真人に近づく二人の人物。
もちろん彼女たちの目的は、真人のリンカーコアだ。
そしてあと少しで真人の体に触れる範囲にたどり着く時だった。
「ぐあ!?」
「な!?」
突然生じた突風に二人は突き飛ばされた。
「一体なに、が」
何事だと言わんばかりに、真人が倒れている方向を見た瞬間、二人は驚きを隠せない表情を浮かべた。
「な、なんで」
なぜなら……
「なんで立ってるんだ!?」
彼女たちの前には、平然と立っている真人の姿があったのだから。
真人はしばらく自分の手や体を見ると、声を出した。
「これはどういう事だ?」
★ ★ ★ ★ ★ ★
「これはどういう事だ?」
気づくと僕はマスター(真人)の体になっていた。
あまりに突然のことで、僕も混乱する。
「おいおい……勘弁してくれよ」
結論が出た時には、僕はもうそれしか言えなかった。
「いきなり僕の出番を出すなっての」
そりゃ、出番がないな~なんて思ってはいたけどよ。
これは突然すぎるだろ?
「ま、やるからにはしっかりと……だな」
「何をごちゃごちゃ!!」
僕の言葉を待たずして少女が突っ込んでくる。
「何!?」
「ふふふ。後悔するがいい。僕を表に出したことを、な!!」
僕は、少女を思いっきり吹っ飛ばした。
「ぜぇぇぇえええい!!」
「ふん」
ピンク色の髪をした女性が切りかかってくるが、甘い。
こんなもの脅威ですらない。
すると、女性はいったん僕から距離を取ると、右手に構えていた剣の形を変えた。
(ありゃ、軌道が読みずらいな)
僕はすぐに頭で理解した。
「飛龍……」
女性が攻撃を仕掛ける。
「一閃」
「無限烈火」
それに対して僕は、目の前に黒い霧を発生させた。
「なっ!?」
突然の出来事に女性が驚きの声を上げた。
「それで、終いか?なら……」
僕は右手にクリエイトを構える。
「こっちから行かせてもらうぞ!!!」
僕は魔法陣を展開した。
もちろん二人を拘束するのを忘れない。
(ああ、この感覚……そうだ。これだよ。これが僕の求めた戦場だ)
僕は戦場独特の感覚に酔いしれていた。
「ブレイク系魔法……始動!!」
僕は久々の砲撃魔法を行使することにした。
『了解です。マイスター』
魔法陣を覆うように魔力が収束する。
『発動まで残り10秒です』
かつての相棒から情報が入ってくる。
これを思いっきりぶっ放せば僕達の勝利だ。
『5,4,3,2,1………』
カウントが0になり、砲撃を放とうとした瞬間だった。
「がっ!!」
突然体中に痛みが走った。
「あ…ぁ…ぁ…」
その痛みの元を見やると、そこには誰かの腕が生えていた。
(これは……魔力が抜かれてる!?)
僕は本能的に察知すると、すぐに行動に移すことにした。
幸い行動できる魔力はふんだんにあった。
「エマ―ジェンシー・エクスプローション」
その瞬間僕を中心にした爆発が起きた。
これで相手を遠くに吹っ飛ばすことが出来る。
むろん自分もだが……。
見れば誰かの腕も消えていた。
(づぅ……どうやら何とかなったみたいだな)
敵の気配が周囲に感じられないので、事態は収束したと判断したのだ。
どうやら今の自爆でおびえて逃げたらしい。
(魔力が3%蒐集されちまった……僕ともあろう人物が)
唯一僕の心残りと言えば、その点だけだった。
「さ、て早く家に帰るとしましょうか」
僕はそう呟いて、とぼとぼと帰路へと着くのであった。
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