健康の意識 忍者ブログ

黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第3話 挨拶と模擬戦

「それでは、始めるぞ、山本」
「はい。お願いします。シグナム」

今、俺はシグナムと対峙していた。
シグナムの手には彼女の刀型デバイスの『レヴァンティン』がこちらに向けて突きつけられていた。
なぜこんなことになったのか、それはほんの少し前へと遡る。










集合場所に集まった俺達は隊長陣の場所に立つように言われていた。

「えー、本日皆さんに集まってもらったのは、本日付で赴任してきた方を紹介するためです。山本二等空佐と井上一等空尉です。それでは、一言どうぞ」

はやてに呼ばれた俺達は、はやての横に移動した。

「えっと、只今ご紹介に授かりました井上健司です。階級は一等空尉です。若輩者ですが、自分に出来る限りの全力を注ぎ部隊長他皆さんの足手纏いとならぬよう尽力して行きますので、よろしくお願いします!」

最初に挨拶をした健司が頭を下げると、どこからともなく拍手が沸き起こった。

「山本真人です。階級は二等空佐です。階級などは関係なく皆さんと楽しく真剣にやって行きたいと思いますので、よろしくお願いします」

次の俺のあいさつを終え頭を下げると、再び拍手が湧き上がった。

「あまり長くなるとあれなので、これにて解散です」

はやてのその一言で、俺達の一日は幕を開けた。









「まずは、訓練スペースに移動かな?」
「どう考えてもそうだと思うけど」

健司の問いかけに、俺は若干呆れながら答えた。

「あ、あの!」
「ん?」

突然声をかけられた俺は、声のした方に振り向く。
そこにいたのは昨日、俺と戦ったオレンジ色の髪をした少女と青髪の少女だった。

「えっと、君たちは確か……」
「スバル・ナカジマ二等陸士です!」

俺が困惑していると、青髪の少女……ナカジマさんがものすごく大きな声で名前を告げた。

「うっさいわよ! ティアナ・ランスター二等陸士です」

そんな彼女を軽く小突きながら、オレンジ色の髪をした少女……ランスターさんは名前を言った。

「エリオ・モンディアル三等陸士です!」
「同じくキャロ・ル・ルシエ三等陸士であります」

さらにその後ろにいた赤髪の少年……モンディアルとピンク色の髪をした少女……ルシエさんが名前を名乗った。

「俺は井上健司。呼び方は自由でいいぜ」
「同じく山本真人だ。健司と同様、呼び方は好きにして貰っていいよ」

俺と健司は名前を名乗った。

「それじゃ、健司さんと真人さんで!」
「失礼でしょ! 馬鹿スバル」
「いや、君もそう固くならなくていいんだって。俺ってそう言うのが微妙に苦手だからさ」

突然下の名前で呼んだナカジマさんにランスターさんが言うが、俺はそう言ってフォローした。
実際問題、あまり固くされるのは慣れてないのだ。

「あの、そろそろいかないと訓練に遅れるのでは?」
「あ、そうだよ!? みんな急ごう!」

モンディアルの言葉に、俺は慌ててそう言った。

「あ、俺はちょっと用があるから失礼するよ。午後までには戻ってこれるようにするから」
「分かった。頑張ってな」

俺は走って行く健司の後姿にそう言うと、そのまま急いで走った。










「そう言えば、お互いに自己紹介とかはした?」
「あ、はい。先ほど名前の確認をしました」

訓練場に到着した俺達に、なのはが問いかけた。

「それじゃ、訓練を再開する前に山本君には模擬戦をやってっもらいます」
「も、模擬戦ですか!?」

なのはの突然の宣告に俺達フォワードメンバーは、驚いた。

「うん。山本君には私達が相手にする敵の事とか知ってもらいたいし、何よりウォーミングアップには最適だと思ってね」
「………分かりました」

なのはの言葉に、俺はしばらく考えるとそう答えた。

「それじゃ、山本君は訓練スペースに移動してね。フォワードのみんなは見学しようか」
「「「「はい!」」」」

俺はなのはやフォワードメンバーの返事をする声を聴きながら、訓練スペースへと向かうのであった。










廃墟のような場所が立ち並ぶ場所に移動した俺は、なのはからの指示を待っていた。

『それじゃ、山本君、バリアジャケットを展開して』
「分かりました。………クリエイト、セットアップ」

通信でなのはからの指示を聞いて俺はデバイスでもあり相棒でもあるクリエイトに呼びかけた。

『All,right.my master』

俺の呼びかけに反応しバリアジャケットが展開された。
まずは初期装備の剣状態だ。

『それじゃ、準備はいいかな?』
「はい。いつでも」

なのはの問いかけに、俺は頷いて答えた。

『私達がこれから戦わないといけないのは、これ』

なのはの言葉に反応して、目の前に縦長の機械が10機現れた。

『それの名称はガジェトドローン、通称ガジェットで自立行動型の機械だよ。今から山本君はそれを破壊してもらうよ。ここまでで何か質問は?』
「いいえ。ありません」

一通り敵の情報は手に入ったので、俺はそう答えた。

『それでは、レディー・ゴー!』
「っと!?」

なのはの合図と同時に、ガジェットが攻撃してきた。
俺は慌てて避けながら、剣をガジェット一機に向けて振りかぶる。

「刃呪縛!」

剣を振り切るのと同時に放たれた魔法刃は、ガジェットを次々に切り刻んでいく。
そしてそれはすべてのガジェットを破壊した。


★ ★ ★ ★ ★ ★


「すごい……」

私が言えたのはそれだけだった。

「あ、あれがSS+ランクの魔導師の動き何ですか?」
「AMFを展開しているのに、何事もないように動いています」

一緒に見ていたスバルとキャロが、口々に信じられないとばかりに口を開いている。

「うん。それが山本君なんだよ」
「ここ数年で、山本の腕は格段に上がったな」

私達の言葉になのはさんと、様子を見ているシグナムさんが嬉しそうにそう言ってきた。

(やっぱり凡人は私だけか)

私は彼の戦っているのを見ながらそう考えた。


★ ★ ★ ★ ★ ★


『それじゃ、次行くよ。次のはガジェットⅡ型で、主に上空を飛んでいるよ』

続いて現れた10機のガジェットは上空の方を飛んでいた。
今の剣状態は非常に振りだ。

「クリエイト、イヤーフォーム!」
『了解です! イヤーフォームチェンジ!』

俺の指示に、剣型のマテリオが弓型に変わった。

「さあ、一気に片を付けるぞ!」

俺の気合の言葉と同時に一斉砲火が始まった。
俺はそれを華麗にかわしつつ、俺の十八番の攻撃を放つことにした。

「ブレイク・イヤー マルチショット!!」

高々に述べた俺の技名と共にやを放つと、それは15本の矢へと増殖した。
それは寸分くるわず、上空に浮遊するガジェットに命中し、爆発した。

(よし、なんとかなったな)

俺は自分の感触に、ほっと胸を撫で下ろしながら次の敵を待つことにした。


★ ★ ★ ★ ★ ★


「あのガジェットを一撃で……」
「す、すごい」

真人の戦う様子を見たフォワードたちは、すでに固まっている状態だった。

「高町、あいつと一戦構えたいのだが、いいか?」
「え!?」

唐突に切り出したシグナムの言葉に、なのはは驚きをあらわにした。

「何、私も久しぶりにあいつと剣を交えたいだけだ」

シグナムの言葉に、なのはは考え込んだ。
ちなみに、この模擬戦は山本のデータを取るためでもあった。
その指示ははやての物であった。
模擬戦をすれば何かしらかぼろを出す、はやてはそう踏んでいたのだ。
特に魔導師ランクの偽装などはしっかりと出るのだ。

「分かりました。でも、10分間ですよ。危険と判断したらすぐに止めますからね」
「十分だ」

なのはの提示した条件に頷くと、シグナムは訓練スペースへと向かって行った。


★ ★ ★ ★ ★ ★


(これで終わりかな?)

俺はしばらくまったが新たな敵が来る気配はないので、少しだが警戒を解いていた時だった。

「待たせたな」
「し、シグナム!?」

突然上空から現れたのは、シグナム二等空尉。

「山本、10分と言う短い間だが、お前と剣を交えさせてもらおう」
「分かりました。今回は勝たせていただきます!」

俺の答えに、「その心意気だ」と笑いながら言うと剣型のデバイス『レヴァンティン』をこっちに向けて構えた。

(突然すぎてあれだけど、自分の器量を図るには良い機会かな)

俺は昔、シグナムに勝ったためしが一度もないのだ。
だからこそ、自然と弓を掴む手も強くなる。

「それでは、始めるぞ、山本」
「はい。お願いします。シグナム」

シグナムの言葉に、俺は軽く会釈をしながら答えた。
そして俺とシグナムさんとの戦いが幕を開けたのであった。

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第2話 出向初日

「八神部隊長。男の人を連れてきました」
「うん、お疲れさ………って、何で引きずっとん!?」

永遠に引きずられる俺だが、懐かしい声がした。
妙なイントネーション、これは関西弁だろう。
だとすれば、そんな話方をする人は一人しかいない。

「その声って、もしかしてはやてか?」
「え……もしかして真人君か!?」

どうやらあたりだったようだ。
俺は顔を上げた。

「ッ!? や、やあ、久しぶりだねみんな」

そこにいたのははやてにフェイトとなのはだった。
顔を上げた時に見てはいけないものが見えているが、必至に意識しないようにする。

「真人! 久しぶりだね」
「……」

フェイトは俺に笑顔で言ってくれたが、なのはは浮かない顔で落ち着きなく視線を変えていた。

「………」

それはしょうがないことだった。
なぜなら、俺となのはの関係は……

「ところで、どうしてうつぶせになっとん? まるで二人の下着を覗くような感じやし」
「なッ!?」

はやてが投じた爆弾により、全員がスカートを抑えながら俺から離れた。
………ちょっとショックだぞ。

「誰もやりたくてなってるんじゃない!! この二人が突然俺を襲ってきたんだ!!」
「……どういう事か、説明してくれるか?」

俺の言葉を聞いたはやてが、二人に尋ねた。
そしてオレンジ色の髪をした少女が説明する。
彼女曰く、どうやら俺は再三の忠告を無視したために拘束されたらしい。
当然だが俺はそんなことに気付いてはいない。

「とりあえず引きずられた意味は分かった。でも、どうして真人君はうつ伏せになったまま何や?」
「………実は俺、訳合って下半身不随になって歩けないんだ」

俺はしばらく悩んだ末、本当の事を言う事にした。
誤魔化そうとしたらどうなるかが目に見えていたからだ。

「そ、それは本当なんか?」
「嘘をついてどうするのさ」

はやての言葉に、俺は苦笑い交じりに答えた。

「え、でもあなたさっきは立ったり歩いたり……」
「それはあの黒いステッキのおかげだ。あれがあるから俺は立ったり歩いたり空を飛んだりできるんだ」
「と言うことは……」

俺の説明に、オレンジ色の髪をした少女と青髪の少女が顔を見合わせた。

「ところで、その黒いステッキはどこにあるんや」
「彼女が弾き飛ばしたから出入り口に落っこちてるんじゃない?」

はやての問いかけに俺はそれをやった人物をジト目で睨んだ。

「「す、すぐにとりに行きます!!」」
「それは必要ない」

慌てて取りに行こうとした二人だが、それを遮るように男の人の声がすると、部隊長室に一人の男性が入ってきた。

「お前の探しているのはこのステッキだろ」

俺にステッキを渡してくれた人にお礼を言おうとステッキ片手に立ち上がった。

「ありがとうございます………って、お前健司か!?」

その人物は俺の男友達の健司だった。

「よっ! 少々遅れたがようやく抱えていた山が片付いたから急いで来たら入り口に見慣れた物が落ちてたからな、慌ててここに来たんだ」

そう言って健司は頭を恥ずかしそうに掻いていた。

「ところで、俺達はどのような仕事をすればいいんだ?」
「えっとやな、まず山本二等空佐にはスターズ分隊の教導官として働いて貰いたいんや。副隊長が不在の時とかに高町分隊長のサポートが主な仕事や」
「分かりました」

俺は、はやての指示に素直に頷いた。

「続いて井上一等空尉やけど、山本二等空佐と同じくライトニング分隊の副隊長補佐として働いて貰いたいんや。ライトニング分隊隊長は色々と多忙夜からその補佐をしてもろうたいんや」
「了解しました」

健司の方も納得したようで、頷いていた。

「それじゃ、隊舎内の案内を、高町一等空尉、頼んでもええか?」
「はい!」

はやての頼みに、なのはは嫌な顔一つせずに了承した。

「それじゃ、二人も下がってええで」
「はい、失礼しました。」

続いて俺をここまで引きずってきた少女たちは一礼すると部隊長室を去って行った。

「二人は明日の朝礼の時に紹介するから、それまでは荷物の整理とかをしておいてな。後、山本二等空佐は少し残ってくれるか?」
「「わかりました」」

はやてからの指示に、俺達は頷いた。
そしてなのはと健司は部隊長室を後にすると、はやてが咳払いを一つした。

「うちが何を聞きたいかは分かっておると思うから、単刀直入に聞かせてもらうで」
「答えられる範囲でしたらお答えします」

はやての言葉に、俺はそう返した。
おそらく、はやては俺の事を本部が送り出したスパイだと考えている。
だとすれば、聞いてくる内容も確実に絞り込まれる。

「真人君は、地上本部から来たスパイなんか?」

やはり思っていた通りだ。

「さあどうでしょう? それはあなたのご想像にお任せします。ですが、考えても見てください。地上本部があなた達の弱みを握らせるためにわざわざスパイを送り込むような大それたことはするでしょうか?」
「何が言いたいんや?」

俺の問いかけに、はやての表情が変わった。

「つまり潜入させる方にはかなりのリスクがあります。それほどの危険を犯してまで潜入させるでしょうか? もしそれをするくらいでしたら査察を入れれば済む話ですし」

俺の答え方はこれだった。
YESかNOではなくあいまいな答えにさせておき、さらに疑問を投げかけるのだ。
俺は嘘は言っていない。
やったのはあいまいな受け答えと疑問の提唱だけだ。

「そうやったね。疑ごうてごめんな」
「いやいや、地上本部から来たのだと分かれば警戒して当然だ。それじゃ、これで失礼するよ」

そして俺は部隊長室を後にした。










外に出ると、なのはと健司が待っていた。

「お、もう話は終わったのか?」
「ああ。待たせて悪かったな、二人とも」

俺の謝罪に健司は気にするなと告げ、なのはは視線をそらすだけだった。

「それじゃ、隊舎の案内をするね」
「よろしくお願いします」

そして俺達の隊舎の案内が始まった。










『おい、真人』
『どうした? 健司』

案内をされている間、健司が念話で話し掛けて来た。

『いや、お前まだなのはと話が出来てないのか?』
『ああ』

健司の言葉に、俺は頷いて答えた。
俺となのはは8年前の事故から関係が悪くなってしまったのだ。
理由としては、俺がこうなったのは自分のせいだと思い詰めているなのはだ。
話をしようにも避けられてできないのが実際の所だ。
もちろんだが、俺はこうなったのは自分の未熟さが故だと思い、なのはのせいだとは思ってもいない。
だが、そのことを話したいのだが避けられては話しようがない。
そして今のようになってしまったのだ。

『全くしょうがない奴らだ』

健司のボヤキが非常に心に突き刺さった。










結局なのはと話すことが出来ず部屋に案内されたのだが……

「広っ!?」

その部屋はものすごく広かった。
一体何人部屋なのだろうかと思わせるほどだ。
しかもベッドも大きいし家具もそろっている。

「………きれいなバラにはとげがあると言う事で、クリエイトカメラ、マイクを探してくれる?」
『了解です』

俺は念のために、探知魔法をかけた。
その結果………

「マイクが冷蔵庫に一つ、テレビに一つ、天井にカメラが15台。やってくれるな子狸野郎」

案の定盗聴器やカメラが見つかった。
おそらく俺を監視するための物だろうが、詰めが甘い。

(防音魔法とかかけておくが)

俺はそう考えるとすぐに行動に移したのであった。










「真人、入るぞ」
「どうぞ」

夜、寝る準備をして後は報告だけという時、健司が訪ねてきた。

「どうしたんだ? こんな夜遅くに」
「………お前の部屋がどんなものかを見に来たんだが、すごいな」

しばらく間を開けると、健司は大げさに感想を述べた。

「健司はどこなんだ?」
「俺は相部屋さ。何だか赤毛の子供と親しくなっちまってさ。イヤーお前がうらやましい!」

俺としてはそっちの方がうらやましいんだが。

「そう言えばお前の恋人のアリスとはどうなんだ」
「と、突然何を聞くんだお前は!!」

俺の問いかけに、健司は顔を真っ赤にして必死に反論してきた。
ちなみにアリスと言うのは俺の元部下であり、ステッキを作ってくれた女性だ。
健司は彼女に告白をして受け入れてもらったらしい。

「今は現場を退いて自宅でデバイス作成とかやってるらしいよ」
「なるほどな」

最近姿を見かけないと思ったらそういう事だったのか。

「それじゃ、俺部屋に戻るわ。お前の負担になったらまずいしな」
「いや、負担に思ったことなんてないぞ。逆に感謝してるくらいさ」

俺の言葉に健司は片手を上げ、手を振りながら部屋を去って行こうとした

「あ、そうだ。言い忘れたことがあった」

部屋を後にしようとしていた健司は俺の方に振り返った。

「この部隊ははやての夢なんだ。それを邪魔するんなら………言わなくても真人ならわかるだろ? では、お休み」

俺の言葉を聞かずに、健司は部屋を後にした。

(やっぱりばれてるな)

俺は心の中でそう思いながら苦笑いを浮かべた。
だが、俺も任務で来ているのだ。
何もしないわけにはいかない。

「唯一出来るのは情報を伝えづらくすることくらいか」

俺はそう思いながら目の前にモニターを出すと報告データを打ち込んでいく。




出向1日目

本日、部隊長他分隊長たちと挨拶をした。
部隊長は八神はやて、分隊長には高町なのは、フェイト・T・テスタロッサの二人である。
その他のメンバーについては不明。
尚、本日六課のメンバーと拳を交えることになった。
中々に伸び代がありそうである。
明日から本格的に業務が始まる。
果たして、俺の運命はどうなるのであろうか……





「よし、これで送信」

俺は今しがたできたデータを送信した。
なぜ小学生レベルの作文形式にしたのかと言えば、情報が伝えにくいからだ。
今書いたものも、重要な情報は最初の三行のみだ。
あとは全部あまり関係がない日記のようなものになる。
要するに、向こうを苛立たせて何らかのアクションを取らせるのが俺の狙いだ。
首尾よく潜入任務の終了を宣告してくれればありがたいんだが。

「まあ、なるようになれ、だな」

俺はそう呟くと、ベッドに横になり眠ることにした。
こうして出向初日は幕を閉じたのであった。

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主人公設定(ネタバレ注意)

【名前】 山本 真人

【年齢】 19歳

【性別】 男

【容姿】 黒の短めの髪が特徴で、黒くて透き通った目が印象的。

【性格・その他】 10年前と比べるとやや活発的な性格となった。
         10年前に、執行人の手により、転生者の抹殺と言う責務と戦いの道へと歩んだ。
         8年前の事故により下半身不随、両目の失明と言った後遺症が残る。
         周りの人達の協力によって何とか日常生活を送り、任務に出れるまでになった。

【所得資格】

・戦技教導
・普通自動車運転免許
・執務官


魔法関連

【魔導師ランク】 SS+

【魔力ランク】 SSS+

【所持媒体】

・クリエイト

弓形態:執行人と契約した際に与えられた形態。
    魔力または、普通に作られた矢を使うことで、遠くの敵を狙い撃つ。
    
剣形態:執行人と契約した際に与えられた形態。
    剣に魔力を通すことで、さまざまな技を使うことができる。

杖形態:もとからあった形態。
    長距離の射程範囲を持つ高出力、高威力の魔法が行使可能。
    ただし、真人はあまり使わない

????

【使用可能魔法】

一刀両断(剣状態のみ):剣に魔力を通して相手に切りかかる半物理攻撃。
            その威力はまともに喰らったら、致命的なダメージを与えるほど。
            ただし、隙ができやすい。
            効果【物理大ダメージ】

ブレイク・イヤー(弓形態のみ):魔力で生成した矢を射る攻撃魔法。
                貫通力に長けており、どのような決壊や防御魔法ですらも貫く。                  その代りダメージは低めだ。
                効果【物理ダメージ+決壊(防御魔法)破壊】

ライトフレイヤー(弓状態のみ):魔力で生成した弓を放つ攻撃魔法。
                その威力は中程度だが一瞬にして5発分も放てる。
                また矢を使って、槍のように攻撃することも可能である。
                効果【物理ダメージ+追尾】

断絶(剣状態のみ):真人が新たに生み出したオリジナルの攻撃魔法。
          斬るというよりは爆撃に近い物なので、一刀両断に比べるとそれほどダメージは高くない
          ただしノックバック効果があり、相手を少々ではあるが後方へと吹っ飛ばす。
          効果【論理ダメージ+ノックバック(小)】

ブレイク・インパルス(弓状態のみ):ブレイク・イヤーの進化版。
                  軌道修正は不可能だが、高い攻撃力を誇る。
                  効果【物理ダメージ大】

ブレイク・イヤー マルチショット(弓状態のみ):ブレイク・イヤーを複数にしたもの。
                        威力は変わらずに最大15発を同時に放つことができる
                        効果【物理ダメージ(大)防御魔法破壊】

トレース(全状態可):すべての魔法弾や矢を相手に追尾させることができる。
           魔力を少々食う程度で、それほど影響もないためによく使用される。
           効果【追尾】

シール・プロテクション:真人が主に使う防御魔法。
            強度はそこそこだが俊敏に張ることができないため、いつもはクリエイトの自動防御に頼っている。
            効果【防御(中)】

リフレクション:相手の攻撃をそのまま跳ね返す魔法。
        シールプロテクションを展開しなければいけない。
        効果【反射】

ミラーインケルト:相手の攻撃を跳ね返す魔法。
         リフレクションのようにシールプレテクションを展開しなくてもいいため、多用できるが魔法陣に接触した魔法が圧力となって真人にのしかかるので、それほど使うことはできない。
         効果【反射】

一刀連舞(剣状態のみ):剣の一振りで相手に数回分の攻撃を加える魔法。
            威力はそこそこ弱いものの、最初の一撃を回避しない限り防ぐことは不可能なため、かなりの戦力となる。
            効果【物理ダメージ小+防御魔法無効化】

刃呪縛(剣状態のみ):剣の一振りで魔法刃を複数放つ攻撃魔法。
           その威力はどのような硬い物でも貫くことができるほどだ。
           また魔法刃に触れたすべての魔法は無効化される。
           しかしそれは自分の仕掛けていたトラップ魔法も含まれる。
           効果【貫通ダメージ中+全魔法無効化】

ブレイキング・ブレイク:魔力で生成した矢を槍のように扱う技。
            その威力はどのような鉄壁な魔導師でさえ、地面に倒れ伏すほどだ。
            ただし敵にかなり接近しなければいけないため、カウンターを食らいやすい。
            効果【貫通ダメージ大】

インバインド・カモフラージュ:別名光学迷彩ともいう。
               相手に自分の姿を見えなくする。
               ただし魔力や殺気などを出せば簡単に見つかり、また空間攻撃に対しては弱くなる。
               効果時間も30秒が限界なため、使いどころを間違えると戦局が不利になる。
               効果【光学迷彩+総合防御力低下(使用者)】

悪魔断拳:相手に魔力をまとった拳で攻撃をする技
     相手に3回殴りかかったのち、爆発を起こさせるため、喰らったら負けることは必至。
     効果【貫通・物理ダメージ大+防御魔法無効化】

神性典:執行人の持つ特殊な技を使えるようにランクダウンしたもの。
    魔法の力に対抗することができる。
    それ故、真人はほんの一部しか使えない

無を促す光の環:神性典の第2章に分類される技。
        すべての魔法や攻撃を防ぎつつ、そのエネルギーを吸収して自らのエネルギーに変換する。
        効果【防御(物理攻撃のみ)+吸収】
輪廻をせし円陣:神性典の第1章に分類される技。
        すべての魔法や攻撃を跳ね返す。
        ”リフレクション”と違うのは、本人に負荷がかからないのと、そのプロセスが簡単であること、および反射に追加して追尾能力がついていることである。
        効果【反射+追尾】

―――――――――――――――――――――――――――――――――

【名前】 井上 健司

【年齢】 19歳

【性別】 男

【容姿】 青のぼさぼさの髪が特徴で、黒くて透き通った目をしている。

【性格・その他】 明るく、よくムードメーカにもなるが、落ち役になることが大きい。
         10年前に海鳴市に転生。
         当初はハーレムを築こうとしたが、執行人や真人倒されたことと、事件の時 の自分の力のなさに気が付き改心した。
         今では裏方に徹している。
         現在は10年前のような力はなく、持っていた能力の9割を失った。
         真人の元部下にしてデバイスマスターのアリスと婚約。

【所得資格】

・普通自動車運転免許
・執務官補佐


魔法関連

【魔導師ランク】 AA+

【魔力ランク】 SSS+

【所持媒体】 なし

――――――――――――――――――――――――――――――――――

【名前】 執行人

【年齢】 ??

【性別】 男

【容姿】 黒の短めの髪が特徴で、紅い目をしている。

【性格・その他】 やや威圧的だが、気が合えばそれほど気にはならない。
         ただし気が合わないと徹底的に無視される。
         真人を魔法の世界に導いた張本人。
         自称世界最強の魔法使いだが、その真実は誰にもわからない

【所得資格】

なし

魔法関連

【魔導師ランク】 SSS+

【魔力ランク】 SSS+

【所持媒体】 なし

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第1話 一悶着と再会

「ふぅ」

俺、山本真人はレジアスさんのいる場所を出ると、力を抜いた。
すると、とても明るいはずの俺の部屋は一瞬で暗闇に覆われた。

「えっと、確か着替えとかはここら辺にあったはずだよな?」

俺は手探りで闇の中を探すと、クローゼットと思われる取っ手を見つけた。

「とりあえず中にある服は適当に持ってくか」

数もそんなに多くはないはずなので、向こうでも十分入るだろう。

「よし、こんなものだな」

俺は一通り準備を終えて再び意識を集中する。
すると、再び俺の視界は明るくなり俺の部屋が再び映し出された。

「さて、行きますか!」

そして俺は赴任先の新設部隊”機動六課”へと向かった。










突然だが、簡単に説明をしたいと思う。
あの事故の後、奇跡的に俺は生きていた。
医者の話では本当に運が良かったとのことだ。
しかし、その代償はあまりにも大きかった。
魔法資質に関しては全く……いや、事故に合う前よりも格段に良くなっていたので問題は無しだ。
但し肉体面で問題が残った。
それが下半身不随と両目の失明だった。
要するに俺はもう歩くことも、空を飛んで戦う事も出来ないのだ。
まあ、歩けたとしても両目が失明している時点で誘導弾一発も放てないが。
しかし今でも俺はいつも通りに任務に出ているし、そん所そこらの犯罪者に引けを取らない自信がある。
では、俺はどうやってそれを可能にしたのか。
それを説明するのはまたの機会にしよう。

「それにしても、随分と距離があるな」

俺はリニアレールに揺られながらぼやいた。
もうかれこれ1時間はかかってる。

(早く着かないかな)

今俺の視力は元通りの状態だ。
これは一種に魔力による。
目が見えないと言うのは目から取り入れられた情報が脳に伝わらないからだ。
ならば、その情報を魔力回路を通じて頭に取り込めばいい。
もちろんこれはそう簡単な事ではない。
なので執行人の力を借りて、眼からの情報伝達を切り替えて貰ったのだ。
それが完了するのに約半年はかかった。
そしてこの情報を見るには眼の魔力回路に、魔力を回さなければいけない。
しかし常に魔力を消費し続けるのは俺自身の疲労につながるために、こういった外に出る時と任務の時の身にしているのだ。
俺のやっていることは体に鞭を入れている……要するに常に自分を傷つけているのに等しいのだ。
だからこそ、俺は使い過ぎないようにするのだ。










「ふぅ、ようやくついたか」

あれから30分後、俺の目の前には新設された建物が見えた。
とりあえず検問所で中に入る手続きを取った。
これをやらないとここにいる魔導師が来て一悶着起こすことになるからだ。
そして検問所を通過すると、俺は目にかけている力を抜いた。
これで再び視力が失われる。

(ここから先の道順はすでに把握済みだ。あとは誰かに聞けばいい)

つまりそういう事だ。
そして俺は目を閉じているのを見られないために、まるでどこかのヤクザがかけているようなサングラスをかけた。
そして一歩一歩集中して六課の施設に向けて歩き出した。


★ ★ ★ ★ ★ ★


私、ティアナ・ランスターは早朝訓練を終えて建物の方に戻っていた。

「待ってよ、ティア!」

走りながら私を追ってくるのは、私の友人のスバル・ナカジマ。

「早く行くわよ。昼食の時間が無くなるわよ」

私は呆れながらそう言うと再び歩き出した。

「ねえ、あれみて!」
「何…よ」

私はスバルが指差す方向に目を向けた。
そこには青いジャケットにジーパンと言う格好で、真っ黒なサングラスをかけている男の人の姿があった。
しかもその人はゆっくりとした足取りで、こっちに向かってきていた。

「なんか怪しいよね、あれ」
「そうね。ちょっと話でも聞いてみましょう」

私はスバルにそう言って男の人の元に向かう。

「あの、すみません。機動六課に何かご用ですか?」
「………」

私の問いかけに男の人は何も答えずに歩いて行く。

「あの、ここから先は許可がないとは入れないんです! 許可証を見せてくれませんか!」
「………」

続いてスバルが男の人に声をかけるけど、男の人は無視して歩いて行く。

「気づいてないってことは……ないよね?」
「あるわけないでしょ。私達の問いかけに二回も無視しているし、私たちの姿が見えてるんだから」

スバルの問いかけに私はそう答えた。

「とりあえず拘束して事情を聴きましょう」
「うん。そうだね」

私はスバルにそう言うとバリアジャケットを展開した。

「許可証の掲示を拒否、立ち入り禁止区域内に侵入したので拘束します」

そして私は男の人にバインドをかける。

「なっ!? バインド?!」

男の人はまるで突然やられた風に驚いた。

(白々しいわね)

それが私の感じた印象だった。
この時、私はそれが早とちりであることに気づかなかった。


★ ★ ★ ★ ★ ★


「なっ!? バインド?!」

俺は突然体を拘束され、驚いた。

(手荒い歓迎だな)

俺は内心苦笑いを浮かべながら目に魔力を通す。
すると視力が戻った。
俺の目の前には、白を基調としたバリアジャケットに身を包むオレンジ色の髪をした少女と、同じく白を基調としたバリアジャケットに身を包む青髪の少女の二人がいた。
それぞれはデバイスのようなものを構えていることから、かけたのはこの二人で間違いないらしい。

「いきなり拘束とは中々だな」
「白々しいわよ。私の忠告を無視した挙句に立ち入り禁止区域に無許可で侵入したからよ。あなたには

不法侵入の罪があります」
俺の言葉に、オレンジ色の髪をした少女が反論してきた。
………何だろう、逆切れだとは分かっているのだが、頭にきた。

「所でこれを解いてくれないかな? これは最終警告だ。こっちも可愛い御嬢さんたちに怪我を負わせ
るようなまねはしたくないし」

「「か、かわいい!?」」

なぜか俺の言葉に顔を赤らめる二人。
しかし二人からは解く気配が感じられない。

「拘束解除の気配なし。敵と判断し対処します。クリエイト、セットアップ」
『All,right.my master』

俺の呼びかけにクリエイトが答え、黒を基調としたバリアジャケットが展開された。
そして手に持つステッキを背中に固定する。
実は俺がこうして歩けるのは、このステッキのおかげだったりするのだ。

「それでは、山本真人、参る!」
「行くわよスバル!」
「うん!」

そして俺達の戦いは始まった。

「クロスファイアー、シュート!」
「無駄! シールプロテクション!」

俺はオレンジ色の髪をした少女からの魔法弾を防御障壁で防ぐ。
強度が上がっているからか、それほどきつくはない。

「おりゃあああ!!」
「真正面からツッコむのは、馬鹿と言う!! ブレイクインパルス!」

俺は目の前からツッコむ青髪の少女に矢を放つ。
それは命中すると思えた。
だが……

「なッ!?」

何と少女の姿が消えたのだ。
瞬間移動でなければおそらくは………

(幻術か)

俺はそう判断すると上空に飛翔しようとした。
地上では幻術使いとは相性が悪い。
そう判断したからだ。

『マスター後ろです!』
「っ!!?」

俺はクリエイトに言われて、慌てて後ろを向いた。
そこには銃の様なデバイスをこちらに向けているオレンジ色の髪をした少女がいた。

「クロスファイアー、シュート!」

確認するのと同時に放たれた魔法弾を俺は身をそらすことで避けた。
………はずだった。
鋭い音がした瞬間、俺は足の力が無くなって行き、そのまま地面に倒れた。

「なっ!? ま、まさか」

俺は周りを見渡した。
そして見つけた。
俺が歩いたりするのに必要な黒いステッキが弾き飛ばされていた。
どうやら、オレンジ色の髪をした少女の魔法弾が当たったのだろう。

「くそ!」

俺は、上半身だけで黒いステッキを取ろうとするがそれはバインドによって防がれた。

「終わりです。あなたを逮捕します」

気づけば目の前には、銃をこちらに突き付けるオレンジ色の髪をした少女が立っていた。

(ここまで…か)

俺は諦めにも近い感じで力を抜いた。


★ ★ ★ ★ ★ ★


「クロスファイアー、シュート!」

私が男の人に放ったクロスファイア―は、男の人に避けられた。
ですが……。
鋭い音を立てて、男の人が背中につけていたステッキが弾き飛んだ。

「くそ!」

すると、男の人は突然地面に倒れこむと上半身だけで黒いステッキを取ろうとしていた。
それに唖然としながら私は男の人にバインドをかける。

「終わりです。あなたを逮捕します」

私は男の人にクロスミラージュを突き付けてそう告げた。

「分かった、降参だ。抵抗はしないから一つだけ頼みを聞いて貰っていいか?」
「内容にもよりますけど」

私は男の人の提案に、警戒しながら答えた。

「ここの……機動六課の部隊長に合わせてほしいんだ。そこですべてを話す」
「…………聞いてみますので待ってください」

私はスバルに男の人が逃げ出さないように監視してもらうと、男の人から少し離れた場所で部隊長に通信をつなぐ。

『どうしたんや?』
「お忙しい時にすみません。八神部隊長に会いたいと言う人がいるんですけど」

私はここ機動六課の部隊長の、八神部隊長に事情を説明した。

『うーん……とりあえず連れてきてもろうてええか?』
「はい。失礼します」

私は通信を切ると、男の人の所に戻った。

「部隊長が会うそうです。ついて来てください」
「そうか。あとついでに黒いステッキ―を渡してくれるか?」

男の人がさらに要求してきた。

(あの黒いステッキー、この人にとってかなり重要な物であるのは間違いないわね)

問題はそれがどのような物か。
仮にここでこの人に聞いても素直に答えてくれるだろうか?
そしてもし要求通りにあれを渡して、抵抗されたら八神部隊長に危害が加わる可能性もあった。
なので私の出した結論は。

「すみません。それはできません」
「え!? って、おい! 引きずるな! って痛い痛い!」

私は有無も言わせずに男の人を腕をつかんで引っ張って行った。


★ ★ ★ ★ ★ ★


「部隊長が会うそうです。ついて来てください」
「そうか。あとついでに黒いステッキ―を渡してくれるか?」

俺は何とか部隊長と会えることが出来るので、ほっと安心してもう一つ頼みごとをした。
あれがないと俺は歩くことが出来ないのだ。

「すみません。それはできません」
「え!? って、おい! 引きずるな! って痛い痛い!」

しばらく考えて出された結論に、俺は反論しようとしたが、オレンジ色の髪の少女は俺を引きずりだしたのだ。
分からないかも知れないが、引きずられるのはかなり痛い。

「でしたら立てばいいのでは?」
「だからそれは……あぶ!?」

青髪の少女が俺にそう言ってくるが、俺は反論しようにも引きずられる痛みで満足に話すことが出来ない。
今日は本当に厄日のようだ。


★ ★ ★ ★ ★ ★


私、八神はやては長年の夢だった部隊を設立することが出来た。
そして最初の任務も大成功と言う実に好調な滑り出しとなったのだ。
なので、とても今は問題はないはずなのだが……。

「はぁ……」
「どうしたのですか? はやてちゃん」

ため息をつく私に夜天の書の融合機でもあり、私の家族でもあるリインフォース・ツヴァイが心配そうに聞いてきた。

「いやな、今日一人ここに、出向してくるらしいんや」
「そうなんですか、でもそれがはやてちゃんの溜息とどう関係が」

私はリインフォースに見えるように、書類を見せた。
出向してくる人の名前は書かれてはいなかったけど、魔導師ランクや経歴、資格そして元の部隊名が記されていた。

「名前が書かれてませんね。って、元の部隊は地上本部なんですか!?」
「そうなんよ。あまり疑いたくはないんやけどスパイやないかと私は考えとる」

しかも元の部隊は地上本部のレジアス・ゲイズ中将の部隊。
あの人は私たちの事を嫌っていたので、そういう事も考えてしまう。

「「失礼します」」

そんな中、私が呼んでいたなのはちゃんと、フェイトちゃんが部隊長室に入ってきた。

「あ、忙しいのに呼び出してごめんな」
「ううん、気にしなくても大丈夫だよはやてちゃん」
「そうだよ、はやて」

私の謝罪の言葉に二人は笑顔でそう言ってくれた。

「フォワードの調子はどう?」
「うん。前の任務がいい刺激になったみたい。みんな頑張ってるよ」

私はなのはちゃんの答えを聞いてうれしく思った。

「ところで、呼び出したのはどうして?」
「そうやった、実はね――――」

私はリインには成したのと同じ内容の話をした。

「魔導師ランクSS!?」
「しかも元の部隊はレジアス・ゲイズ中将の部隊」

二人はそれぞれ違った反応を示す。

「もしかしたらスパイやないかと私は考えとる。二人はどう思う?」
「うーん。あの人は私たちのような魔導師をあまり快く思っていないって言うけど……」
「だからと言ってスパイまでよこすようなことをするなんてあまり考えられないかな。もしかしたらちょっとした嫌がらせかもしれないよ」

私の問いかけに、二人は意見を出してくれた。

「そうやね。とりあえずは会ってみないと分からないね」

そんな時だった。

「どうしたんや?」

突然つながった通信に、私はそう問いかけた。

『お忙しい時にすみません。八神部隊長に会いたいと言う人がいるんですけど』

相手はティアナだった。

「うーん……とりあえず連れてきてもろうてええか?」

私は首を傾げながら、ティアナにお願いした。

『はい。失礼します』

そして通信は閉じられた。
そしてそれから数分後。

「八神部隊長。男の人を連れてきました」
「うん、お疲れさ………って、何で引きずっとん!?」

私の元に訪れたティアナとスバルに私は、地面でうつぶせに倒れている男の人のを見て思わずそう叫んでしまった。

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プロローグ 出向命令

俺はすべてを失った。
力も、自由も何もかもを。
でも、それでも俺は前に進まなければいけない。
だから俺は進み続ける。
例えそれが地獄だったとしても。









ここは管理局地上本部
そこの首都防衛隊の隊長でもある、レジアス・ゲイズ中将のいる部屋に俺は向かっていた。

「失礼します■■二等空佐です」
「入りたまえ」

ドアをノックして告げた俺にレジアスさんが入出を許可した。
俺は中に入ると俺に背を向けて外を見ているレジアスさんの後ろの方に移動した。

「何の用でしょうか?」
「お主に新たな任務を頼みたい」
「任務とは、一体どのような物ですか?」

俺は任務の内容を尋ねた。

「そこに資料がある。目を通したまえ」
「古代遺物管理部機動六課………何ですかこれ?」

俺は資料に目を通すと、聞いたこともない部署の名前があった。

「つい最近に立ち上がった部署だ。戦力の偏り、何より部隊を作る事由も見当たらん」
「……確かにこれだけの戦力が集まりしかも理由まで分からないとなると、かなり怪しいですね」

俺は、レジアスさんの言葉に賛同した。
その戦力は平均魔導師ランクがSSはあるほどだ。
明らかに異常で、良からぬことを企んでいるともとられかねない。

「そこでだ、お主にそこに潜入してもらいたい。何をするかは、分かっておるだろ?」
「はい。この部について色々と調べればいいんですよね?」

俺の答えにレジアスさんは俺の方に顔を向けると、満足げに頷いた。

「調べて貰いたいのは、奴らのたくらみやもしあればスキャンダルのネタだ。毎日データにして指定した場所に報告をするように」
「はい!」

俺は、レジアスさんの言葉に返事をした。
要するに俺はこの機動六課にスパイ行為をするのだ。
心が痛まないと言えばうそになるが、何かがあってからでは遅いのだ。

「くれぐれも、ばれることの無いようにな? それだけじゃなくてもお主は体に問題があるのじゃからな」
「ご心配ありがとうございます。ですが大丈夫です。たとえ何が起ころうと、任務は成し遂げて見せます」

心配そうに注意をしてくるレジアスさんに俺は安心させるように明るく答えた。
俺は8年前のある事故がきっかけでからの自由をすべて失っているのだ。

「そうか。では、■■二等空佐。これより出向任務に当たれ!」
「了解!」

こうして、俺は潜入調査の任務にあたることになった。
それは、俺にとっての運命を変える1年の始まりでもあった。

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