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黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第4話 それは過去の偉大な人物の物語

昼休み、屋上に移動した俺とまどかにさやかの3人は、優雅に昼食を摂っていた。

「はい」
「あむ」

いや、3人と1匹だった。

「ねえ、まどか。願い事、何か考えた?」

そんな時、唐突にさやかが口を開いた。

「ううん。さやかちゃんは?」
「私も全然。何だかなぁ。いっくらでも思いつくと思ったんだけどなぁ。欲しい物もやりたい事もいっぱいあるけどさ、命懸けって所で、やっぱ引っ掛かっちゃうよね。そうまでする程のもんじゃねーよなーって」
「うん……」
「意外だなあ。大抵の子は二つ返事なんだけど」

さやかの答えにキュウベぇは顔色一つ変えずにそう反応した。

「まあきっと、私達がバカなんだよ」
「え……そうかな?」

さやかはベンチから立ち上がると、そのまま金網の所まで行った。

「そう、幸せバカ。別に珍しくなんかないはずだよ?命と引き換えにしてでも、叶えたい望みって。そう言うの抱えている人は、世の中に大勢いるんじゃないのかな。だから、それが見付からない私達って、その程度の不幸しか知らないって事じゃん。恵まれ過ぎてバカになっちゃってるんだよ。何で……私達なのかな?不公平だと思わない?こうゆうチャンス、本当に欲しいと思っている人は他にいるはずなのにね」

「さやかちゃん……」

その時だった。
突然暁美さんが現れたのだ。
俺とさやかはまどかをかばうように立ち上がる。

【大丈夫】

突然のテレパシーに俺達はふと横を見ると、少し離れた建物に巴さんらしき人影と光が見えた。
どうやら向こうが何かをしようとしたときは、攻撃をするという事だ。
そして一瞬暁美さんが横に目を配るとそのままスタスタと俺達の元に歩いてきた。

「昨日の続きかよ」
「いいえ、そのつもりはないわ。そいつが鹿目まどかと接触する前にケリをつけたかったけれど、今更それも手遅れだし。で、どうするの? 貴女も魔法少女になるつもり?」
さやかの言葉に暁美さんはキュウベぇを見やるとそう答え、まどかに問いかける。

「私は……」
「あんたにとやかく言われる筋合いはないわよ!」

まどかの言葉を遮ってさやかが叫ぶ。
俺は事の成り行きを静観しているだけだ。

「昨日の話、覚えてる?」
「うん」

暁美さんの問いかけに、まどかは頷いた。

「ならいいわ。忠告が無駄にならないよう、祈ってる」

その答えに満足したのか、暁美さんはそのまま踵を返した。

「ほ……ほむらちゃん。あの……あなたはどんな願いごとをして魔法少女になったの?」

まどかの疑問に、暁美さんは一瞬こっちの方を見る。

「あ……」

まどかが声を上げた。
俺にもわかった。
彼女の表情がものすごく、悲しげだったことに。
しかし、すぐにそのまま背を向けて去って行った。

「何なの?あいつ」

さやかがふとつぶやく。
見れば巴さんの姿もなかった。

「………二人に歴史の話でもしようか?」
「ふぇ!?」
「な、なぜにそこで歴史?」

俺の突然の提案に、すかさずさやかのつっこみが入る。

「いやいや、悩んでいる二人にはいい道しるべになるものだ」

二人はお互いに顔を見合わせると、そのままさっきのようにベンチに腰かけたのを見て、俺はそれを承諾と捉えもといた場所に座ると、話を始めた。

「何かしらかの偉大な事をした者は、歴史に名を刻むことになる」
「それって坂本○馬みたいな?」

さやかの返しに、俺は苦笑いを浮かべながら頷く。

(なんでそこで出てくるのが竜○なんだ?)

「これは、偉大なことをやったのに名を残せなかった無名の偉人の話だ」

そして俺は歴史を話し始める。










時代は古代ヨーロッパ時代。
とある国にある孤児院のような場所にとある少年がいた。
少年は幼いころに両親を亡くし、友達もいないという孤独だった。
周りの者たちも彼に近づく者はいなかった
そんな少年にある転機が訪れる。
それは少年のいる孤児院を襲った立てこもり事件だ。
犯人の数は3人。
全員がライフル銃を構えていた。
人質になったのは孤独な少年だった。
それ以外の者達は、少年をおいて逃げ出してしまったのだ。
警察も人質の安全のために、突入が出来ずにいた。
そんな膠着状態を崩したものがいた。
それが人質になっていた少年だった。
とは言え、何をしたのかと言えば、隠し持っていたはさみを無我夢中で突き刺したことだった。
突き刺したのは立てこもり犯の首謀者。
首謀者は瀕死の重傷を負ったが、それによって形成の崩れた犯人グループは一網打尽で逮捕された。
そして少年はそのまま病院へと収容されたが、それからしばらくして、彼の周囲は一変した。
少年をほめたたえる物がいたのだ。
その理由は少年の勇猛果敢なところと、逮捕した犯人グループがその国で最も脅威となっていたグループであったことにあった。
少年はそれを見て、こう思った。
『悪い人をいっぱい倒せば、孤独じゃなくなる』と。
そして少年はその後トレーニングを欠かさなかった。
体を鍛え、剣術を学んでいった。
そして頼まれるがままに少年は、悪人を殺していった。
殺した悪人の数に応じて集まる人が激増した。
そして何時しか彼は”英雄”と称えられた。










「英雄かぁ」
「いいよね~、あたしも呼ばれてみたいな~英雄って」

俺の話を途中まで聞いていたまどかとさやかが英雄と言う単語に反応した。

「……だったら良かったのだがな」
「??」
「それってどういう―――」

俺の呟きに反応した二人をしり目に、俺は話を続けた。










英雄と呼ばれた彼はさらに悪人を消していった。
そして少年が18才になった時、彼の周りは常に人であふれていた。
だからこそ少年は天狗になってしまった。
大を救うためならば小を切り捨てるという考え方になっているのに気付かなくなってしまったことが、転落の幕開けだった。
そんなある日だった。
それはあるテロ組織が役場のような場所に対する攻撃事件だった。
少年は当然のごとくそのテロ組織の殲滅を命じられたのだ。
そして少年がテロ組織の一味と接触した時だった。
その中に少年の友人が武装をしていたのだ。
これは後程分かったことだが、このテロ組織は洗脳をして人員を増やしていったらしい。
つまり、その友人は操られていたのだ。
この時少年は考えた。
一人の友人を失ってもこのテロ組織を撃退すれば寄ってくる人は、数十人にも及ぶ、と。
そして少年は何のためらいもなく友人を切り捨てた。
その後、任務を無事に終え戻ってきた少年を待っていたのは、周りの者達からの畏怖の目だった。
それもそのはずだ。
ほんのちょっとしたことが理由で自分たちまでもが殺されるのが怖いからだ。
そしてそれからしばらくして少年は村人たちに暗殺された。










「――――――――――そしてその少年は、どことも知れない土地に無造作に埋められたのだった。めでたしめでたし」
「あぅぅ………」
「………」

俺の話を聞き終えたまどか達は何も言わない。
いや、周りの雰囲気が重い。

「ゴホンッ!!つまり俺が言いたいのは、願い事をするときはその後のマイナスも考えろと言うことだ」
「いやそれだけの為にここまで雰囲気を暗くしたのかい!?」

さやかがツッコんでくる。
「そうだけど何か?重くさせないと実感わかないでしょ?」
「いや、だからってあんたね――」

その時、予鈴が鳴った。

「あ、昼休み終わった。」
「そうだね、ってあたしお昼食べてない!!!?」

学校中にさやかのむなしい叫び声が響き渡った。





放課後、俺とまどかにさやかの3人は先日寄ったファミレスで巴さんと合流した。

「さて、それじゃ魔法少女………魔女退治体験コース第一弾、張り切っていってみましょうか。

俺がいるのに気付いて言い直してくれた巴さんの優しさに、俺は涙が出そうだった。

「みんな準備はいい?」
「準備になってるかどうか分からないけど……持って来ました!何もないよりはマシかと思って」

さやかが取りだしたのは、金属バットだった。

「まあ、そういう覚悟でいてくれるのは助かるわ」
「でも、あんましそう言うのはこういうところで出すのはやめような」

俺はさらっと注意した。
こんな所で物騒なものを掲げるなんて、信じられない。

「ま、まどかは何か、持って来た?」
「え?えっと。私は……」

そう言ってまどかが取りだしたのは一冊のノート。
そこに書かれていたのは、何とも言い難いイラスト集だった。

「うーわー」

それを見たさやかと巴さんが呆然としているほどだ。

「と、とりあえず、衣装だけでも考えておこうと思って」

その瞬間、二人は思いっきり笑い始めた。

「え?!ふぇぇ!?」

それを見たまどかは恥ずかしさのあまりに、俯いていた。

「うん、意気込みとしては十分ね」
「こりゃあ参った。あんたには負けるわ」
「どうやらまどかは形から入るタイプらしいな」
「っ~~~~~~~!!!!」
「そういう渉は何か持ってきたの?」

笑いを収めながらさやかが聞いてきたので、俺は待ってましたと言わんばかりにバックからある物を取り出し、それをテーブルの上に置いた。

「……それは?」

俺はその問いかけに答えるように包みを解いていった。

「神剣です♪」
「いやいやいや!?!あんたの方がよっぽど物騒だよ!!と言うより真剣!!?」

さやかのツッコミが入った。
他の二人も唖然としていた。

「いや~剣術だったら自信があるんですよ俺。と言うことで、まどかいる?」
「い、いらないよ!!」

剣を差し出したら拒否された。

「あ、大丈夫だよ。だって……」

俺はそう言いながら、カバンの中に手を入れた。

「もう一本あるし」
「二本もあるんかい!?」

この日何度目か分からないさやかのツッコミが入った。
ちなみに、この日のまどかのノートは完全な黒歴史と化してしまった。
まあ当然だろうけど。
こうして俺達の魔法少女もとい、魔女退治体験ツアーは幕を開けた。

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第3話 魔法少女

「私は巴マミ。あなたたちと同じ、見滝原中の3年生。そして……」

目の前にいる巴先輩は言葉を区切ると、駆け寄ってきたキュウベぇを抱きかかえて告げた。。

「キュゥべえと契約した、魔法少女よ」

確かに言葉通りだった。

「さてと、ここじゃなんだし、ちょっと私と一緒に来て貰っていいかしら?」
「あ、はい!!」
「右に同じく」

と言うことで、俺達は彼女についていくのであった。





「あの、巴先輩」
「私は先輩っていうがらじゃないから普通に巴でいいわよ」
「そ、それじゃ巴さん。一体どこに行く気ですか?」

俺の問いかけに、巴さんはにこやかな笑顔で振り返ると

「それはついてからのお楽しみよ」

と言われたので、俺はただ静かについて行く事にした。
そして到着したのが、巴さんの自宅だった。

「うわぁ……」
「素敵なお部屋……」
「これは何とも……」
「独り暮らしだから遠慮しないで。ろくにおもてなしの準備もないんだけど」

そこはまさに豪邸だった。
いやマンションの一室だとは想像もできないほど広かった。
そして巴さんは紅茶とケーキを4人分用意するとテーブルに置いて、俺達に座るように促してきた。

「マミさん。すっごく美味しいです」
「んー、めちゃうまっすよ」
「ありがとう。キュゥべえに選ばれた以上、あなたたちにとっても他人事じゃないものね。ある程度の説明は必要かと思って」

まどかとさやかの感想に、巴さんは嬉しそうに言うと本題を切り出した。

「うんうん、何でも聞いてくれたまえ」
「さやかちゃん、それ逆」

さやかの言葉に、まどかは苦笑いを浮かべながら突っ込む。

「というより、さっき一番怖がっていた奴―わー!わー!わー!それ以上言うな!!―」

俺のため息交じりの言葉に、さやかは喚きながら遮った。

「わあ、きれい」
「これがソウルジェム。キュゥべえに選ばれた女の子が、契約によって生み出す宝石よ」

そういって巴さんが俺達の前に差し出したのは黄色の卵の形をした、宝石のようなものだった。

「魔力の源であり、魔法少女であることの証でもあるの」
「契約って?」
「僕は、君たちの願いごとを何でも一つ叶えてあげる」

さやかの疑問にキュウベぇは表情を変えずに答えた。

「え、ホント?」
「願いごとって……」
「なんだって構わない。どんな奇跡だって起こしてあげられるよ」

まどかの言葉にキュウベぇが答えた。

「金銀財宝とか、不老不死とか、満漢全席とか?」
「いや、最後のはちょっと」
「お前どんだけ貪欲だよ」

俺はたまらず突っ込んだ。

「でも、それと引き換えに出来上がるのがソウルジェム。この石を手にしたものは、魔女と戦う使命を課されるんだ」

俺の突っ込みを無視して淡々とキュウベぇが説明を続けた。

「魔女?」
「魔女って何なの?魔法少女とは違うの?」
「願いから産まれるのが魔法少女だとすれば、魔女は呪いから産まれた存在なんだ。魔法少女が希望を振りまくように、魔女は絶望を蒔き散らす。しかもその姿は、普通の人間には見えないから性質が悪い。不安や猜疑心、過剰な怒りや憎しみ。そういう災いの種を世界にもたらしているんだ」

さやかの疑問にキュウベぇが答えた。

(プラスとマイナスか)

俺は心の中でそう考えていた。
もしかしたら魔女と言う存在は”世界にとって”必要なものなのかもしれない。
陰陽学がいい例だ。
同じ数だけの陰と陽があれば世界が安定すると言われているそれによるが。
でも言えない。
言ってしまえばおそらくこの場にいる全員の冷たい視線が贈られるからだ。

「理由のはっきりしない自殺や殺人事件は、かなりの確率で魔女の呪いが原因なのよ。形のない悪意となって、人間を内側から蝕んでゆくの」

真剣な面持ちで巴さんが説明する。

「そんなヤバイ奴らがいるのに、どうして誰も気付かないの?」
「魔女は常に結界の奥に隠れ潜んで、決して人前には姿を現さないからね。さっき君たちが迷い込んだ迷路のような場所がそうだよ」
「結構、危ないところだったのよ。あれに飲み込まれた人間は、普通は生きて帰れないから」

俺はその言葉を聞いてぞっとした。
俺がどうなるかよりも、もしまどか達まで犠牲になった時の事を考えたからだ。

「マミさんは、そんな怖いものと戦っているんですか?」
「そう、命懸けよ。だからあなたたちも、慎重に選んだ方がいい。キュゥべえに選ばれたあなたたちには、どんな願いでも叶えられるチャンスがある。でもそれは、死と隣り合わせなの」

まどかの言葉に、巴さんは表情を崩さずに忠告してきた。

「ふぇ……」
「んー、悩むなぁ」
「そこで提案なんだけど、二人ともしばらく私の魔女退治に付き合ってみない?」

悩んでいる二人に巴さんは突然そう提案してきた。

「「えぇ?」」
「魔女との戦いがどういうものか、その目で確かめてみればいいわ。そのうえで、危険を冒してまで叶えたい願いがあるのかどうか、じっくり考えてみるべきだと思うの」
「ところでさ」

さやかはそう切り出して、話題を変えた。

「あの転校生も、えっとその……魔法少女なの?マミさんと同じ」
「そうね。間違いないわ。かなり強い力を持ってるみたい」

さやかの仮説を巴さんは肯定した。

「でもそれなら、魔女をやっつける正義の味方なんだよね?それがなんで急にまどかを襲ったりしたわけ?」
「彼女が狙ってたのは僕だよ。新しい魔法少女が産まれることを、阻止しようとしてたんだろうね」

さやかの疑問にキュウベぇが答えた。
確かにそれなら頷ける。

「何で?同じ敵と戦っているなら仲間は多い方がいいんじゃないの?」
「それが、そうでもないの。むしろ競争になることの方が多いのよね」
「そんな……どうして?」

俺はもうすでに読めていた。
競争になるということは倒したことに対しての報酬関連だろう。

「魔女を倒せば、それなりの見返りがあるの。だから、時と場合によっては手柄の取り合いになって、ぶつかることもあるのよね」

巴さんは目元を細めて不快なオーラを全開で答える。

「つまりアイツは、キュウべえがまどかに声掛けるって最初から目星を付けてて、それで朝からあんなに絡んできたってわけ?」
「たぶん、そういうことでしょうね」

巴さんはそう言いながらソウルジェムに手をかざして、指輪のようなものに形を変えた。

「………でもさ」

とここで、俺は口を開いた。

「本当にあいつは悪いやつなのか?」
「何を言ってんの?あの転校生はキュウベぇを襲ってたじゃないか!」

俺の言葉に、さやかが反論してくる。

「それはそうなんだが……何だかこう、引っかかるんだよな」

もしかしたらあの一瞬の表情を見たからかもしれない。
俺はあの表情を見て、彼女が三人が想像しているような存在ではないと思っているのだ。

「確かに、渉君の言うとおりね。何でもかんでも疑ってかかるのは良くないわね」

すると、巴さんが俺の言葉に賛同した。

「あ、いや。もしかしたら俺の気のせいかもしれないですから」

俺はそう言ったものの、暁美ほむらと言う存在が気になるのであった。
そしてこの日は別れることになった。
魔女退治が実際に始まるのは、明日の放課後らしい。










「まどか遅いな~」
「また寝坊じゃないの?」

翌日、俺達はいつものように学園へと向かっていた。

「おっはよう~」
「おはよ……うわっ!?」

さやかがまどかを見た瞬間に声を上げた。
俺も一瞬あげそうになったぐらいだ。
なぜなら………

「おはよう、さやか」

まどかの方に乗っているキュウベぇがいたのだから。

「どうかしましたか?さやかさん」

驚いているさやかの様子を気にした仁美が、心配そうに声をかける。

「やっぱそいつ、私達にしか見えないんだ」
「そうみたい」

ものすごい速さでまどかに近づくと、小声で話した。
と言うより、こっちにまで聞こえてるぞ。

「あの……」
「ああ、いや、何でもないから!いこ、いこ!!」

不思議がる仁美を、さやかは強引に連れて歩き出す。

【頭で考えるだけで、会話とかできるみたいだよ】

頭の中にまどかの声が響いてきた。

【ええ?私達、もう既にそんなマジカルな力が?】

さやかは体を引きつかせていた。
まあ突然聞こえれば驚くよな。
ちなみに念のために言うが、俺は驚いてないぞ?

【いやいや、今はまだ僕が間で中継しているだけ。でも内緒話には便利でしょう?】
【何か変な感じ】

まどかとさやかは俺と仁美を置いて歩いて行こうとした。

【でも慣れれば便利じゃないか?】

ここぞとばかりに俺も参加する。
意外と面白い。

「お二人とも、さっきからどうしたんです?しきりに目配せしてますけど」
「え?いや、これは……あの……その……」

仁美の言葉にまどかはあからさまに動揺する。
それだと何かありましたって言ってるもんだよ?

バタン!

すると、案の定仁美はバッグを地面に落とした。

「まさか二人とも、既に目と目でわかり合う間柄ですの?!まあ!たった一日でそこまで急接近だなんて。昨日はあの後、一体何が!?」
「いや、そりゃねーわ。さすがに」
「確かに色々……あったんだけどさ」

二人の否定ともいえない否定が飛んでくる。

「でもいけませんわ、お二方。渉さんと言う心に決めた人がいるのに、女の子同士で。それは禁断の、恋の形ですのよ~!!」

仁美が走り出す。
それはまあいいとしよう。
しかしなぜか俺をの手をつかんで、だ。

「って、なんで俺の手をつかむ!?そして俺を引きずるな~!!!!」

俺はまるで人形のように引きずられていくのであった。

「バッグ忘れてるよー!」
後ろからさやかの声が聞こえる。
それを言う前に助けてよ……。
ちなみにこの後……

「あぁ……。今日の仁美ちゃん、何だかさやかちゃんみたいだよ」
「どーゆー意味だよ、それは」

と言うやり取りがあったとかなかったとか。
ちなみに仁美が俺を引きずっていることに気付いたのは、学校のクラスについた時だった。
彼女曰く、バッグと勘違いしていたらしい。

(俺の存在意義って、バックなのか?)

この時、本当に泣きそうになったのは秘密だ。





それからしばらくしてやってきたまどか達は仁美の方に駆け寄ると、謝っていた。
彼女は彼女でお怒りモード全開だし。

「災難だったねぇ~」
「大丈夫?渉君」

二人の真逆の言葉がかけられる。
ちなみに名誉のために言うと、上からさやか、まどかだ。

「ああ大丈夫だ。人間ジェットコースターを体験できたしね」

俺は皮肉交じりに答えた。

「ふぅ……」
【つーかさ、あんた、のこのこ学校までついて来ちゃって良かったの?】

席に着くや否やキュウベぇにさやかがテレパシーで話し掛ける。

【どうして?】
【言ったでしょ?昨日のあいつ、このクラスの転校生だって。あんた命狙われてるんじゃないの?】
【さやか、少しは考えろよ】

俺はたまらずにさやかにツッコんだ。
理由なんて簡単だ。

【渉、それってどういう―――――】
【むしろ、学校の方が安全だと思うな。マミもいるし】

さやかの言葉を遮ってキュウベぇが答えた。
つまりはそういう事だ。

【マミさんは3年生だから、クラスちょっと遠いよ?】
【ご心配なく。話はちゃんと聞こえているわ】

すると、突然巴さんの声が聞こえた。

【この程度の距離なら、テレパシーの圏内だよ】

なるほどな、そういう事か。

【あ、えっと……おはようございます】

まどかはあたりさわりのない挨拶をした。

【ちゃんと見守ってるから安心して。それにあの子だって、人前で襲ってくるようなマネはしないはずよ】
【なら良いんだけど……】
「あっ!?」

その時、教室に暁美さんが入ってきた。

【げ、噂をすれば影】

そして暁美さんは席に着くや否や、まどかの方を……具体的には胸に抱かれているキュウベぇを睨みつけた。

【気にすんなまどか。アイツが何かちょっかい出してきたら、私がぶっ飛ばしてやるからさ。マミさんだってついてるんだし】
【そうよ。美樹さんはともかくとして、私が付いているんだから大丈夫。安心して】

さやかの言葉に反応して巴さんが安心させるように言った。

【ともかくってゆーな!】
【ふ、結界で怖がっていた奴が――――】
【わ~た~る~?後でちょっとお話ししようか?】
【ぜ、全力でお断りさせていただくです!!!】

そんなこんなで、この日の授業が始まるのであった。

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第2話 訪れた異変

放課後、俺達は近場のファーストフード店にいた。

「ええ!?何それ?」
「わけわかんないよね……」

まどかの話を聞いたさやかがすっとんきょな声を出した。

「文武両道で才色兼備かと思いきや実はサイコな電波さん。くー!どこまでキャラ立てすりゃあ気が済むんだ?あの転校生は!?萌えか?そこが萌えなのかぁ!?」
「まどかさん。本当に暁美さんとは初対面ですの?」
「うん…常識的にはそうなんだけど」

項垂れていたさやかは、まどかの言葉に反応して顔を思いっきりあげた。

「何それ?非常識なところで心当たりがあると?」
「あのね…昨夜あの子と夢の中で会った……ような……」
「あははは。すげー、まどかまでキャラが立ち始めたよ」

まどかの言葉に、さやかと仁美は大きな声で腹を抱えながら笑い出した。

「ひどいよぅ。私真面目に悩んでるのに」
「仕方ないでしょ。いきなり夢で会ったなんて言われれば、ねぇ?」

俺は苦笑いを浮かべながら答えた。

「あー、もう決まりだ。それ前世の因果だわ。あんた達、時空を超えて巡り合った運命の仲間なんだわぁ!」
「夢って、どんな夢でしたの?」

前世の因果とまで言われたまどかに仁美が尋ねる。

「それが、何だかよく思い出せないんだけど……とにかく変な夢だったってだけで」
「もしかしたら、本当は暁美さんと会ったことがあるのかもしれませんわ」
「え?」

仁美の仮定に、まどかが驚いたような声を上げる。

「まどかさん自身は覚えていないつもりでも、深層心理には彼女の印象が残っていて、それが夢に出てきたのかもしれません」
「それ出来過ぎてない?どんな偶然よ?」
「そうね」

さやかの言葉に、仁美は苦笑いを浮かべながら答えた。
その後お稽古事で帰る仁美を見送り、さやかがCDショップに行くので、それに付き合うことにした。

【助けて!】
「ん?」

そんな時、突然頭の中に声が響いた。

【助けて!だれか!!】
「え?え?」

隣にいたまどかも反応している。

「まさか今の聞こえたのか?」
「え!?渉君も聞こえたの!?」

驚いた様子で、まどかが聞いてくる。

【僕を、助けて】
「とりあえず行ってみよう!」
「う、うん!」

そして俺達は声のする方へと走っていった。





「誰?誰なの?」
【助けて……】

声を頼りに誰もいないフロアに来てしまった。
どうやら改装中らしい。

「ねえ渉君。なんで金属の棒を持ってるの?」
「何が出るかわからないからね。一応護身用だ」

俺は右手に金属の棒を持っていた。

【助けて……】
「どこにいるの?あなた……誰?」
「………来る!」

俺は気配を感じ、そう呟いた次の瞬間。

「きゃ!?」

天井から落ちてきたのは、傷だらけの見たことのない生き物だった。

「あなたなの?」
「助けて……」

どうやらその通りらしい。
そんな時、俺達の前に立つ人がいた。

「ほむら…ちゃん?」

暁美さんだった。
何だか服装が見たことのないものであった。
それが彼女を冷酷な風貌に、仕立て上げていたのだ。

「そいつから離れて」
「だ、だって……この子、怪我してる」

俺は、やれやれと演じながらまどかの前に立つ。

「おいおい、小動物を痛めつけるのが趣味なのかい?恐ろしい性格だな」
「邪魔しないで」

暁美さんが目を細めてこっちを睨みつける。

「はっ!俺は小動物虐待を見逃せない性質でね。どうしても退かせたいのなら、力づくでやってみな!」

俺はそう挑発して手にした金属の棒を構えた。
言葉では言えない緊張感が漂った時だった。
突然、暁美さんが白い煙に覆われた。

「まどか、渉!こっち!!」
「さやかちゃん!」
「ナイスだ、さやか!!」

頼もしい援軍に、俺達はさやかの背後に移動すると、さやかは手にしていた消火器を暁美さんに投げつけ俺達は走って逃げた。

「何よあいつ。今度はコスプレで通り魔かよ!つーか何それ、ぬいぐるみじゃないよね、生き物?」
「わかんない。わかんないけど……この子、助けなきゃ」

そんな時、またぞっと背筋に寒気が走った。
さっきのよりはかなり強い。

「気を付けろ!来るぞ!!!」
「え?」

俺の警告と同時に、周りの景色が一変した。

「あれ?非常口は?どこよここ」
「変だよ、ここ。どんどん道が変わっていく」

二人は周りを見回す。

「あーもう、どうなってんのさ!」
「やだっ。何かいる」

確かに何かの気配が強くなる。
そして出てきたのは、毛玉に髭の生えた生物だった。
何かを呟いている。

「冗談だよね?私、悪い夢でも見てるんだよね?ねえ、まどか!渉!」
「いや、冗談でもない。こいつら俺達を殺す気だ」

俺が奴らの言葉が理解できていた。

「い、いや……」

二人は俺の背中にぴったりしがみ付いていた。

「二人とも、逃げろ」
「え?」
「聞こえなかったか?俺が囮になる、だからお前らは逃げろ」

俺は二人に声をかけた。

「そ、そんな!!」
「そんなことしたら渉が!!」
「それがなんだ?女の一人も守れねえ男なんて、生きる価値なんてない!!!」
「あ、あれ?!」
「これは?」

そんな時、突然俺達の周りをオレンジ色の明かりが包み込むと、あの生物が消えていた。

「とても素晴らしいわ」

凛々しく透き通る声と拍手の音に、俺達は振り返ると、そこには金色の髪をぐるぐる巻きにした少女が、向かってきていた。

「あら、キュゥべえを助けてくれたのね、ありがとう。その子は私の大切な友達なの」
「私、呼ばれたんです。頭の中に直接この子の声が」
「ふぅん……なるほどね。その制服、あなたたちも見滝原の生徒みたいね。2年生?」

言われてみれば、彼女の来ている服は俺達の通っている見滝原の制服だった。

「あ、あなたは?」
「そうそう、自己紹介しないとね」

その瞬間、断ち切りばさみの音が聞こえる。

「でも、その前に」

少女は華麗なステップを踏んで、胸の前の卵のような何かを構えた。

「ちょっと一仕事、片付けちゃっていいかしら」

その瞬間、突風が吹きつけ思わず目を閉じた。
そして目を開けた瞬間、上空にまるで別人だと思うほど服装が変わった少女が浮いていた。

「はッ!」

少女が手を横に振るのと同時に、展開されていたライフル銃のようなものが一斉に火を噴く。

「す……すごい」

その手際の良さにまどかが感嘆の声を上げた。
そう、それはまさに一言で言ってしまえば”魔法”そのものだった。
すると、再び景色が揺らぎ元いた場所の風景に戻った。

「も、戻った!」
「魔女は逃げたわ。仕留めたいならすぐに追いかけなさい。今回はあなたに譲ってあげる」

突然現れた暁美さんに、少女はそう告げる。
俺は二人の一歩手前に出て、金属の棒を構えた。

「私が用があるのは……」
「飲み込みが悪いのね。見逃してあげるって言ってるの。お互い、余計なトラブルとは無縁でいたいと思わない?」

なおも食い下がる暁美さんに少女はあからさまに、口調を変えた。
少女の言葉に、緊張感が漂う。

「?」

俺は違和感を感じた。
睨み合いの末、暁美さんが立ち去ったのだが、その時一瞬ではあったがとても悔しそうな表情をしているように見えた。

「「ふぅ」」

二人は暁美さんが引いたのを見て体の力を抜いていた。
そして少女はキュゥベえと呼ばれた動物を受け取ると 回復魔法のようなものをかけた。

「ありがとうマミ、助かったよ」

キュゥベえと呼ばれた動物は、突然立ち上がって真美と呼ばれた少女にお礼を言った。

「お礼はこの子たちに。私は通りかかっただけだから」
「どうもありがとう。僕の名前はキュゥべえ」
「あなたが、私を呼んだの?」

まどかはキュゥべえに尋ねる。

「そうだよ、鹿目まどかと美樹さやか、それと小野 渉」
「なっ!?」
「何で、私たちの名前を?」

俺とさやかはきぅべえが俺達の名前を知っていたことに驚いて声を上げた。

「僕、君たちにお願いがあって来たんだ」
「お、おねがい?」

キュゥべえの言葉に、まどかがオウム返しに聞く。
そしてキュゥべえは俺達に告げる。

「僕と契約して、魔法少女になって欲しいんだ」

それは今思えば、悪魔の契約のようなものだったのかもしれない。

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第1話 平和の終わり・転校生現る

何気ない朝は本当に素晴らしいと思う。
何せ、どんなにお金を出しても平和と言うのは得ることはできないのだから。



「おっはよう!」

俺達のいるところに、ピンク色の髪を両端に束ねている少女が駆け寄ってきた。

「おはようございます」
「まどかおそーい」

今駆け寄ってきた少女の名前は、鹿目 まどかそして彼女の横にいる青髪の少女は、美樹 さやか、最後が緑色の髪をしている大人の雰囲気をした少女が志筑 仁美(しずきひとみ)だ。
この3人はいつも仲がいいのかよく集まって話をしている。
かくなる僕も今はそのグループに入っているわけだが。

「お?可愛いリボン」
「そ、そうかな?派手すぎない?」
「とても素敵ですわ」
「そうそう、恥ずかしがることはないって」

一人がリボンの話題になれば、僕もついていく。
女子の話についていくのは微妙に大変だ。
そして俺たちは学校へと向かうのだった。





「――――でね、ラブレターでなく直に告白できるようでなきゃダメだって」
「相変わらずまどかのママはカッコいいなあ。美人だしバリキャリだし」
「そんな風にきっぱりと割り切れたらいいんだけど……はぁ」

さやかの言葉に、今まで先を歩いていた仁美がこちらの方に振り返った。
彼女の悩みは、ラブレターだ。
何でもたくさんもらってしまうのだとか。
一部の女子にはかなりの確率で妬まれる悩みだが。

「羨ましい悩みだねぇ」
「良いなぁ、私も一通ぐらいもらってみたいなあ。ラブレター」

まどかが頬に手を当ててそんな事を呟く。

「ほぅ?だったら渉にでも書いて貰ったら?」
「え、えぇ!?」

突然俺の名前が出てきたな。
ッと、そういえば自己紹介がまだだった。
俺の名前は、小野 渉(おのわたる)どこにでもいる普通の中学生です。

「おやおや? これは脈ありですなぁ」
「あぅぅ~」

まどかは顔を赤くして下を向いていた。

「さやか、からかうのもそこまでに」

俺の注意にさやかは『は~い』と生返事をした。

「それにしても、昨日転校してきて知り合ったばかりだっていうのに本当に馴染んでいますね」
「そう? 今でもあなた達の話題についていくので精一杯なんだけどね」

どうでもいいことだが、俺は昨日転校してきたのだ。
そこで俺について話していた3人を見つけて、声をかけたということだ。
最初は訝しんでかなり警戒していたが、今ではこう自然に話せるようになっていた。
そして俺たちは、今度こそ学園へと向かう。

―これがもし僕たちにとって何気ない1日と言うのであれば……―
今この時が最後だったのかもしれない。










「ごほんっ、皆さんに大事なお話があります。心して聞くように」

HR、教室でそう切り出したのは眼鏡をかけた、俺達のクラスの担任の早乙女先生だった。

「目玉焼きとは固焼きですか? それとも半熟ですか? はい、中沢君!!」
「え、えぇっと、どっちでもいいんじゃないかと」
「その通り! どっちでもよろしい! たかが卵の焼き加減なんかで、女の魅力が決まると思ったら大間違いです!」

そういって早乙女先生は思いっきり指揮棒のようなものを割った。

「女子の皆さんは、くれぐれも半熟じゃなきゃ食べられないとか抜かす男とは交際しないように!」
「だめだったんだ」
「だめだったんだね」

先生の様子に、さやかとまどかは苦笑いを浮かべていた。

「そして、男子のみなさんは、絶対に卵の焼き加減にケチをつけるような大人にならないこと!」
「それって、先生の男を見る目がな―駄目だよ言っちゃ!!―んんぅう!?」

俺の静かな突込みに、隣に座っていたまどかが思いっきり口を塞いできた。

「はい、あとそれから、今日はみなさんに転校生を紹介します」

まどかの拘束を説いた俺は、そのままの体制で固まった。

「じゃ、暁美さん、いらっしゃい」

先生に促されて一人の少女が教室に入ってくる。

「うわ! すげぇ美人」
「うそっ、まさか」

まどかはその少女を見て信じられないといった表情で見ていた。
俺も、少女を見やる。
長い黒髪で、確かにさやかの言う通り見かけならば美人だ。
だが……

(寂しそうな目だ。何もかもに絶望しきっている、悲しい感じだ)

俺は転校生のあまりの冷酷な雰囲気に冷や汗をかいていた。

「はい、それじゃあ自己紹介と行きましょう」
「暁美ほむらです」

暁美さんはそれだけしか自己紹介をしなかった。
そして固まっている先生をしり目に彼女は自分の名前を、ホワイトボードに書くと丁寧に礼をした。
そのあまりのことに、クラスも固まっていたが、たどたどしくではあるが拍手の音が場を包んだ。

「え? えっと……あの」

暁美さんはまどかの方をじっと睨みつけていた。





休み時間、暁美さんはクラスのみんなから質問攻めにあっていた。

「不思議な雰囲気の方ですわね、暁美さん」
「ねえまどか、あの子知り合い? なんかさっきすんごいガン飛ばされてなかった?」
「え? えっと……あの……」

さやかの問いかけに、まどかは何かを言い渋っていた。
すると、暁美さんがこっちに向かってきた。

「鹿目まどかさん。あなたがこのクラスの保健委員よね。連れてってもらえる? 保健室」
「あ……あのぅ……その……私が保健係って……どうして」

彼女から放たれるオーラにまどかは、完全にたじたじだった。

「早乙女先生から聞いたの」
「あ、そうなんだ」
「俺も、同伴させてもらうよ」

俺は念のために、まどかについていくことにした。

「え? あ、うん。え、えっと保健室は……あぁっ」
「こっちよね」

突然歩き出した暁美さんは、まるで保健室を知っているように歩いていく。

「あ、あの、暁美……さん」
「ほむらでいいわ」

そんなやり取りを俺は横で一緒に歩きながら静かに聞いていた。
そして人通りの少ない場所に来るや否や、こちらに振り返った。

「鹿目まどか。貴女は自分の人生が、貴いと思う? 家族や友達を、大切にしてる?」
「え? えっと……わ、私は……大切……だよ。家族も、友達のみんなも。大好きで、とっても大事な人達だよ」

突然の問いかけに、まどかはたじろぎながらもこたえる。
俺はそれを静観する。

「本当に?」
「本当だよ! 嘘なわけないよ」
「そう。もしそれが本当なら、今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね」

暁美さんはそこで話を切った。

「さもなければ、全てを失うことになる」
「え?」

突然の宣告にまどかは声を上げて驚いた。

「貴女は、鹿目まどかのままでいればいい。今までどおり、これからも」

そう言って俺たちに背を向けると、すたすたと歩いて行った。

「それと……」

だが、数歩歩いたところで、もう一度こちらに振り返った。
今度は俺を見た。
しかしその目線は、とても冷たくかなりの敵意を感じるものだった。

「私の邪魔をするなら、容赦はしない……それだけは覚えておいて」
「は? それってどういう――――」

俺の疑問に答えることなく、暁美さんは今度こそ去って行った。

『………』

俺達は只々そこに立ち尽くすだけだった。

(一体どういう意味だ? 彼女の言葉と”あれ”とは関係があるのか?)

俺は心の中でただそのことを考えているのであった。

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主人公設定(ネタバレ注意)

主人公設定

名前:小野 渉
性別:男
年齢:15歳
身長:169㎝
性格・その他:いつもはおおらかで、ボケをかましたりして場の雰囲気を良くする。
   ただし戦うときや真剣な話をしている時になると、人が変わったような性格になる。
   その目的を果たすためであればどのような犠牲も厭わないという思想の持ち主。
   正義のため~と言鵜思想を持ってる人や偽善者を特に嫌い、敵だと判断した者に関してはどのよう   な手段を講じてでも抹殺しようとする。
   渉の正体は、世界の因果律を調整したり、見たりする役割を盛る、世界を統括する三神の一人、世界の意志である。
   時間軸の不自然な繰り返しの原因を探るため、世界に降り立った。

武器:神剣・吉宗、正宗
相手の攻撃を防ぐ楯の役割の”吉宗”、相手に攻撃を仕掛ける矛の役割の”正宗”の二本ので一本という不思議な剣。
世界の意志の渉が持つ、固有武器である。


能力
・気法
気の力で魔法のような技を使う。
ただしその正体は?

・レインソード
複数の剣を具現化(召喚)して、それを一気に降り注ぐ技。
雨のように降ることから、そう名付けられている。

・真実照らし出し眼
渉が持つ能力。
どのような秘匿テレパシーでも、傍受することができる。
そのほかにもその人物が、偽物か本物を見分けたりすることができる。

・因果接続
特定人物の因果(運命)に接続して、その人物の状態、死んでいる場合はその停止を見ることができる能力。
それを操作することで、死の時期を早まらせたり遅らせたりなどの処置ができる。

・爆斬剣
神剣・正宗を中心に爆発を起こす。
その威力は小規模。

・輪廻断ち切る光の輪
神剣を使って行う術。
その人物を斬ることで、その人物の使っている魔法などが強制解除される。

・挫折導き負の誘い
相手に対して夢を見せるもの。
その夢は、相手にとって一番見たくない内容であるため、精神的ダメージを与えることが可能。

・リミットブレイク
渉の封じられた”力”を開放する鍵の言葉。
封印の段階は、ブート1,2,3そして真名解放の4段階だ。
ブート1:身体能力と封じられた力を25%解放。
ブート2:身体能力と封じられた力を50%解放。
ブート3:身体能力と封じられた力を75%解放(ここまで開放すると、服装が変わる)
真明解放:すべての能力等を完全開放。(自分の正体を明かすようなもののため、姿自体が変わる)

・力を断ち切りし炎天の光
『輪廻断ち切る光の輪』の改良版。
力の放出を停止させることができる。
力自体を消すことができないため、あまり使いどころがない。

・神術
神が使う力。
魔法とは対なるもので、さまざまな現象を引き起こす。
渉が使っていた気法は、この神術の劣化版。

・最終審判、レクリエム
渉が使う超必殺技。
その光を浴びた物には裁きを下し、ダメージを与える。
例え魔女であろうと、一瞬にして消滅させることが可能な強力な力を持つ。

単語

・第一種接触・召喚禁止部族
会ったり、召喚をして呼び寄せるのを禁止している部族。
理由としては様々だが、接触・召喚したために世界の状態が不安定になることを防ぐためだとも言われている。
この部族には世界を創造した『創造の神』、世界を揺るがすようなことをする者がいないかを監視し、いた場合には直接対処する『裁きの神』、世界の運命や人の運命をつかさどり、世界を安定させる『世界の意志』の三神。

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