健康の意識 忍者ブログ

黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第32話 うごめく陰謀

夜、地上本部の最上階にある展望室

「何だ一体何事だこれは……」

そこでは、海上で戦闘が展開されていることに激昂する一人の男、レジアスとその戦闘を冷静に見る女性がいた。
女性はレジアスの秘書である、オーリス・ゲイズだ。

「本局遺失物捜査部、機動六課の戦闘……その映像です。撃たれているのはかねてから報告のあるAMF能力保有のアンノーン。撃っているのはおそらく六課の部隊長……魔導師ランクは総合SS」
「ん? 機動六課と言うと、あいつから報告があったな。後家人と部隊長は?」

オーリスの説明に、レジアスは真人の報告書の内容を思い出し、オーリスに問いかける。

「後家人の筆頭は本局次元航行部隊提督、クロノ・ハラオウン提督とリンディ・ハラオウン統括官、そして聖王教会の騎士、カリム・グラシアなどの御三方です」
「ちぃ……英雄気取りの青二才どもが……」

オーリスの答えに、レジアスは嫌悪感をあらわにする。

「部隊長は八神はやて二等陸佐」
「八神はやて……あの八神はやてか!?」
「はい……闇の書事件の八神はやてです」

オーリスの言葉を聞いたレジアスは机を思いきり叩き、モニターを睨みつける。

「中規模次元侵食未遂の根源!! あのギル・グレアムの庇護者……どちらも犯罪者ではないか!!」
「八神二佐らの執行猶予期間はすでに過ぎていますし……グレアム提督の件は不問ということになっています。ですから――――」
「同じ事だ!!犯した罪が消える物か!!」

オーリスの言葉を遮って叫ばれた言葉に、オーリスの目が鋭くなった。

「………問題発言です。公式の場ではお控えなさいますよう」
「……分かっている。忌々しい、海の連中はいつもそうだ。危険要素を軽視しすぎる」

オーリスの注意にレジアスは頷くと嫌悪感をあらわにして海……本局を批判する。

「中将は二年前から、地上部隊への対AMFの対応予算を棄却されておられますので、本局と聖王協会が独自策として設立させたのでしょう」

オーリスは六課の創立の理由の見解を言った。

「あいつからはほかに報告はないのか!」
「いいえ、ここ最近は報告をされておりません。こちら側の連絡も一切拒否されております」

その言葉に、レジアスは苛立ちをあらわにした。

「近くお前が直接査察に入れ。何か一つでも失態や問題点を見つけたら即部隊長の査問だ」
「は!」
「平和ボケの教会の連中に良い材料になるかもしれんからな」

レジアスはそう告げると、展望室を後にする。

「了解しました」

それをオーリスは敬礼して見送った。
その陰謀は少しずつではあるが六課に迫って来ていた。


★ ★ ★ ★ ★ ★


割り当てられた部屋に入ると、そこには寛いでいる健司の姿があった。

「………」
「おう、真人。やっと戻ってきたか」
「何をやっているんだ?」

俺は、眉を顰めながら健司に聞いた。

「疲れたからここで休んでたんだよ。何せ俺は5,6人分のデスクワークをやらされたんだからな。それに俺の場所は二人だからゆっくりしずらくてな」
「………うっ!?」

健司の言葉に、俺は申し訳なさでいっぱいになった。
よくよく考えたら、休み呆けている健司が悪いのだが。

「まあ、良いか。それよりも、その様子だと結ばれたようだな。おめでとう」
「あ、ありがとう」

健司にはお見通しだったようで、俺は照れているのを隠しながらお祝いのお礼を言った。

「………」

だが、そこで俺は考えてしまう。
今俺はここにはスパイとして来ている。
それはこの部隊を………友人や恋人を騙しているに等しい。
そんな俺がなのはと付き合う資格はあるのだろうか?

「なあ、健司」
「ん? なんだ?」

俺は気付くと健司に声をかけていた。

「もしも、もしもの話だぞ」

”もしも”を強調すると、俺は仮定の話を切りだした。

「もしも、お前がお世話になっている人からある部隊への諜報活動を命じられて、そこには自分の友人が部隊長をしている場所で、そこには健司の恋人がいたとしたら、健司はどうする?」
「……」

俺の仮定に健司は真剣な面持ちで俺を見据える。

「俺なら」

健司は唐突に口を開いた。

「俺なら諜報活動をやめて部隊長に本当のことを話して土下座で謝るな。友人の部隊で、しかも恋人がいるのであれば尚の事だ」
「………そうだよな、普通はそうするよな」

健司の答えを聞いた俺は、そう返した。

「決心が出来てるのなら、さっさと行け」

健司はすべてがお見通しと言わんばかりに言ってきた。
この時の俺は、とても清々しい気分だった。
だから俺は部屋を出る直前に振り返ると、

「健司、サンキュ」

お礼を言って部屋を出るのであった。
向かう先は、はやてのいる部隊長室だ。

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第31話 危機と奇襲

はやてちゃんの攻撃の射程範囲害に退避した私とフェイトちゃんは、ヘリの方に向かっていた。

「見えた!」
「よかった……ヘリは無事」

ヘリの近くには警護するように真人君がいた。
ヘリが飛んでいるのを見て、私たちは安堵した。
ですが、離れた場所から魔力のようなエネルギーを感じた。

【市街地にエネルギー反応!】

「「ッ!?」」

ロングアーチからの報告に、私たちは驚きのあまり息をのんだ。

【砲撃のチャージ確認! 物理破壊型、推定Sランク!】
「フェイトちゃん!」
「うん!」

私は一緒に飛んでいるフェイトちゃんに声をかけて速度を上げた。

(真人君がいるけど、あんなのを防いだら負担がかなり掛かる。でも、私達が行けば真人君の負担が減らせられる!!)

私は頭の中でそう考えながらヘリの方に向かう。
しかし………

「「なッ!?」」

私達の努力もむなしく、砲撃は私達が到着する前にヘリに向けて放たれた。

「真人君!!」

爆煙に覆われて真人君やヘリがどうなったかが分からない。
私が最悪な状況を考えた時だった。

【こちらスターズ5、砲撃との相殺に成功! ヘリおよび周辺地域に被害は無し】

真人君の報告が聞こえてきたのと同時に、煙が晴れて行った。
その体は黄色い光が纏っていた。

【真人!】
【真人君! 大丈夫なの!?】

私とフェイトちゃんは真人君に念話で真人君に聞いた。

【二人とも、そんなのは後だ! 早く行け!】

真人君の”行け”は、砲撃を放った人物の所へと言う意味だと私は直感で悟った。

【分かった!】

フェイトちゃんも同じだったようで、真人君に返事をすると素早く砲撃の放たれた方角へと向かって行った。
私もそれに続く。


★ ★ ★ ★ ★ ★


「下の方に行かなくてもいいのか?」
「下には執行人がいるし、言ったらここを守るものがいなくなる」

俺はヴァイスと言葉を交わしながら周りの警戒をしていた。
何も起こらなければ良い。
だが、俺の中で何かが起こると言う予感がひしひしと感じていた。
そんな時、エネルギーを感じた。

【市街地にエネルギー反応!】

遅れてロングアーチから報告が入った。

【砲撃のチャージ確認! 物理破壊型、推定Sランク!】

(くそッ!)

「ヴァイス、念のために姿勢を低くして衝撃に備えて!」
「了解!」

俺は内心で毒吐きながら、ヴァイスに指示を出す。

(前のようにはならないぞ! 絶対に)

俺はそう誓い左手を前に………エネルギー反応がする方向へと掲げた。

「神性典・第1章………」

詠唱の途中に、砲撃が放たれたのか、ものすごい速度で膨大なエネルギーがこっちに向かってくる。

「無を促す光の環!」

直撃するよりも早く、詠唱は完了し、俺の前方に白銀の魔法陣が展開される。
そして、その魔法陣に砲撃が止められた。
それと同時に俺の方にそのエネルギーがまるで滝のごとく流れ込む。

「ッぐ!!」

その重圧に顔をしかめるが、なのはのSLBに比べれば大したこともない。
触れた衝撃で爆煙が立ち込めるが、少しずつ流れ込むエネルギー量が減ってくる。

(あと少しだ!)

俺はそう解釈するとさらに踏ん張った。
やがて、砲撃によるエネルギーが無くなった。
それは俺が耐え切れたことを示すものだった。

(ッと、そうだった)

俺は急いでこのエネルギーを放出する。
そうしなければ中から許容量を超えたエネルギーで崩壊するからだ

「クリエイト、フルパワーモード!」
『了解です。マスター』

俺の指示を聞いたクリエイトの応答によって、俺の体中に力が漲った。

【こちらスターズ5、砲撃との相殺に成功! ヘリおよび周辺地域に被害は無し】

俺はすかさずロングアーチに報告をする。

【真人!】
【真人君! 大丈夫なの!?】

するとなのはとフェイトの念話が聞こえてきた。

【二人とも、そんなのは後だ! 早く行け!】

俺は二人に砲撃を放った人物の所に行くように言った。

【分かった!】

その念話の瞬間、金色の光が飛んでいくのを見た。
しばらく遅れて桃色の光も飛んで行った。
俺はしばらくはその場で待機することにした。


★ ★ ★ ★ ★ ★


市街地のとある場所に、ボディースーツを着た三人の人物の姿があった。

「ふぅ、トーレ姉さま、助かりましたぁ」

白衣を身に纏い、栗色の髪にメガネをかけた女性……クアットロが横に立っている紫色の紙に、目つきが鋭い女性……トーレにお礼を言う。

「感謝……」

横にいる短めの栗色の髪をした女性……ディエッチは申し訳なさそうにお礼の言葉を呟いた。

「ぼうっとするな、さっさと立て! 馬鹿者共め」

そんな二人に鋭い視線を送りながら厳しく言い放った。

「監視目的だったが、来ていてよかった。セインはもうお嬢とケースの確保を完遂されたそうだ。合流して戻るぞ」
「はぁい、トーレ姉さ――――っぐぅ!?」

トーレの言葉に、答えようとしたクアットロは突然くぐもった声を上げるとその場に倒れた。

「クアットロ!?」

突然の事態に二人は慌ててクアットロに駆け寄る。

「がぁ!?」

その瞬間、次はディエッチがクアットロと同じように地面に倒れた。

「ディエッチ!?」

一瞬の出来事にトーレは混乱するが、すぐにそれに気が付いた。

「これは……矢?」

クアットロとディエッチの背中には、矢が突き刺さっていたのだ。
しかも人で言えば心臓がある位置だ。

(何と言う恐ろしいやつだ)

矢を放った人物に恐怖感を抱きつつ、トーレはすぐに周囲に視線を向ける。

(これを放った奴は、次は私を狙うはず)

だが………

「ッ!?」

突然の風切り音がする。
横を見ると、地面に倒れ伏すクアットロの背中………最初の矢のすぐ近くに二本目の矢が突き刺さっていた。
そして再び風切り音、次はディエッチだ。
すかさず風切り音が響く。

「一体どうなっているんだ、これは」










二人が市街地のとある場所に降り立ったころ、そこから離れた場所にあるビルの屋上に佇む一人の人物の姿があった。

「見事に隠れてたみたいだが、執行人の捜索網からは逃れることはできない」

その人物は、真人であった。
彼の目には三人組が佇んでいるのが見えていた。

「おいたと仲間を傷つけるとどうなるか、教えてあげる」

そう呟くと真人は弓状のクリエイトに普通の矢をセットする。

「第一射!」

そして真人はクアットロの背中に照準を合わせると矢を射た。
そこはちょうど心臓のある位置だ。

「続いて第二射」

すかさず真人はディエッチにも同じ位置に矢を射る。

「慌ててる慌ててる。警戒しているようだけど、これは魔力を使わないものだから、把握するのは難しいと思うけど………第三射」

周囲を警戒するトーレをあざ笑うように、真人はクアットロの背中に向けて再び矢を射る。
正確無比に狙撃できるのは、クリエイトのサポートと真人自身が持つ弓矢のスキルだった。
しかも本人は微妙な力加減をしており、致命傷にならないように手を抜いている。
真人はどんどんと矢を射る。
約20本の矢を射た時だった。

「毒矢、第一射」

それは矢の先端に毒が塗られている矢だった。
その矢を真人は容赦なく二人に向けて射る。
ちなみにその毒は記憶の混乱を引き起こすものだった。
具体的に言うとその場での記憶が狂い、本人では何があったのかが理解できなくなると言うものだ。
二本の矢は寸分たがわずに二人に命中した。

「ラスト一本、目には目を歯には歯を!」

そして真人はトーレの足元に照準を合わせると毒矢を射た。
それは命中し、トーレは足の痛みをかばいながら去って行った。

「………お遊びが過ぎたかな?」

真人はクリエイトを剣状にしながら、静かに呟いた。
本気であれば、真人は三人を捕まえることもできた。
それをしなかったのは、仲間を傷つけようとしたことに対する復讐であったのだ。

「さて、帰還しますか」

真人は最後にそう呟くと、その場を後にするのであった。

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第30話 狂気と危機

「あはははは!! どうしたどうした!」

地下の方で未だに続くのは、一方的な攻撃だった。
絶え間なく放たれ続ける無限の剣が、反撃を許そうとしない。

「くっそ、何なんだよ、あいつは!!」

アギトが思いっきりぼやく。

「ね、ねえ、あれ止めなくてもいいの?」
「あんた、あの中に飛び込む勇気ある?」

物陰に隠れていた新人の一人、スバルがティアナに聞くが、ティアナの問いかけに詰まった。
目の前には常に放たれ続ける剣。
貫かれれば怪我では済まない。
つまりは………。

「ないです!」

そういう事であった。
そんな時であった。
突然の爆音とともに、天井の一部が崩れた。

「捕えよ、凍てつく足枷!フリーレン・フェッツェルン!」

その中から現れたリインにより、アギトとルーテシアは捕えられた。

「ぶっ飛べー!!」

さらに巨大化したハンマーで、ヴィータはガリューを吹き飛ばした。

「ところで、何だこの状況は?」
「え、えっとですね………」

スバルは慌てて事情説明をした。
それを聞き終えたヴィータは、大暴れした人物を睨みつける。

「対象ロスト。気配を感じない」

睨みつけられている執行人はどこ吹く風とばかりに、そう呟いていた。

「何?」

しかし執行人の言葉に、ヴィータは表情を険しくすると、自分が吹っ飛ばしたガリューがいると思われる穴の開いた壁へと向かった。

「……ちっ」
「こっちもです……逃げられた、ですね」

誰もいないことに気付いたヴィータは舌打ちをし、二人が逃げたことを知ったり院は悔しげにつぶやくと自分の掛けていた魔法を止めた。
そこには地面に穴が開いているだけで、二人の姿はどこにもなかった。
そんな時、突然地震が起こった。

「なんだ!?」
「大型召喚の気配があります………多分、それが原因で」

エリオに寄り掛かりながら立ち上がったキャロが、今起きている現象の理由を言った。

「ひとまず脱出だ! スバル!」
「はい! ウイングロード!!」

スバルによってウイングロードが展開された。

「スバルとギンガが先頭で行け! あたしは最後に行く!」
「「はい!」」

ヴィータの指示を聞いた二人は脱出を始める。
そんな中、ティアナはキャロにある指示を出す。
それをよそに執行人も脱出を始める。










執行人の性格、それは自由気ままに尽きる。
マスターである真人から指示がなければ何もしない。
するのは必要最低限の事だけからも、よく分かることだ。
つまりは、新人たちがルーテシアたちを掴まえる間、彼は誰にも見えないように彼女たちの近くに立っていた。

「ここまでです!」

そんな中、リインによって二人はバインドで縛られた。

「子供を虐めてるみてーでいい気はしねぇが、市街地での危険魔法使用に公務執行妨害、その他諸々で逮捕する」

ヴィータは複雑な表情で二人にそう告げた。
そして事情聴取を始める。

「………」

そんなやり取りがあるにもかかわらず、執行人は全く関係ない場所を見ている。
………いや、睨みつけているの方が正しい。

「逮捕は良いけど……大事なヘリは……放っておいていいの?」
『っ!?』
「む?」

ルーテシアから呟かれた言葉に、執行人を除く全員が息をのんだ。
執行人は目を閉じた。

「あなたはまた……護れないかもね」
「っ!?」

『砲撃ヘリに直撃………そんなはずはない! ジャミングがひどすぎて状況確認できません』

通信で伝えられた絶望的な知らせに、全員が呆然としていた。

「てめぇ!!」
「副隊長、落ち着いて!」

怒り心頭でルーテシアの方を掴むヴィータに、スバルが落ち着くように促す。

「うるせえ! おい、仲間がいんのか!? どこにいる!? 言え!」
「エリオ君、足元に何か!」

そんな時、エリオの足元に指のようなものが出ているのに気付いたギンガが大きな声で叫び警告を出す。

「え? ……うわあ!?」
「いただき」

エリオが足元を見たのと同時に、青髪の少女、セインが飛び出し箱を奪う。

「くそ!」

ティアナの魔力弾も地面に潜ってしまった彼女には効かず、全員がその場所へと向かった。
その隙を突かれ、ルーテシアはセインに抱きかかえられて地面に潜った。

「くっ! ……ちくしょぉおお!」

最悪な状況に、ヴィータは地面にうずくまって叫んだ。

「ヘリは……ヘリは無事か!?」

そして、ヴィータははっと気が付きヘリの安否を聞いた。

『今確認中です』

通信で帰ってきた言葉に、ヴィータは焦りながら待つ。
そして………

『確認取れました、ヘリは………』

ロングアーチによってヘリの安否が告げられた。

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第29話 連鎖

突如として増加したガジェットは俺達を着実に追い詰めていた。

「実機と幻影の混成編隊……」


「防衛ラインを割られない自信はあるけど、ちょっときりがないね。真人君は大丈夫?」
「こっちは大丈夫だ。ブレイクイヤーマルチショット!」

なのはの問いかけに、俺は矢を放ちながら答えた。
命中はしたが、それは幻影らしく消えた。

「ここまで派手な引き付けをするってことは……」
「地下か、ヘリの方に主力が向かってる」

今俺たちはなのはの展開した球体型のシールドによって守られている。
ここを出ればガジェットの集中砲火を受ける事だろう。

「なのは、私が残って此処を抑えるから、ヴィータと一緒に。真人はヘリの方に回って」
「フェイトちゃん!?」

フェイトの突然の指示に、なのはが驚いた様子で声を上げた。

「三人でも普通に空戦してたんじゃ時間がかかりすぎる。限定解除すれば広域殲滅で纏めて落とせる」
「それはそうだけど……」
「なんだか嫌な予感がするんだ……」

フェイトの言葉には俺も同感だった。

『割り込み失礼。ロングアーチからライトニング1へ部隊長権限で却下します』

そんな時、はやての通信によって却下された。

「「はやて!?」」
「はやてちゃん、どうして騎士甲冑!?」

モニターに映し出されたはやての制服はいつもの六課の物ではなく、騎士甲冑へと変わっていた。

「いやな予感は私も同じでな。クロノ君に私の限定解除許可をもらった。空の掃除は私がやる。なのはちゃんとフェイトちゃん、真人君は地上に向かってヘリの護衛」
「そしてなのは達は地上に、俺は急いでヘリの方向に向かった」


★ ★ ★ ★ ★ ★


地下では、かなりおかしく壮絶な戦いが繰り広げられていた

「何なんだよ、あれは!」
「……怖い」

おかしかったのは襲撃者の紫色髪をした少女……ルーテシアと、黒い動物のような生物のガリュー、そしてその近くにいるユニゾンデバイスである、アギトの三名が必死の形相で逃げ回っていることだ。
それはまるで一般市民のように。
しかもルーテシアは追いかけてくる人物にとてつもない恐怖を抱く始末。
その人物が……
「あははははは!! どうした、どうしたぁ! 最初の威勢はどこに行きやがったぁ!!」
まるで狂ったかのように笑い、目を血走らせて、手から大量の刃物を投げる執行人の姿だった。
そもそもどうしてこうなったのか。
それは、執行人がやられたころにさかのぼる。










「執行人さん!!」
「状況A、認証。マスター権限より伝えられた任務を遂行。目前敵の完全排除までの間、能力解放……開始!」

心配して駆け寄るスバルをよそに、執行人は機械のようにつぶやくと、突然魔力を上げて何の戸惑いもなく刃物(ナイフや剣や刀等々)を三人に向けて投げ飛ばしたのだ。
最初は抵抗したが、その狂気に怯え逃げていると言う事だ。

「な、何? この状況」
「わ、分からないわよ。とりあえず真人さんに確認してみる」

スバルの問いかけに答え、ティアナは念話で真人に確認を取る。

【ああ、それはおそらく一度倒されたことで能力解放の行動を起こしたようだな。執行人はやられればやられただけ強くなっていくんだ】

(何、その怖い能力!?)

真人の念話を聞いていた全員が心の中でそうツッコんだ。
今でも地下では執行人の放った刃物が、轟音を立てて突き刺さる音が響き渡っていた。

【止める方法は!】
【執行人を倒した連中の姿を彼の前から消させる。そうすれば今の状態は止まるはず。与えた指示は目の前にいる敵を叩き潰すことだから】

以外にもシンプルな方法に、ティアナは一瞬こけそうになった。
だが、目の前にいる三人はレリックを持っている。
そう簡単に逃がすわけにはいかない。
そのことが分かっているのか、真人はさらに続けた。

【レリックを取りたい場合は、『執行人の攻撃を止めるにはレリックを置いて姿を消さなければいけない。そうしないとどこまで追い掛け回していく』と伝えれば?】
【で、でも、それって嘘なんじゃ】
【嘘ではないさ。姿を消さなければ攻撃は止まらないし、それをしなければ何処までも追い掛け回していくのも本当さ。ただレリックを置いていくと言うフレーズを付け加えるだけだし】

真人は最後に”まあ、どうするかは現場の指揮官にお任せします”と告げると念話を一方的に切った。

(ああもう!)

そしてティアナは行動に移すのであった。










(あ、そう言えばあのことを伝えるのを忘れてた。まあ、いいか)

この時、真人は致命的なミスを犯していた。
それはかなり重要な注意点でもある『執行人に攻撃をすると、仲間であれど攻撃対象に加わる』と言う事を伝え忘れたことだ。
このことが元で、後にとんでもないことが起きようとは、予想だにもしていない彼であった。

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第28話 緊急事態

緊急連絡を受けた俺達は急いで指定された場所へと向かった。
たまたま近かったこともあり、フェイトたちと同時に到着することが出来た。

「……うん、バイタルは安定してるわね。危険な反応もないし、心配ないわ」

一通り検査をしたシャマルさんの結果に一同がほっと安心した様子だった。

「ごめんね皆。お休みの最中だったのに……」
「いえ」
「大丈夫です」

フェイトの謝罪に、エリオとキャロは笑顔で返事をした。

「ケースと女の子はこのままヘリで護送するから、みんなはこっちで現場調査ね」
『はい!』

なのはの指示にフォワードメンバーは返事をすると、駆け出して行った。

「執行人は、念のために新人たちのフォローをして」
「了解だ」

俺は執行人に指示を出した。
何が起こるかは分からないのだ。
下と上とに戦力を入れなければいけない。

「あ、それとだ」
「何だ?」

俺はその場を離れようとする執行人に声をかけた。

「マスター権限で状況A以上の際の能力解放を許可。水門を3段階開放、時間は5時間」
「……心得た、マスター」

俺の言葉に、執行人はいつもとは声色を変えて返事をすると、そのまま去って行った。

「よし、俺は上に行くか」
『ガジェット来ました! 地下水路に数機ずつのグループが少数! 16……20! 海上方面12機単位が5グループ!』

(どうやら来たようだな)

俺はそう呟くと背中に付けたステッキを手に持つとバリアジャケットを展開して、背中にステッキを上空にいるであろうフェイトとなのはの方へと向かった。

(そうだ。ついでにもう一フレーズ)

【執行人。マスター、山本真人の名の元、任務を与える。任務は敵(ガジェット)の完全消滅。徹底的に叩きのめせ!!】
【了解!】

俺の追加指令に、執行人はそれだけ答えた。

『なのは隊長とフェイト隊長、山本二等空佐は北西部に向かって貰ってええか? 山本二等空佐はヘリの警護とガジェットの破壊で、ちょい大変やどうけど、頼めるか?』

危なかった。
執行人との念話で危うく大事な事を聞き逃すところだった。

「任せて。少しは役に立たないと罰が当たるってところだ」

そして、俺はガジェットのいる方へと向かった。










「アクセルジュート!!」
「ブレイクイヤー・マルチショット!!」

なのはの誘導弾と、俺の矢がガジェットを次々に破壊していく。
今のでちょうど3グループ目だ

(快調だ)

俺はその感覚に酔いしれていた。
そしてふと気になった事を聞いてみた。

「そう言えば、健司はどうしたんだ?」
「ああ、健司だったら、はやて部隊長が大量の仕事を押し付けてるから、出動は無理だと思うよ」

俺の問いかけにガジェットを破壊しながら答えるフェイト。
と言うより、本当にかわいそうだな。

「ん? あれって増援か?」

そんな中、異変が起きた。
突然ガジェットの編隊が現れたのだ。
それは、さらに事態を深刻な状態に進めて行った。


★ ★ ★ ★ ★ ★


地下へと向かいやってきたガジェットを撃破していった僕達はレリックの入ったケースを見つけた。
だが、そこに突然襲撃者が現れた。
相手は子供。
だが、気は抜けない。

「ふっ!」

僕は右手に魔力を込めて、少女に肉厚する。
そして、一気に拳を振りかざそうとした時だった。

「がはぁ!?」
「執行人さん!!」

僕は、突然の攻撃によって吹き飛ばされた。
元々僕はバリアジャケットなどと言うものは着ていない
自衛手段は神性典か防御魔法のみ。
つまり、他の魔導師には大したことがない威力の魔法弾でも、僕にとっては瀕死レベルの物だ。

「執行人さん!!」

そんな誰かの声を聞きながら

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