。

【思念通話だ。心の中で喋ればいい】

その声は、ため息交じりにそう呟いた。

【一体なんですか?】
【何、お前さんに魔法について色々と知っておいて貰おうと思ってな】

師匠の答えに僕はどうしてだろうと内心で疑問を感じた。

【時間の関係上だ。これをすれば放課後の鍛錬の方も少しは効率がよくなる】

思わずなるほどと頷きそうになる。
でも大丈夫なのだろうか?

【安心しろ。学業に支障が出ないレベルで話していく】

俺の疑問が分かったのか師匠はそう答える。

その答えを聞きながら、俺は横目で今日転校してきた女子の方を見る。
やはり間違いない。
彼女だ。
あの時・・・の少女だ。

【では、始めるぞ】

師匠のその言葉を聞きながら、俺はあの時のことを思い起こすのであった。

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