健康の意識 忍者ブログ

黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第12話 エンカウント

次の日の放課後、俺は借りていた本を返すべく、図書館に来ていた。

「確かに確認しました」

返却し終え、家に帰ろうとした時だった。

「あ、真人君」
「ん?」

突然背後から声をかけられたので、振り返るとそこにははやてがいた。
その横には前にも見た金髪のショートヘアーの女性……シャマルさんがいた。

「はやて、今日も本を借りに?」
「うん、そうなんよ」

その後はやてに付き添って本探しをすることになった。

「あ、そうや。今日うちと一緒にご飯食べていけへん?」
「え?」

帰り際にはやてから提案されたことに、俺は少し驚いた。
なにせ突然のお誘いだ。

「ちょっと、お父さんに聞いて来るからちょっと待ってて」
「あ、うん。ええよ」

俺ははやての答えを聞いて家に電話をすべく、公衆電話がある方に向かった。










「ごめん遅くなった」
「ええよ。そんなに待ってへんし……んで、どうやった?」

はやての疑問に、俺は答えた。

「いいってさ」
「ほんまか!?」

はやての問いかけに頷いて答えると、はやては嬉しそうな表情をした。

「あ、あぁ」
「そうか……ふふ、今日はぎょうさん腕を振るわんとな」

はやてが嬉しそうに言う中、俺はある違和感を感じていた。

「そういえばシャマルさんは?」

さっきまでいたシャマルさんがいないのだ。

「あ、シャマルなら、電話をしにちょい外に出てはるよ」

はやての答えに、俺は一応納得した。
その後、私服に着替えるため、俺は一度家に戻った。










はやてに教えてもらった通りに行くと、そこには確かに八神家と表札に書いてあった家があった。

「みんな遅いな」
「そうだね」
「ねえ、はやてちゃん。電話してみた方がいいかも」

と、俺の向かい側に座っているすずかが提案した。
驚いたことに、すずかもはやての知り合いだったらしい。
しかも、知り合うに至る経緯も俺と同じだし……。
とまあそれは置いといて、今俺達は遠縁の親せきが戻ってくるのを待っていた。

【真人、今どこにいる?】
【ああ、今友達の家………さっき言わなかったっけ?】

突然の念話にももう慣れた俺は、普通に返す
こういう面では成長したな~と実感する。
まあ単に慣れただけかもしれないが。

【………それよりも大変だ!!】
【どうしたんだ?】

分かりやすい話題転換だなと思いつつ、俺は執行人に続きを促した。

【そこから少し離れた市街地で、結界が展開された!!】
【なんだって!?】

俺は驚きながら聞き返した。
全くその気配を感じなかった。

【離れているとはいえ心配だ。これから僕もそっちに向かう。10秒間魔力を放出してくれるか?】
【了解だ】

俺は執行人に言われた通りに魔力を開放する。
ちなみにいつもは魔力が漏れないように蓋をしてあるのだ。
もし少しでも漏れれば、周りの魔法使いに自分の居場所や自分が魔法使いであることを知らせることになるからだ。
ちなみに念話とこの方法に関しては、すぐに教えられすぐに覚えた。

【よし、もういいぞ。これからそっちに向かう1分ほどで到着する】

その念話が最後だったのか、途絶えた。

「どうしようか?はやてちゃん」
「うーん、せやな……3人で鍋ちゅうのもちょい寂しいし……お言葉に甘えさせてもらおうかな」

気づくとはやて達は何やら相談していた。

「うん、それで真人君はどうする?」
「あ、ごめん。話聞いてなかった」

俺の言葉に、すずか達ははちょっとだけ驚いた表情を浮かべると、俺に説明してくれた。
どうやら、なかなか帰ってこない親戚の人を待っているというのも大変なので、すずかの家で夕食を食べないかと言う事らしい。

「そうだな……じゃあ俺は【真人、悪いがここに残ると言ってくれ。訳は後で話す】ここに残ってるよ。親戚の人が帰って来て心配するだろうから」

俺は突然の指示に戸惑いながらも、もっともな理由を話す。

「確かにそうやね。ほんじゃ、頼まれてもええかな?」
「ああ、もちろんだ」

俺は椅子に座りながら、二人を見送った。

「んで、わけを聞かしてくれるか?」
「ああ、もちろんだ」

そういえば、何気に今のが仮想空間以外で口に出した会話のような気がする。

「あの栗色の髪の少女……微妙にだが魔力反応を感じだ」
「え?」

俺はそれしか声に出せなかった。
俺には普通の少女にしか見えなかった。

「それにここには二つの分類と彼女を除いた4種類の魔力反応がある」
「二つの分類?」
「ああ、普通の魔力と闇の魔力反応だ」

またもや、俺には分からない単語が出てきた。

「闇の魔力反応?」
「お前、属性については覚えているよな。その属性を使う際の魔力の事だ」

執行人が呆れたように説明してくれた。
確か、魔法には大きく分けて3つの基本属性と2種類の極限属性に一つの属性で成り立っているというものだ。
それが、水、火、雷の基本属性で、光と闇の極限属性、そして風や土などの無属性だったはずだ。

「と言うことは闇属性の魔法か」
「そういう事だ。お前の場合は僕がいるから闇特化型の光属性以外のすべての魔法が扱える」

執行人から余談とばかりに言われた。
何でも俺の基本属性は、執行人と同じように闇属性らしい。

「話を戻すが、感知した魔力反応によく感知した魔力反応があった」
「っ!!? まさか」

俺はもう予想がついていた。

「ああ、あの赤い少女だ」
「つまり、今俺は敵陣にいるという事か?」
「そういう事だな」

俺は思わず固まってしまった。

「に、逃げよう!!」
「いんや、もう遅いぜ」

何のことだと聞こうとした瞬間、玄関から音がした。
どうやら誰かが帰ってきたようだ。

「ただいまはや……て」

そしてリビングに駆け込んできて固まる少女は、俺を襲ってきた人物だった。

「どうしたヴィータ?」

続いて入ってきたのは俺に不意打ちをかましたピンク色の髪をした女性に、シャマルさんだった。

『………』

俺達は、その場で固まってしまうのであった。

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第11話 1日の終わり

「ん……あ、れ?」

俺が目を覚ますと、そこは俺の部屋だった。

(俺さっきまで公園の方で戦っていたような……)

【目が覚めたか】
【え、あ、ああ】
【……そうか】

執行人の声に、なぜか覇気がなかった。

【あ、もしかして俺をここまで運んでくれたのはお前か?】
【ああ……そうだ】

やはりどことなく元気がない。
これは聞くべきなのだろうか?

【一体どうしたんだ?なんか声には気がないぞ?】
【……すまなかった】

俺の問いかけに、突然執行人が謝ってきた。
あのいつも皮肉しか言わない執行人がだ。

【……その認識には誤解があるが。僕はサポート役失格だ】
【………何があったんだ?】
【なぜかお前の体を僕が乗っ取って、挙句の果てに魔力を3%蒐集されてしまった】

執行人の言葉に、俺は何も言えなかった。

【乗っ取ったって……どういう事なんだ?】
【僕のようなサポート要員は、マスターとの相性……考えていることや思っていることが一緒になった時、肉体を共有する効果があるんだ。これをフィジカルシェアリングと呼んでいる】
【……肉体共有】

俺はいまさらなので、もう驚かないが。
まとめると、あの時俺と執行人の考えていることや相性が、最高潮に達して肉体共有が発動したらしい。
そして魔力を奪われてしまったという事らしい。

【情けねえな。あんなに偉そうなことを言っておいて、こんなざまとは】
【だ、だけどさ……執行人の強さって俺のに比例するんだろ!? だったらただの俺の力不足なんじゃ】

慌てて俺が否定する。
全く持って執行人に似合わない感じだった。

【確かにそうだ。だがそれはあくまで”力”の部分だ。それ以外の戦略はすべて元の状態だ。………魔力値だけで言えば僕の次になるほどの量だ。そのことに油断していたのかもしれないな】

執行人は最後に、鍛え直さなければと呟いた。

【さて、此度の戦い。なかなか良かったぞ、ようやく上達したな。これからは少しではあるが特訓の量を下げるとしよう】
【いぃよっしゃあああ!!!】

執行人の評価を聞いた俺は、今までの空気はどこへやら、思いっきり喜んだ。
なんせあのきつい特訓が、少しではあるが量が下がるのだ。

【ところで、だ】
【どうしたんだ?いきなり】

突然声のトーンを下げた執行人に俺は先を促した。

【いや、教室で強力な魔力反応を3人分感知したと言うことを伝えようと思ってな】
【三人!? そ、それが誰なのかわかるか?】

俺のクラスに、俺と同じ魔法使いがいたとは……

【一人はお前の横にいたやつ。もう一人はこの間転校してきた少女。そして昼休みの時、お前と親しげに話していた男だ】

(それって、完全になのはとフェイトじゃないか)

この数日間で、テスタロッサさんの事をフェイトと呼ぶようになった。
これは本人に頼まれたことだ。
一応、誤解のないように言っておく。

【それじゃ、あと一人って……まさか】

俺は男と言われて一人の友人の顔を思い浮かべた。
青髪で、目元がぱっちりとしている少年。
俺とは逆の性格で、とても明るい。

【健司が、魔法使いだなんて】
【なるほど、健司と言ったか。どう思おうと自由だが、真実は変わらない。それだけは覚えておけ。いいな?】

執行人の言葉に、俺は頷くことしかできなかった。
そして俺は眠りにつくのであった。


★ ★ ★ ★ ★ ★


とある場所で、襲撃者たちが話していた。

「何とか危機一髪だったわね」
「ああ」
「助かった」

彼女たちの脳裏にあるのは、一人の少年と魔法だ。
まるで人が変わったように動き、そして強力な収束魔法を展開する。
その技量は、かなりの腕であると知らせていた。

(あの少年と同じく、あいつも戦いになれている)

ピンク色の髪をし女性が思い浮かべるは、青髪の少年と真人の姿だった。
女性は、この二名に苦戦を強いられたのだ。

(いや、あの黒髪の少年が一枚上手だな)

女性はそう思って撤回した。
青髪の少年は、力任せだったにもかかわらず、真人の場合は多少の戦略を使っている。

(どちらにしても、警戒せねばな)

女性の思いとは関係なく、時間は流れていく。


★ ★ ★ ★ ★ ★


「ふふふ……」

俺は、嬉しくて笑っていた。
なぜなら、あの、リリカルなのはの世界に転生できたからだ!!
俺は大学生だった。
いつものように通学していたら、突然俺は周りが白い空間に立っていた。
なんなのかが分からずにいると、突然神様を名乗る奴が現れたんだ。
そいつが言うには、間違えて俺を殺してしまったらしい。
お詫びにと言うことで、チートな能力をもらってこのアニメの世界に転生させてもらったのだ。
その時に、何か注意されたような気がしたが、まあいいだろう。
だって、この世界で俺が一番強いのだから。
なんせ俺には、Fateのアーチャーの能力が備わってるんだし。
これなら、超絶ハーレム間違いなしだ。

(まあ、変な邪魔もんがいるけど、関係はないな)

そのために、俺は親友を装って近づいてたんだ。
親友であれば、多少は気を許すだろう。

「さぁて! さくさくとやっちゃいますかね!!」

全ては、俺のハーレム計画のために!!


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第10話 憑依

真人に近づく二人の人物。
もちろん彼女たちの目的は、真人のリンカーコアだ。
そしてあと少しで真人の体に触れる範囲にたどり着く時だった。

「ぐあ!?」
「な!?」

突然生じた突風に二人は突き飛ばされた。

「一体なに、が」

何事だと言わんばかりに、真人が倒れている方向を見た瞬間、二人は驚きを隠せない表情を浮かべた。

「な、なんで」

なぜなら……

「なんで立ってるんだ!?」

彼女たちの前には、平然と立っている真人の姿があったのだから。
真人はしばらく自分の手や体を見ると、声を出した。

「これはどういう事だ?」


★ ★ ★ ★ ★ ★


「これはどういう事だ?」

気づくと僕はマスター(真人)の体になっていた。
あまりに突然のことで、僕も混乱する。

「おいおい……勘弁してくれよ」

結論が出た時には、僕はもうそれしか言えなかった。

「いきなり僕の出番を出すなっての」

そりゃ、出番がないな~なんて思ってはいたけどよ。
これは突然すぎるだろ?

「ま、やるからにはしっかりと……だな」
「何をごちゃごちゃ!!」

僕の言葉を待たずして少女が突っ込んでくる。

「何!?」
「ふふふ。後悔するがいい。僕を表に出したことを、な!!」

僕は、少女を思いっきり吹っ飛ばした。

「ぜぇぇぇえええい!!」
「ふん」

ピンク色の髪をした女性が切りかかってくるが、甘い。
こんなもの脅威ですらない。
すると、女性はいったん僕から距離を取ると、右手に構えていた剣の形を変えた。

(ありゃ、軌道が読みずらいな)

僕はすぐに頭で理解した。

「飛龍……」

女性が攻撃を仕掛ける。

「一閃」
「無限烈火」

それに対して僕は、目の前に黒い霧を発生させた。

「なっ!?」

突然の出来事に女性が驚きの声を上げた。

「それで、終いか?なら……」

僕は右手にクリエイトを構える。

「こっちから行かせてもらうぞ!!!」

僕は魔法陣を展開した。
もちろん二人を拘束するのを忘れない。

(ああ、この感覚……そうだ。これだよ。これが僕の求めた戦場だ)

僕は戦場独特の感覚に酔いしれていた。

「ブレイク系魔法……始動!!」

僕は久々の砲撃魔法を行使することにした。

『了解です。マイスター』

魔法陣を覆うように魔力が収束する。

『発動まで残り10秒です』

かつての相棒から情報が入ってくる。
これを思いっきりぶっ放せば僕達の勝利だ。

『5,4,3,2,1………』

カウントが0になり、砲撃を放とうとした瞬間だった。

「がっ!!」

突然体中に痛みが走った。

「あ…ぁ…ぁ…」

その痛みの元を見やると、そこには誰かの腕が生えていた。

(これは……魔力が抜かれてる!?)

僕は本能的に察知すると、すぐに行動に移すことにした。
幸い行動できる魔力はふんだんにあった。

「エマ―ジェンシー・エクスプローション」

その瞬間僕を中心にした爆発が起きた。
これで相手を遠くに吹っ飛ばすことが出来る。
むろん自分もだが……。
見れば誰かの腕も消えていた。

(づぅ……どうやら何とかなったみたいだな)

敵の気配が周囲に感じられないので、事態は収束したと判断したのだ。
どうやら今の自爆でおびえて逃げたらしい。

(魔力が3%蒐集されちまった……僕ともあろう人物が)

唯一僕の心残りと言えば、その点だけだった。

「さ、て早く家に帰るとしましょうか」

僕はそう呟いて、とぼとぼと帰路へと着くのであった。


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第9話 再戦

~海鳴市 臨海公園~

「まだ来てないようだな」
【ああ、でも確実に近づいているな】

今俺達は見通しのいい場所にいた。
聞こえるのは静かな風とさざ波の音だけだ。

【この気配は……あの時の人物と同じだな】

執行人から伝えられる情報に、俺は何度も深呼吸して気を落ち着かせる。
何分これが二度目の戦いなので、緊張しているのだ。

【もう緊張するな。何、この僕がついているのだ。いくらお前がへっぽこでも、心配することはなに一つもないさ】
【そ、そうだな】

俺は応援している(?)執行人にそう頷き返した。

【お、こっちに到達するまで残り10秒、9,8,7……】

(っ!!)

執行人の言葉に、俺は高鳴る鼓動を落ち着かせる。
気づけば手足が震えていた。

(大丈夫。俺なら出来る)

俺は自分にそう言い聞かせ、敵が来るのを待った。

「今度は逃げねえんだな」
「ああ、今の俺はこの間とは違う!!」

目の前にいる赤い服を着た少女に、俺は言い返しながら剣状態のクリエイトを握りしめる。

「今日こそ、リンカーコアを蒐集してやる!!」

少女はそう言うや否やいきなり鉄球を5つほど放ってきた。

「何のこれしき!!」

俺はそう叫びながら5発すべてを避ける。
しかし3発はこっちを追撃してくる。
どうやら誘導弾のようだ。

「おりゃ~!!」
「なっ!!」

俺の行動に少女が信じられないと言った感じで見てくる。
俺がやったのは魔力刃を放って3発破壊しただけだ。

「これで終わりなら、次はこっちから行く!!」

俺はそう宣言してこの間執行人に教えてもらった俊足を使い、一気に少女の背後を取る。

「全てをたち切れ! 断絶!!」
「っち!」

一撃必殺に思われた俺の攻撃だが、何かに阻まれたような感触だった。
どうやら防御魔法のようなもので防がれたようだ。

「やんじゃねえか」
【相手はどうやら一筋縄ではいかないようだな。どうする?真人よ】

執行人が俺に問いかけてくる。
答えなんてものはとうに決まっていた。

【サポートを頼む。少しでも彼女を止められれば……】
【了解だ。彼女の身動きを止めればいいのだな】

俺の答えに、執行人はそう返す。
そしてそれは一瞬だった。

「ぐはっ!?」
「今だ!」

突然少女がはりつけにされたような体制で固まったのだ。
そして俺は反射的に動いていた。

「一刀、両断!!!」
「うああああああ!!!!」

俺は必殺技でもある魔法を少女に使った。
今度こそ命中したのか、それなりの感触が伝わってきた。

「喜べ、倒したぞ」
「ッ!! ぃぃいいよっしゃ~!!!」

執行人の宣言に、俺は思わず声を上げて喜んだ。
何せ、初めて敵を打倒すことが出来たのだ。
喜ぶなと言う方がおかしい。

【さて、とっとと帰――――下がれ、真人!!】
「え?」

突然執行人の声が響く。
しかし俺の体は突然のことに固まってしまった。
その次の瞬間だった。

「があああああ!!!」

俺は突然現れた何者かによって斬られたのだ。

「だい――――――よ」
「いわ――――――だよ」

襲撃者と少女の声がかすかに聞こえる。
だが、俺の体はびくともしない。
ふいに、こちらに近づく気配がした。

(これで、終わるのか?)

俺は悔しかった。
このままやられてしまう事実を理解するのが。
だから目をそむけた。

(もし終わるのなら)

鼓動だけが俺の耳に聞こえた。

(その結果を……この俺が覆して見せる!!!!!)

その瞬間、俺の意識は完全に途絶えた。


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第8話 特訓

【では今日も、魔法の特訓を始める】
【おー】

もう今日で二日目。
どうでも良いがこの特訓は、かなり疲れるのだ。

【それじゃ仮想空間シュミレーションをする。目を閉じていつものようにして接続しろ】

俺は執行人にせかされるように、目を閉じて剣を手に集中する。
そして一瞬光が走り、俺は目を開けた。
そこはさっきまでの俺の部屋ではなく、一面砂漠の空間だった。
最初ここに来た時は、かなり驚いたものだ。
何でも、ここは仮想空間と言うもので、執行人が作り出した架空世界らしい。

「さて、それじゃまずはいつものシュート練習から始める。理論は頭に叩き込んでいるから今日でマスターしてもらうぞ」

そして俺の前には光の球だが執行人の姿があった。
何でも、ここだと光の球状態ではあるが姿を見せることが出来るらしい。
ちなみに俺は魔法の実技を教えられる前に、かなりの魔法理論をたたきこまれた。
それも時間がないとのことで、この二日間ずっと理論の勉強をしていた。
寝ている時でさえ、意識の中に入り込んでだ。
おかげで睡眠時間がかなりと言って良いほど削られた。

「では、スタート!」

執行人の合図と同時に目の前に複数の円盤が現れたかと思うと、こっちに攻撃してきた。
数は5個だ。

「はっよっと!?!」

俺はそれを何とか避けていく。

「お、よく避けるな。しかし避けてばかりではきりがない。攻撃して打ち落とせ」
「了解!!」

俺は避けつつも攻撃の機会を伺う。

(よし今だ!!)

「貫け閃光! ライトフレイヤー!!」

俺は弓形態の状態で、一つの円盤に向けて矢を射た。

「よし! 命中」

一気に2個も破壊でき、俺は思わずガッツポーズをした。

「ほぅ? 5発の矢を一瞬で放つか……しかし命中率が悪い。ロックをしっかりしろ」
「はい!」

執行人のアドバイスを聞きながら、俺は再び矢を射る。
気持ちの良い音を立てながら、最後の一発ですべての円盤を撃破できた。

「よし、ミッションクリアだ」
「ふぅ~~!!!」

俺は執行人の言葉を聞いて、地面にへたり込んだ。

「何だ何だ? もうへばってるのか?」

執行人がそんな俺の様子を見て、呆れと優しさを含んで声をかけてきた。

「当たり前だろ?! さすがに疲れるよ!!」
「まあ、今日は新技の成功と言うことで大目に見てやろう」

執行人はそう言うと、何かを呟く。
その瞬間、一面砂漠だけしかない世界が変わり、気づくと俺のよく知る自分の部屋だった。

【お疲れ様だ。どうだ? 二日間の特訓を終えて】
【かなり疲れた。……けど、なんだか強くなれたような気がする】

少なくとも、魔法と言うものには慣れたはずだ。
その実感をさっきの訓練で感じたのだ。

【そうか。それはいいことだ。しかしそれで自惚れるな。まだまだ上があるし、そこで止まっていたらいずれはやられるぞ】

俺は執行人の忠告をしっかりと覚えておくことにした。
この二日間で少しだけだが、この人物の人となりが見えてきたような気がした。
減らず口だが、重要なことはしっかりと言う。
具体的に言えば、面倒見のいい先生のような感じだ。

【分かりました。教官】
【………まあいいだろう。明日からはもう少し訓練の趣旨を変えよう。どんな物になるかはやる時のお楽しみだ】

今の間は、確実に照れていたのを隠すためと見た。

【む?お前今いらぬことを考え―――っ!!?】
「っ!?」

執行人が声を上げようとした瞬間、再び世界が切り取られるような感触がした。

「結界か!!」

俺はすぐに立ち上がった。

「ここでの戦闘は非常にまずい。見通しのいい場所に向かうぞ」
「了解だ!! そこでやってくる敵を待ち構えるということだな!!」

俺は執行人の言葉を先取りして言った。

「おや、どうやら少しは成長したようだな真人よ。では出陣だ!!」

そして俺は、向ってくる敵を倒すべく外に出るのであった。


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