健康の意識 忍者ブログ

黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第7話 訪れた先は……

今俺達は高台へと来ていた。
どうやらここがシンクが召喚された、召喚台になるらしい。

「くっ………ぬぅぅううう!! やっぱり通れないっ!!!」

そんな中、シンクはエクレールに紋章を出してもらって通ろうとしているが、結局無理だったようだ。
ちなみにリコッタは大きな動物――セルクルと言ったか?――に積んでいる機械を操作していた。

「だから言っているだろうが」

紋章から手を抜いたシンクに、エクレールが呆れながら言った。

「人生なんでもチャレンジ! ネバーギブアップ!!」

エクレールの言葉にシンクは熱血教師のような台詞を言いながら再び紋章に手を入れようとしていた。

「まあ、時には諦めることも肝心なんだけどね」

俺はボソリとつぶやいた。
ちなみに俺は時空間の移動ゲートを出そうとしたが、何かに弾かれてうまくいかなかった。

(まあ、転送術が使えるだけでも儲かりものかな)

俺が使える転送術は半径500m範囲内ならどこへでも一瞬で行くことが出来る物だ。
使いどころとしては奇襲程度しかないが。

「勇者様~、準備整ったでありま~す!」

その時聞こえたリコッタの声にシンクとエクレールは後ろを振り向いた

「えっと……それは?」

シンクは、アンテナのついた機械を指差しながら聞いた。

「これは放送で使うフロニャ周波を強化・増幅する機械でありますっ。自分が五歳の時に発明した品でありますが、今は大陸中で使われているのでありますよ」

ある意味天才だなと俺は心の中で思っていた。
そんな中、リコッタはレバーを操作して機械を動かした。

「では、勇者様」

先程からポカーンとしているシンクにリコッタはそう言う。

「あっ、あぁ、うん」

シンクは自分の携帯を取り出し、画面を確認する。
俺は少し興味があったので、シンクの横から携帯の画面を覗き見る。
すると圏外と表示されていたのがアンテナのマークに変わった。

「うぉおおおおお! 立ったぁあああ!! 凄い! リコッタ凄い!!」
「ありがとうであります! 感激であります!!」

シンクの言葉にリコッタも嬉しいのか敬礼のポーズをとった。
そしてシンクはどこかに電話をかけた。
俺は話の内容に興味もなければ聴く気もないので、少し離れた場所で辺りを見ていた。










しばらくすると、電話を終えたのかシンクは携帯電話を閉じた。

「リコッタごめん、もうちょっと繋げてていい? まだ他にも連絡したい人がいるんだ」
「大丈夫でありますよ」

シンクのお願いに、いやな顔一つもしないリコッタ。
そう、ここまでは。

「あ、勇者様」
「ん?」
「良ければその”でんわ”と言う機械、後で調査させていただけないでしょうか?」

リコッタはそう言うと、シンクの方に迫って行った。

「え、え、え!?」
「ちょぉっとだけ分解して、構造を知りたいのであります。見知らぬ機械を見ると自分は、尻尾の付け根と研究心がキュウキュウしちゃうのであります~」

あ、さっきから腰を振っていると思っていたら、しっぽだったのか。
と言うよりツッコミどころ満載だな。

「あぁ、いやいやいや!」

シンクは慌てて携帯を後ろの方に隠した。

「平気であります、後でちゃんと元に戻すのでありますぅ」
「分解しちゃうと保障が利かなくなるんだって!」

シンクはそう叫びながら逃げ出した。

「大丈夫であります! 自分が補償するでありま~す」
「うわ! その補償じゃなくて、電話会社の!」


僕は二人が走っているのを呆れてみていた。

「天才となんとかは紙一重と言うが……あれは一種の病気だな」

いや、病気と言うよりは中毒か?
と言うよりシンクはさっきからアクロバティックな回避をしている。

「はは! それは心強い」

いつの間にか俺から離れていたエクレールが、嬉しそうな声を上げた。
と言うより、あれって電話か?

「エクレ、何か朗報が?」

シンクの手首を掴んでいたリコッタが、手を離してエクレールの方見る。

「ダルキアン卿が戻ってこられる!」
「本当でありますか!? ならユッキーも一緒でありますね」
「あぁ!」

どうでもいいんだが、一体誰なのだ?

「誰?」

そう思っているとシンクがエクレールに尋ねた。

「ビスコッティ最強の騎士、ダルキアン卿と我らの友人ユキカゼだ」
「二人ともとっても頼りになるであります」

シンクの問いかけエクレールとリコッタが答える。

(最強の騎士か。強いんだろうな)

俺は今度手合わせでもして貰おうかと考えていた。
言っておくが、俺はバトルジャンキーではない。
ただ単に相手の力量を見るのが好きなだけだ。
ちなみにリコッタはそう言いながら、シンクの携帯に目の焦点を合わせていた。
その眼は完全に獲物を狙う目だ。
そんな俺の耳に何かの鳴き声が聞こえてきたので、その声の方向を見ると……

「あぁ~珍しいでありますな、土地神様であります」

半透明のカエルのような生物と目玉一つで妖怪みたいな生物がいた。
と言うより、今聞き捨てならない単語を聞いたような気がした。

「土地神?」
「貴様は本当に何も知らんな……土地に暮らす精霊に近い生き物だ」
「土地神様がいらっしゃるのは自然の実りが豊かな証なのであります!」

シンクの問いかけにエクレールの説明に続けて、リコッタもそう言った

「へぇ~」

(土地神?)

俺がこの世界に干渉する絶対条件は、ここを担当する神に許可を取ること。
ここで言うなれば土地神だ。
今目の前にいるのは絶対にこっちの言葉を理解できない。
もし出来ても俺が向こうの言葉を理解できない。
つまり、俺の希望は潰えた事になる。

(まあ、それならそれでいいか)

俺は天界に戻ろうという気はないので、戻れないのならそれはそれでいいかなと考えていたのだ。
但し問題は体の方だ。

「渉、ぼさっとしてるんなら置いていくぞ」
「お、おい! まってくれ!!」

俺は立ち去るエクレールを見て、考えるのを中断すると慌てて後を追った。

(ま、いっか)

それが俺の出した最終的な結論だった。
そして俺達は、召喚台を後にするのであった。

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第6話 新たな出会いと今更の……

早速だが今の状況を簡単に説明しよう

「もぅし訳ないであります!!」

ビスコッティ城内の図書館の様な場所に響き渡る声、そして目の前で深々と頭を下げるオレンジ色の髪をした犬耳の少女だ。
名前は『リコッタエルマール』
学術研究院の首席らしい。
とは言え、それがどのくらいすごいことかは分からないが。

「このリコッタ・エルマール、誠心誠意、勇者様がご帰還される方法を探していたでありますが……力及ばず、未だ何ともどうにもこうにも」

そう言いながら何度も何度も頭を下げる少女に、俺は何ともいたたまれない気持ちになった。

(何だか俺達がいじめているような感じが………)

しかも周りにいる人たちも何事かとこっちを見ているし。

「いやリコ落ち着け。私も勇者達もそんなにすぐに見つかるとは思ってない」
「え!?」

エクレールの言葉に俺の隣にいる少年勇者が驚きの声をあげた。

「まあ、俺としては戻れる戻れないなんて関係ないし」
「えぅ……そ、そうだよ、うん」
「本当でありますか?」

俺達の言葉にリコッタ(本人曰く呼び捨てでいいとのこと)は心配そうにそう言いながら顔を上げ俺達を見る。

「期限について何か言ってたな、いつまでだ?」
「ええっと……春休み終了の三日前………の前日には、家に居ないといけないから……あと16日だ」

エクレールの問いかけに少年勇者は考え込むと期限を提示した。

「俺の場合は期限は31日ぐらいでいい」

それに倣い、俺も期限を言った。

「16日に31日! それなら希望が湧いてきたであります!」

少年勇者の言葉にリコッタは笑顔でそう言った。

「うん、お願いします。でもその前に……」

そう言いながら少年勇者は、携帯電話を取り出してリコッタに見せた。

「召喚された穴の所に行ったら、電波通ったりしないかな?」
「…………でんぱ?」

少年勇者の言葉にリコッタは不思議そうな顔をする
もしかして電波の事を知らないとかではないよな?
俺の場合は知識はあるのだが、実際には見たことはないのだ。

「そういえば勇者様、こちらの方は勇者様のご友人でありますか?」
「え? 違うけど………そう言えば君は誰だっけ?」

リコッタの問いかけに、少年勇者が今更な事を聞いてきた。

「今更それを聞くか……まあいい、俺の名前は小野 渉だ。呼び方は任せる」
「シンク・イズミです。呼び方はシンクでいいよ。よろしく」

俺の自己紹介に、少年勇者……もといシンクはそう言いながら笑顔で、片手を差し出してきた。
俺はその手を取ると握手を交わす。

「渉様ですね!」
「リコッタ、様付けはやめて……寒気がするから。それに俺は様付けされるほど大層な身分でもない」

俺はリコッタにそう告げた。
俺は様付けされるのが微妙に嫌いなのだ。
元々俺の場合はそんなに偉い人物でもないのだ。

「それでは、渉さんで」
「うん。それでよろしく」

とりあえず一通り自己紹介が終わったので、俺達はシンクが召喚された場所へと向かうのであった。

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第5話 事情説明

あの後、この戦はビスコッティと言う国の勝利に終わったらしい。

「それから団長、今回華々しいデビューを果たしました勇者さん達にもお話を伺いたいんですが」
「え、あー。ゆ、勇者殿については追々明かしていくという事で、今回はその……」

実況の人の言葉に、取材に答えていた男の人――確かロランと言ったか?――は語尾を弱める。

「今回は謎だと? あぁ分かりました。ではその分団長からたっぷりとお話を伺いましょう!」
「はぁ……ナイス判断です、兄上」
「だな」

俺は少女の呟きに答えながらある場所を見る。

「帰れない~、僕はここから、帰れない~」
「それにしても暗っ!」

あの金髪の少年勇者は、ここから帰れない事を知ってからずっと体育座りで落ち込んでいた。

「ところでだ、あんたは誰なんだ?」
「ああ、そう言えば自己紹介がまだだったな。俺は小野 渉、世界を旅するしがない男だ。世界の移動中に突然こっちに飛ばされたんだ」

俺は自己紹介をしながらここに来る敬意を簡単に説明した。

「私はエクレール・マルティノッジだ。呼び方はエクレールでいい」

少女……エクレールと互いに自己紹介を果たしたところで、少年勇者を連れて町へ行くことになった。










町に着くと、近くにあったベンチに俺と少年勇者が座り、近くにあった台座らしきものにエクレールが座った。

「まぁ、そうだよなぁ…」

少年勇者は”けいたい”と言うものを取り出すと、その画面に表示されている”圏外”という文字にため息を吐いていた。

「異世界だもんな……」
「まったく覚悟もないのに召喚に応じたりするからだ」

少年勇者の言葉に呆れたようにエクレールはそう言う。

「覚悟っ!? 覚悟も何もこのワンコが! 踊り場から降りようとしたら、落とし穴を仕掛けて!」

少年勇者は俺の横で丸まっている犬を恨めしそうに睨んでから、エクレールに涙目で訴えた。

「落とし穴? タツマキが」

すると”タツマキ”と呼ばれた犬は丸まった状態からその場に座り、首を振ってから世界移動中に見たのと同じような小さな物を地面に浮かび上がらせた。
俺達は興味津々にその小さなもの……紋章陣を見る。

「何々………ようこそフロニャルド、おいでませビスコッティ」

紋章陣に描かれた文字を読むエクレールに犬は、紋章陣を指差すように手を紋章陣に向ける、
よく見るとものすごい小さな文字で何かが書かれていた。

「注意、これは勇者召喚です。召喚されると帰れません」
「え?!」

少年勇者はエクレールの言葉に青ざめながら声を上げた

「拒否する場合はこの紋章を踏まないで下さい」
「あ……あ……あ」

みるみる少年勇者が燃え尽きて真っ白になる。
良いように燃え尽きてるな。

「そんなん分かるかぁぁああい!!」

燃え尽きた少年勇者はまたもや涙目で立ち上がりエクレールに詰め寄った。

「知るか! 私に言うな!」

若干理不尽な少年勇者の問い詰めに、エクレールは少々キレ気味で答える。
だが、それも俺に言わせれば……

「これってある意味詐欺だぞ」

その一言に尽きた。
と言うよりこれは一体何語だ?

「……ふん、まぁ貴様を帰す方法は学院組が調査中だ、時期に判明するさ」
「……だといいけど」

エクレールの言葉に少年勇者は涙を必死に堪えていた。

(何だか子供っぽいな)

俺は少年勇者の様子を見て思わずそう思ってしまうのであった。

「とりあえず……まぁ…その…なんだ、ワタルは別だがアホといえど貴様らは賓客扱いだ、ここでの暮らしに不自由はさせん」

エクレールは俺達に背を向けて言うと懐から何やら袋を2つ取り出し少年勇者には大きな袋を、俺には小さな袋を手渡してきた。

「まずはこれを受け取っておけ」
「これお金? いや、さすがにお金は…」
「戦場での活躍褒賞金だ。受け取りを拒否などすれば財務の担当者が青ざめる」
「というか何で俺までそんな大層な物をもらえるんだ?」

俺はエクレールに疑問を投げかけた。
確か俺がやったのは、二人に攻撃が来ることを知らせ、レオ閣下の紋章術を防いだことぐらいだが。

「お前はレオ閣下の紋章術を防いでさらには敵の兵士たちを倒していたことの褒賞金だ」
「そう言えば、あそこまで向かう時何かを切り裂いていたような気がしたんだけど………あれが敵だったのか」
「全く、お前は………」

思い出しながら呟いていると、エクレールは俺を呆れた様子で見ていた。

「兵士達も楽しいから戦に参加している者も多いだろうが、褒賞金の支給は自分がどれだけ戦に貢献できたかが大切な目安だ。少なくとも参加費分は取り戻したいというのも本音だろうしな」
「え?! 参加費」

エクレールの言葉に少年勇者が驚気ながら声を上げた。
俺も少なからず驚いていた。

「やれやれ、これはかなり初歩的な所から教えてやらんといかんな」

そう言ってエクレールはやれやれと言わんばかりの様子で自分の頭に手を置いた。
その後街を散策しながらエクレールの説明が始まった。










「戦は国交手段でもあるが、同時に国や組織を挙げてのイベント興行でもある。今回はガレットと戦ったが、もっと規模の小さい……村同士や団体同士の内戦もあるな」
「村対抗の競技大会兼、お祭りみたいものか?」
「まぁ、そんな言い方も……できるか」

少年勇者の例えに、エクレールが頷いた。
と言うより戦がお祭りって、本当にどうなってるんだこの世界は。

「戦の興行を行う際は、興行主が参加希望者から参加費用を集めて、それを両国がそれぞれに計上する」

再びエクレールが説明を始めた。

「そして戦を行い戦勝国が約六割、敗戦国が残りの約四割を受け取る。これは大陸協定で決められた基本の割合だ。分配した費用の内、最低でも半分は参加した兵士の褒賞金に当てられる。この割合も協定で決まっている。そして残り半分が戦興行による国益だ」

本当にスポーツみたいだ。
普通の戦は協定もないし勝利した側がすべてを奪い取るというシステムだ。
まあ、不意土がある時点でシステムも減ったくれもないが。

「病院を建てたり、砦を作ったり、公務の為に働く者を養ったりなど、国を守る為に使われる」
「「へぇー」」

エクレールの説明は終わったみたいだ。

「あとさ……えっと、本物の戦争っていうか、大陸協定ってのを守らなかったり、人が死んじゃったりするような戦いとかは……」
「……歴史を紐解けばそういった争いも無くはない」

少年勇者の問いかけに、エクレールが答えた。

「特に魔物との戦いなどではな」

魔物って………本当にここは何でもアリだな。

「我々が戦で負傷せずにいられるのは、戦場指定地に眠る戦災守護のフロニャ力のおかげだ。それ以外の場所なら怪我もするし死にもする」

どうやら俺がここに来たときに感じた気はフロニャ力のようだった。

「じゃあ、守護されている場所ってどれくらい?」
「元々守護力の強い場所に国や町、砦が出来ているんだ。街道や山野は危険な場所が多いな、とくに海道は大型野生動物の危険度も高い。だが戦の為に移動する隊列に加われば逆に安全な旅が出来るという利点もある」

そんな話をしていると大きなお城にたどり着いた。
どうやらここがフィリアンノ城と言う場所らしい。
そして俺は”リコ”と言う人物に会うべく中に入るのであった。

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第4話 激闘! レオンミシェリ閣下

「ふぅ、危なかった」

俺は両手に十字架に構えた神剣の構えを解く。
あの時、間一髪のところで防御術の詠唱を終わらせることが出来たのだ。

「なるほど、さすがは閣下と呼ばれるだけはある。かなり強い」
「お主、一体何者じゃ?」

俺は閣下の驚きようを見ながら吉宗をしまう。

「さあ、どうでしょうかね? ですがとりあえずは降ってくる二人のための布石を打たせていただきます!!」

俺はそう告げると、卑怯とは思いつつも停止石を閣下に向けて投げる。
ちなみに形状は砂の様だが名前は石と言う字がついている。

「ッぐ!?」

これの効果はほんの2秒間、だがその2秒を俺は見逃さない。

「封陣滅殺!」

相手がせこい技を使うのであれば、俺もそう言うのを使うまで。
まさに目には目を、歯には歯をだ。

「それでは、後は二人の勇者に任せましょうかね」
「そう簡単に………やられるかあああああああああああああーーーー」
「にしても高すぎない? ねぇこれ高すぎない?」

上空には少女と少年の姿が。
おそらく上空に逃げていたのだろう。
するといきなり少女が少年を蹴り飛ばす。

「ひでぇぇぇ!!!」

少年は落ちながらも棒状の武器を振りかざす。
だが、閣下の斧とぶつかり合い、少年は吹き飛ばされる。
少年が着地するのと同時に少女も閣下を挟むように着地する。
そして二人は同時に駆けだすと己の武器を振りかざす。
それを閣下は斧と盾で受けるが粉々に砕けた。
さらに二人は追撃する。
やがて二人の攻撃は閣下に命中した。

(あれ? 今のって)

その時、俺はあることに気が付いた。
だが、それを言うよりも早く、閣下の防具は粉々に壊れセクシーな姿になった。

「このまま続けてやってもよいがそれでは、ちと両国民へのサービスがすぎてしまうのう」

そう言ってセクシーポーズを決める閣下。

「レオ閣下、それでは……」

「ん……わしはここで降参じゃ」

その声と同時に花火が打ちあがった。

『まさか……まさかのレオ閣下敗北、総大将撃破ボーナス350点が加算されます。今回の勝利条件はあくまで拠点制圧ですので戦終了とはなりませんが、このポイント差は致命的、ガレット側の勝利はほぼないでしょう』

もうポイントとかの意味もあまり分からないが、これでこっち側の勝利だと言うことは分かった。

(って、俺は何時こっち側の人間になったんだ?)

そんな疑問に駆られていると閣下がこっちに向かってきた。

「お主、名は何じゃ?」
「小野……小野渉です」

俺は閣下に言われて自分の名を名乗った。

「ワタルじゃな。わしの事はレオ閣下と呼ぶと良い」
「はい。レオ閣下」

俺はレオ閣下に言われた通りにすることにした。

「それと、ワタルとは次また機会があれば正々堂々と戦うつもりじゃから、覚悟しておくようにの」

俺にそう言い残してレオ閣下は俺から離れて行った。
と言うより、あの卑怯なやり方の事根に持ってたんだ……
俺は苦笑いをしながら少女の方に向かう。
俺は向かう時に脱いでおいた礼装の上着を差し出した。
俺の礼装は上着が青と白の色合いだがその下は黒一色だ。

「な、何だこれは?」
「俺の礼装。良いから着ておけ。まあ、全員にサービスをしたいのであれば別だが」

俺はそう言ってその場を立ち去る。
少女は渋々と礼装を羽織っていた。
それからしばらくして礼装以外の服が破け、下着を残して裸になった。
ちなみに原因は少年の武器が少女に当たっていたからだが。

「なんという幕切れだよ」

しかしこの後が災難だった。





「この! この! この!!」
「うわ!? なんで俺まで追いかけられてるんだよ!!」

なぜか俺は少女に少年と共に追いかけられていた。

「教えてくれなかったからだ!!」

まさに災難だった。

『しかしこの勇者達、強いしすごいがやっぱり若干アホかもしれません』
「ほっといて!」
「一緒にするな」

僕と少年はナレータに突っ込んだ。
と言うより一緒にされるのは嫌だ。

『そして騎士エクレール、おいしい映像ありがとうございました!』
「ええい、やかましい!」

本当に勘弁してくれ。

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第3話 恐怖の紋章砲

今、俺達は閣下の走って行った方向に走っていた。
そして何やらクレーターのようになっている場所に、そこを飛び越えている閣下の姿があった。

「「させるかぁぁ!!!」」
「あ、こら待て!!」

俺は駆けだす二人を止めようとしたがそれを聞かずに特攻していく。
むやみやたらに特攻をしてもいいことは一つもない。
現に閣下は変な生き物から離れて二人の武器がかち合った所に砲撃を放った。
俺は急いで、二人の元に駆けよる。

「おい、大丈夫か………って」

今度は少女が下で少年が上になって倒れていた。
と言うより少女の服が一枚無くなってるんだが?

「勇者、お前は何なんだ! 戦いの邪魔をしに来たのか!?」
「いや、お前ら二人のミスだから」

言い合っている二人に、俺はそうツッコんだ時だった。
背後からエメラルド色の光が輝き始めた。
俺は慌ててその方向を見ると、そこには閣下の背後には何かのマークのようなものが浮かび上がっていた。
その体にはエメラルド色の輝きを纏っている。

「おりゃ!」

手に持つ何かを地面に振り下ろした瞬間、何かの模様があしらったものが現れた。

「な、何だよ、あれ?」

俺がそう呟いた瞬間だった。

「獅子王炎陣!」

閣下の言葉と同時に、地面から火柱が吹き上がってきた。
どう見ても危険な物には違いがない。

「のわぁ!?」

さらには上空からの溶岩まで飛んでくる始末だ。
俺は急いで逃げた。

「紋章術って、こんなことまで!?」
「レオ姫は桁が違う! 倒されたくなければ」
「「とにかく逃げる!!」」

二人は意味不明の単語を呟いて走って行く。

「お、おい!! これは一体なんだ!!」

俺の問いかけに答える人はいない。

「これはやばい!! 万物よ、我を守りし――――」

俺はとっさに日本の神剣を十字に掲げて防御術の詠唱をする。
だが……

「大爆破!!!」

閣下の一言によって、周囲が赤一色になる。
やがて、けたたましい爆音が響き渡った。
俺はそのあまりにもすごい威力に目を閉じた。





3人称Side

レオンミシェリの紋章砲、『獅子王炎陣大爆破』によって火玉と、衝撃波が辺りを襲う。

「爆破ぁ! レオンミシェリ閣下必殺の、獅子王炎陣大爆破!! 範囲内にいる限り、立っていられるものは誰もいないと言う、超絶威力の紋章砲。味方も巻き添えにしてしまうのが玉に傷ですが、それにしても強い」

そしてそれが止むと再び大きな声で実況された。
レオンミシェリも勝利を予想した時だった。

「おっと! その大技を受けながらも立っているものが一人います!!」
「何!?」

男性の声にレオンミシェリは驚きを隠せなかった。
そして土煙が晴れ、その人物の姿が露わになる。

「先ほど突然現れた謎の勇者です!! 謎の勇者がレオンミシェリ閣下の紋章砲を受けて無傷で立っています!!!」

そこにいたのは、渉であった。

Side out

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