健康の意識 忍者ブログ

黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第24話 過去(後篇)

退院して数日が立った。
周りが真っ暗なのと、足が動かないことから管理局の隊員の人が宿舎の方へと連れて行ってくれた。
その道中、俺は色々な事を隊員から聞いた。
まず、なのはは教導官として滞りなく働いていること、そして俺は『エース・オブ・エースを身を挺して守った騎士』と評価されたことと、階級が二等空佐に上がった。
後、健司が俺の部下でもありデバイスマスターのアリスと婚約をしたこと。
最後のはかなり驚きだったが、それ以上に驚きだったのは、俺の評価だ。
まさか階級を上げられるとは、思ってもいなかったのだ。

「レジアス中将、山本二等空佐をお連れしました」
「入りたまえ」

中からレジアスさんの声がする。
そして俺は隊員の人に車いすを押される。

「お前は外で待っていろ」
「はっ!」

レジアスさんの指示に、隊員はそう答えると去って行った。

「さて、まずは無事退院できたようだな。おめでとう」
「あ、ありがとうございます」

俺はレジアスさんの言葉に、内心で首を傾げながらお礼を言った。

「山本二等空佐の後遺症については聞いている。そこでお前さんには二つの道がある」

レジアスさんはそう言って俺に残された道を告げた。

「まず一つは、その状態でこの部隊に残り、働いてもらう。次にここをやめて静かに暮らすことだ」
「………」
「山本二等空佐には今回の一件で、支援金を出すとのことだ」

俺が何も言わないのを無視して、レジアスさんは淡々と言って行く。

(管理局をやめる……か)

俺はそれを考えようとしたがやめた。

「なら答えは決まってます。ここに残って微力ではありますが働かせていただきます」
「……理由を、聞かせて貰おうか」

俺の答えに予想が出来ていたのだろうか、レジアスさんは俺に理由を促した。

「ここをやめると言うことはこれから逃げると言うことになるんです。俺は逃げるのはもうやめたんです。なので、レジアスさんが迷惑でなければ、ここで働かせてください!」

俺はそう言うと、頭を下げた。
たぶん下がっているだろう。
俺は昔、色々な事から逃げていた。
そしてこの魔法の力を手に入れ、俺は今度こそ逃げずに立ち向かう。
そう思えばこの事故は、俺にとっての試練なのかもしれない。
それに……

「さすがは儂の見込んだ男だ。儂の答えはとうに決まっておる。これからもよろしく頼むぞ」
「はい!」

俺はレジアスさんの言葉に力強く頷いた。
その後、俺はしばらくの間は休養するように言われ宿舎でリハビリも兼ねて休んでいた。
そんな時だった、俺に朗報が飛び込んだのは










「山本さん、いますか?」
「その声はアリスか? ああ、いるぞ」

突然訪ねてきたアリスに、俺は中に入るように促した。

「失礼します」
「……邪魔する」

どうやらアリスだけではなく健司も一緒の様だ。

「実はね、山本さんの為にあるアイテムを持ってきたんです!」
「アイテム?」

俺はアリスの嬉しそうにはずんでいる言葉に、首を傾げながら聞き返した。

「そう、なんと私の手にあるステッキを持てば、歩けるようになるのです!」
「……はい?」

俺は思わずすっとんきょな声で聴き返してしまった。

「だから、これを持てれば歩けるようになるんだよ!」

そしてアリスももう一度説明をしていた。
それを数回繰り返した時、ようやく俺は理解することが出来た。

「さあ、山本さんの右側に置いたステッキを手にしてみて」
「こ、こうか?」

俺は、アリスに言われるがままにステッキを手にした。

「それで、足を動かしてみて」
「………う、動いた!!!」

俺はいつものように足を動かしてみると、何と足が動くようになっていたのだ。
そして、俺はベッドの上に立ち上がった。
この時の喜びは今でも忘れることが出来ない。

「ね、すごいでしょ? ちなみに手に持っているものを離すと……」
「離すと……って、うわ!?」

俺は手に持っているものを離した瞬間、そのまま崩れ落ちた。

「また元に戻るから気を付けてね」
「……それを早く言ってくれ」

幸い立っていたのがベッドの上だからよかったものの、これがもし固い地面だったら……。
その後、アリスは手にしているものの原理の説明をしていた。
それは俺にはよく分からなかったが、どうやら体の筋肉に魔力を通してその力でやっているらしい。
俺はそこで一つの仮説が成り立った。
目が見えないのや、下半身が動かないのは、脳からの信号を受け取れないからではないかと。
なので、俺は魔力回路を利用して障害を一時的にではあるが、解消できるのではないかと思った。

【執行人、俺の考えたことはできるか?】

俺は緊急時の為の護衛で、中にいる執行人に問いかけた。

【可能だが、これをやリ過ぎればもっと悪くなるぞ。これは体の構造を強引に捻じ曲げる物だからな。それでもやるのか?】
【ああ、頼む。俺は逃げないと誓ったんだ】

執行人の言葉に、俺はそう言い返した。
執行人はしばらくの間無言であったが、ため息をついた。

【分かった。では、これからそのための術式を組む。半年ばかりは掛かる、レジアスのおじさんにはその旨を伝えておけ】
【了解】

それがすべての始まりだった。
それから半年後、俺は魔力を通せば視力が戻るようになった。
執行人から、使うのは1日10時間と念押しされた。
そしてバリアジャケットを展開した際に、手にあるステッキの形をした装置を背中に装着することで、俺は戦えることもできるようになったのだ。

「それでは、山本二等空佐、任務に出動します!!」

そして、俺は任務に出動した。





俺のもう一つの成せば(逃げては)ならぬことそれは……
――なのはに前に出来なかった告白をすること――であった。

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