健康の意識 忍者ブログ

黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第7話 魔法講義

俺は今授業中だ。

「三角形の内角の和は180度です。よってこの角度は――――」

その授業を聞きながら、俺はもう一方の講演会に耳を傾けていた。

【魔法と言うのは俗にいう、奇跡を起こす力だ。もちろん一般人には使うことはできず、この力が使える者は絶大な力とそれ相応の責任が追い求められる】
【責任?】

俺の疑問に、声は淡々と答え始める。

【そう、責任だ。魔法は人を殺したり傷つけたりする武器にもなる。だから魔法と言う力を使うのであれば、覚悟を決めることだ。これからもお前は人を傷つけたり殺めることがあるだろうからな】

まさかと思いたかったが、それはできなかった。
なぜなら昨日、俺はすでにその兆しを見たからだ。

(俺の攻撃が、もしあの子に通っていたら……)

俺はぞっとした。

【そうだ。そのように力の恐ろしさを認識できただけで、お前は少し強くなった】

声はそんな俺を励ますのかどうかは知らないが、声をかけてきた。

【ところで、お前は誰なんだ?】
【………そうだな。今は言わないでおいてやろう。だが……そうだな、名乗るとすれば執行人だな】

その執行人と名乗る男は、それ以上自分のことについて語らなかった。

【試験とは一体なんだったんだ?】
【お前は一度死んだときに、なぜ死ななければいけないのかと疑問を抱いた。その強い思いが僕をここに呼び出したんだ。そして僕はお前に気づかせるチャンスを与えた】
【チャンス?】
【もう一度同じ日を過ごしてもらい、そして前と同じ行動をするかどうか……それが今回の試験だったということだ】

執行人はそう説明するが、俺にはちんぷんかんぷんだった。

【つまり、俺はあの時とは同じ行動をしなかったから合格と言う事か?】
【まあそういう事だ。今まで僕を呼び出すことはできても、全員同じ行動をして死んでいたからな。お前さんが初めての合格者であり、わがマスターになる権利を持ったということだ】

あまり分からないがそういうものなのかと納得することにした。
【と言うことは、お前も戦えたりするのか?】
【ああもちろんだ。戦えば100%勝利で飾るだろう】

(だったらどうして戦わないんだ?)

そんな俺の疑問を感じたのか、執行人は声を出した。

【今はまだマスターの力が弱い。だから僕も力を出すことはできない。今こうやって姿を出せないのも、マスターの力不足が原因だ。マスターの力が強くなれば、僕は姿を現したり、消したりすることが出来るようになる】

要するに今の俺はまだまだ弱いと言うことになるのか。

【まあ心配するな。これから僕と一緒に魔法の練習をすればいいのだし、それに僕だってサポート系の魔法位なら使えるからな】
【それじゃあ、魔法を教えてくれ!!】

俺は速攻で執行人に頼んだ。
またいつかあの少女が現れるかもしれないのだ。
だから俺自身も力を付けなければいけない。

【その言葉を待っていたのだ!よし、では今日の放課後から特訓を始めるぞ】
【はい!!】

俺は執行人にはっきりと返事をした。
この時、俺はまだ魔法の特訓がどんなものなのかを、知っていなかった。
そのことを知った時、俺はこの時の自分の言葉にどれほど後悔したのかは予想もできなかった。
かくして、俺の魔法の特訓はこうして始まったのだ。


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第6話 魔法

「ん……」

俺はいつものように小鳥のさえずりに目を覚ました。

(夢……なのか?)

体中を確かめても怪我の一つもない。
何ともまあトンデモな夢だと思いたかったが、それは儚く散ることになった。

「あれ? これって……」

そこにあったのは一つの西洋風の剣が立てかけられていた。
それはまさしく、夢と思っていた場所で見たものと同じだった。

「真人~ご飯よ」
「は~い!!」

下から聞こえてくる母さんの声に返事をして、俺は着替えるのだった。
この時、俺は小さな疑問に目を背けようとしていたのかもしれない。










いつも通りと思われた朝は、先生の一言で変わり始めた。

「さて皆さん。実は先週急に決まったんですが、今日から新しいお友達がこのクラスにやってきます。海外からの留学生さんです。フェイトさん、どうぞ」
「し、失礼します」

教室に入ってきたのは、金髪のツインテールで目の色が赤い少女だった。

「あの、フェイト・テスタロッサと言います よろしくお願いします」
その少女がお辞儀をすると、クラス中から拍手が沸き起こった。
近くの人が『あの子、かわいい』と言っている声が聞こえた。

「ねえ、向こうの学校ってどんな感じ」
「あ、あの私、学校には――」

休み時間、テスタロッタさんの周りにクラスメイトたちが質問を投げかけていた。
俺はと言えば、特に興味もないので、遠くで静観している。

「すっげえ急な転校だよね、なんで?」
「そのっ、色々あって―」
「日本語上手だね、どこで覚えたの?」
「どこに住んでたの?」

どうでもいいが、彼女は困っているようだった。
いい加減に止めようとした時だった。

「はいはい、転入初日の編入生をそんなにみんなでわやくちゃにしないの」
「アリサ」
「それに質問は順番に、フェイト困ってるでしょ」

アリサとによってその場はなんとか鎮静化したのだった。










そして昼休み。

「ささ、あんたも座って座って」
「あ~誰かさんに引きずられたせいで、腰が痛い」

俺はアリサに半強制的にここに屋上に連れてこられた。

「はいはい。へんなこと言ってないで自己紹介」
「……山本真人です。よろしく」
「わ、私は…フェイト・テスタロッサ。よろしく…ね?」

いや、なんで疑問形?

「それじゃ、お昼を食べるわよ!!」

と言うことで昼食となったのだが……。

「あ、真人君のお弁当おいしそうだね」
「ほんとね~、これと交換でいい?」
「いや、聞いておきながら、もう交換してるし」
「良いじゃない! あんたはあたしたちのお弁当が食べられるんだから! ……おいし」

とまあこんな感じで、お弁当の中身はどんどんと変わっていく。

【ふむ……女子とのおかず交換か……モテモテのようで何よりだ】
「なっ!!?」

俺は突然聞こえてきた声に、思わずベンチから立ち上がってしまった。

「ど、どうしたのよ? いきなり立ち上がったりなんかして?」
「あ、いや、なんでもない」

俺は怪訝そうな様子で聞いてくるアリサにそう答えると、再びベンチに座った。

【思念通話だ。心の中で喋ればいい。と言うよりこれは昨日教えたはずなんだが……】

その声は、ため息交じりにそう呟いた。

【一体なんなんだよ】
【何、お前さんに魔法について色々と知っておいて貰おうと思ってな】
【………】

俺は内心でその必要はないだろと思った。

【必要はない? それは違うな。魔法の事を知るのは、魔法と言う力を手にした者の義務だ】

声色が変わり、俺は思わず背筋を正した。

「背筋を伸ばしてどうしたの?」
「あ、いや。なんでもないんだ」

俺はなのはに誤魔化すようにそういうと、再び心の中で話し掛けた。

【……分かった。それじゃ、よろしくお願いします】
【よし。では、僕の話をよく聞けよ?】
こうして、俺と謎の人物による、魔法の講習会が始まった。


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主人公設定(ネタバレ注意)

【名前】 山本 真人

【年齢】 9歳

【性別】 男

【容姿】 黒の短めの髪が特徴で、黒くて透き通った目が印象的。

【性格】 かなりおとなしい性格。
     最近の悩みは小学生らしからぬ言葉づかいである。
     よくよくクラスから大人だとからかわれている。


魔法関連

【魔導師ランク】 ???

【所持媒体】 クリエイト

【使用可能魔法】

一刀両断(剣状態のみ):剣に魔力を通して相手に切りかかる半物理攻撃。
                その威力はまともに喰らったら、致命的なダメージを与えるほ                ど。
                ただし、隙ができやすい。
                効果【物理大ダメージ】

ブレイク・イヤー(弓形態のみ):魔力で生成した矢を射る攻撃魔法。
                    貫通力に長けており、どのような決壊や防御魔法です                    らも貫く。                                                そのかわりダメージは低めだ。
                    効果【物理ダメージ+決壊(防御魔法)破壊】

ライトフレイヤー(弓状態のみ):魔力で生成した弓を放つ攻撃魔法。
                    その威力は中程度だが一瞬にして5発分も放てる。
                    また矢を使って、槍のように攻撃することも可能であ                     る。
                    効果【物理ダメージ+追尾】

断絶(剣状態のみ):真人が新たに生み出したオリジナルの攻撃魔法。
             斬るというよりは爆撃に近い物なので、一刀両断に比べるとそれ              ほどダメージは高くない
             ただしノックバック効果があり、相手を少々ではあるが後方へと吹             っ飛ばす。
             効果【論理ダメージ+ノックバック(小)】

ブレイク・インパルス(弓状態のみ):ブレイク・イヤーの進化版。
                      軌道修正は不可能だが、高い攻撃力を誇る。
                      効果【物理ダメージ大】

ブレイク・イヤー マルチショット(弓状態のみ):ブレイク・イヤーを複数にしたもの。
                             威力は変わらずに最大10発を同時に放                             つことができる。
                             効果【物理ダメージ(大)防御魔法破壊】

トレース(全状態可):すべての魔法弾や矢を相手に追尾させることができる。
             魔力を少々食う程度で、それほど影響もないためによく使用され              る。
             効果【追尾】

シール・プロテクション:真人が主に使う防御魔法。
               強度はそこそこだが俊敏に張ることができないため、いつもは               クリエイトの自動防御に頼っている。
               効果【防御(中)】

リフレクション:相手の攻撃をそのまま跳ね返す魔法。
         シールプロテクションを展開しなければいけない。
         効果【反射】

ミラーインケルト:相手の攻撃を跳ね返す魔法。
           リフレクションのようにシールプレテクションを展開しなくてもいいた             め、多用できるが魔法陣に接触した魔法が圧力となって真人にのし            かかるので、それほど使うことはできない。
           効果【反射】

一刀連舞(剣状態のみ):剣の一振りで相手に数回分の攻撃を加える魔法。
                威力はそこそこ弱いものの、最初の一撃を回避しない限り防                ぐことは不可能なため、かなりの戦力となる。
                効果【物理ダメージ小+防御魔法無効化】


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第5話 対面

あたしは封鎖領域を展開し、リンカーコアを持つ魔導師を探す。

(見つけられれば100頁ほどは稼げるんだ)

やがてあたしは、ビルの建っている場所を歩く人影を見つけた。

「見つけたぞ!!」
「え?」

そいつはあたしを見てなぜか驚いたような様子だった。
そいつは短めの黒髪が特徴のやつだった。

「あ……あれって……」

そいつはあたしの持つアイゼンを見て、おびえたような様子だった。

(なんだ、こいつ?)

あたしは一瞬勘違いかと思ったが、魔力を持たないやつがここにいるわけがないので、すぐにその考えを捨てた。

「こ、これはお前の仕業か!!!」
「んなもん関係ねえ。あたしはてめぇのリンカーコアを、蒐集すればそれで十分だ」

あたしはそう答え、誘導弾を放った。

「ッ!!?」

だが、そいつは横に避けた。
その次の瞬間、轟音と共にそいつの経っていた地面が抉れた。

「へえ、あたしの攻撃を避けるなんてやるじゃねえか」
「な、な、な」

あたしは、そう言ってアイゼンを構え直す。

「抵抗しなければ無傷で返す」

あたしの言葉にそいつは弓を構えてきた。

「なんだ、やる気か?」
「はぁ!!!」

あたしはこっちに向かってくる矢をアイゼンで薙ぎ払った。

「フン!」

そしてあたしは気付いた。

(っち! はったりか!!)

さっきの弓はあたしを狙ったものではない。
つまりあたしをまくために放った威嚇射撃だ。
そしてあたしはすぐに上空に移動した。
それからしばらくしてそいつが屋上に姿を現す。

「よしこれで何とか巻け―遅かったじゃねえかーっ!?」
「ったく、手間かけさせやがって……でもこれで終わりだぁ!!」

あたしは誘導弾を放った。

「たぁ!!」

そいつは再び矢で攻撃を打ち落とすが、それは計算済みだ。
あたしは奴の背後に回り込み一撃を食らわした。

「おりゃああ!!!」
「っ!? がぁ!!」

そのままそいつは地面に落ちていく。

(あいつ、魔導師じゃねえのか?)

そんなことを考えた時だった。

「え!?」

そいつは突然声を上げると、右手に大きな剣が現れた。
そいつはゆっくりと地面に向かって下りた。
あたしは、それを確認して地面に降り立つ。

「やっぱり魔導師じゃねえか。バリアジャケットも展開しないとは余裕の表れか?」

あたしはそうつぶやき、そいつに向かって飛び込む。

「行くぞ!!」
『プロテクション!!』

すると、アイゼンは障壁に遮られた。

「か、堅ぇ!!」

あたしは、これ以上は無理だと判断して、バックステップで後ろの方に回避した。

「はぁぁあああ!!!!」

今度は相手があたしに突撃してくる。

「喰らうかよ!!」

あたしは上空へと移動する。
すると、奴まで上空にやってきた。

「よし! 飛べた!!」

奴の言葉に少々疑問を感じたが、あたしは攻撃の準備をする。

「行くぞ!!」
「はっ!!」

あたしは奴にめがけて鉄球を放つ。

『プロテクション』
「っち!」

しかし奴はあたしの攻撃を防ぎやがった。

「一刀」

その事実に思わず固まっていた隙を突かれ、あたしは攻撃を許してしまった。

「両断!!!」

あたしは間一髪で障壁を張った。

「やったか?!」
「アイゼン! カートリッジロード!!」

あたしはカートリッジをロードし、アイゼンをラケーテンフォルムに変形させる。

「おらぁ!!」
「ぐぅっ!?」

あたしは奴の障壁を貫こうとするが、堅いために貫けない。
あたしは一旦奴から離れる。

「ゆ、弓?」

突然奴は声を上げた。

「我が生み出しし矢よ」

すると何かを呟き始めた。

「我が言霊を聞き入れたまえ」

(障壁でもはっておくか)

あたしはそう考え障壁を張る。

「その矢は全てを貫きし線となれ」

次の瞬間そいつの地面に丸くて中央に五芒星が描かれている青色の魔法陣が浮かび上がった。

「貫け、ブレイク・イヤー!!」
「は!! そんなことしても無駄――」

あたしはそこから先を言うことが出来なかった。
ガラスが割れるような音と共に、結界が破壊されたのだ。

「なっ!? 結界が抜かれた!」

あたしは慌ててその場を離脱する。

「くそ!! てめえ次会ったときは絶対に倒すからな!!!」

最後にそう言い残して。

(一体なんなんだよ! あいつ!!)

あたしは次こそはと強く思った。


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第4話 初戦

意識が戻った俺が感じたのは、吹き付ける強い風だった。

【真人よ】
「え!?」

突然誰もいないはずなのに声が聞こえた。

【念話のようなものだ。心の中で話し掛けろ。誰にも聞かれずに会話ができる】
【これでいいのか?】

俺の問いかけに謎の声(おそらく男の人)が上出来だと答えた。

【さて、真人は現在進行形で地面に落ちている。このままなら地面に墜落して終わりだな。回避したいのならば、浮遊魔法を使え。使い方は自らが飛んでいる姿を想像してみるといい】

声に導かれるまま俺は頭の中で、自分の飛んでいる姿を想像する。
すると、今まで吹き付けていた強い風がパタリと止んだ。

【上出来だ。そのまま地面に着地しろ】
【あ、ああ】

俺はゆっくりと地面に向かって下りる。

【真人は魔法に触れるのが初めて……まだ戦いと言うものもできないだろう】
【一体あんたは―くるぞー】

その声がした瞬間目の前に、少女が降り立つ。

「やっぱり魔導師じゃねえか。バリアジャケットも展開しないとは余裕の表れか?」
【さて、今回の初戦はあの少女だ。悪いが彼女には実験台になってもらおう】
【実験台って……】

あまりな言いぐさに俺は抗議の言葉を漏らす。

【勘違いするな。ここは戦場だ。戦場に男も女も大人も子供も関係ない。それ位分からなければお前が死ぬだけだ】

男の人の言葉が胸に突き刺さった。

【さて、それでは基本的な魔法戦の使い方を説明しよう】
【お、お願いします】

とりあえずそう言っておくことにした。

「行くぞ!!」
【まずは防御だ。全タイプの魔法には僕が使っていた魔法が初期設定として存在している。今のところはそれを使いこなせばいいだろう。自分の前に盾があるのを想像するんだ】

少女がこっちに向かって突撃してきた。

(盾……盾)

俺は必死に盾を想像する

『プロテクション!!』

すると、右手に握ってあった剣が突然しゃべったかと思うと、少女のハンマーが青い光に遮られた。

「か、堅ぇ!!」
その何かが盾であるのは分かった。
少女は、分が悪いと思ったのか、バックステップで後ろの方に回避した。

【初めてにしては中々だ。では、次だ】

男の人の声は淡々と魔法の使い方を伝えようとする。

【次は攻撃だ。これも最初は初期設定の魔法を使うといい。これは形態によって異なる。剣の場合は爆発を起こる光景を想像しながら、相手を切りつけろ。これを”一刀両断”と言う】
【一刀両断……】

男の人の言葉になぜか俺は理解できた。

【そうだ。他にもいくつか技はあるが、今はこれだけでいいだろう】
(よし、行くぞ!!)
「はぁぁあああ!!!!」

俺は大きめの剣を構えて少女の元に突撃する。

「喰らうかよ!!」

しかし少女はその攻撃から逃げるように上空へと浮遊する。

【戦いは知恵だ。こういった場合はどうするのかは自分で考えろ。ちなみに僕が教えた魔法を応用すれば何とかなるぞ】

男の人の声に、俺は必死に考える。

(上空に向けて攻撃をすればいいのか?でもそれじゃ意味がない……そうだ!)

俺は一つの方法を思いついた。
そして先ほどと同じ要領で頭の中で想像する。

「よし! 飛べた!!」

俺が選んだのは浮遊魔法だった。
これで相手のところまで近づけばいい。

「行くぞ!!」

そして俺は前に進むのを想像して移動を始めた。

「はっ!!」

そんな俺にめがけて少女は鉄球を放つ。
いつもなら逃げるところだが……

『プロテクション』
「っち!」
【ほぅ、多重処理マルチタスクか】

何のことかはよくわからないが、これで俺に好機が見えたことだけは分かった。

「一刀」

そして俺は驚きで固まっている少女の隙を突き、剣を振りかぶった。

「両断!!!」

その瞬間、少女のいた場所が爆発した。

「やったか?!」
【ふん、あれしきでやられるほど軟じゃないだろう】

その声を肯定するように、爆発で生じた煙が晴れ全く無傷の少女の姿があった。

「アイゼン! カートリッジロード!!」

少女の言葉と同時に、ハンマーから何かが排出された瞬間、何かが強まったような感じがした。

「おらぁ!!」

そして俺に向かって武器を振りかざしてきたので、俺は盾を出して防ぐ。

「ぐぅっ!?」

ドリルの形に変形したそれは、前よりも威力が上がっていたのか、圧迫感に襲われた。

【威力が上がったか……このまま続けてもこちらの敗北は確実……であれば】

男の人の声が何かを呟く。

【真人よ、形態を剣から弓に変えろ】
「ゆ、弓?」

俺は、突然の指示に驚きながらも武装を弓に変えた。
その弓は、俺がよく使っているのと同じ形だった。

【矢は魔力を込めながらその形を想像して生成しろ。したら矢の先端に魔力を収束させるイメージを思い浮かべるんだ】
【わ、分かった】

俺は言われるとおりに目をつむって矢を生成させると、先端に魔力が集まるようにイメージする。
目を開けるとそこには矢の先端に集まる青い光のようなものがあった。

【よし、次はそれを上空に照準を合わせろ】
【上空? 敵の方じゃ―いいから合わせろ!ーわ、分かった!】

俺の声を遮るようにして男の人の声が指示を出す。
俺は慌てて照準を上空に合わせる。

【その状態で僕の詠唱に続け】
【お、おう】

とりあえず今はこの声の言うとおりにしておこう。

【我が生み出しし矢よ】
「我が生み出しし矢よ」
【我が言霊を聞き入れたまえ】
「我が言霊を聞き入れたまえ」

俺の詠唱のたびに、力があふれ出すような感触がした。

【その矢は全てを貫きし線となれ】
「その矢は全てを貫きし線となれ」

その瞬間、地面に丸くて中央に五芒星が描かれている青色の何かが浮かび上がった。

【貫け、ブレイク・イヤー!!】
「貫け、ブレイク・イヤー!!」

そこで俺はいつもの感触で弓を射る。

「は!! そんなことしても無駄――」

少女はそこから先を言うことが出来なかった。
ガラスが割れるような音と共に、不思議な空間が少しずつ薄れていく感じがした。

「なっ!? 結界が抜かれた!」

少女が慌てていることから、どうやら結界と言うのを破ったらしい。

「くそ!! てめえ次会ったときは絶対に倒すからな!!!」

少女は最後にそう捨て台詞を言うと、その場を後にした。

「終わった……のか」

緊張の糸が切れたのと同時に、激しい睡魔が襲ってきた。

「ったく、こいつはすごいのだかそうではないのだか」

誰かの呆れたような声が聞こえてくる。
俺はその声に反論することが出来ない。
そしてそのまま俺は眠りについた。

「………しばしの休息を。正統なるマスター、山本真人よ」

そんな、静かで穏やかな声を聴きながら。


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