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黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第11話 夕暮れ時に現れる者(後)

「誰だテメェ!!」
「人に名を尋ねるのであれば、まずは自らが名乗れ。………そんな事を両親からは習わなかったのかな?」
「………ッ!!」

俺の言葉に少女が俺を睨みつけてくる。

「テメェ、喧嘩売ってんのか!」
「いや別に。あんたの意見は至極正しいさ。俺は正義のために~とかいう奴の事が嫌いでな、どちらかと言えばお前の意見におおむね賛成だ」
「渉! あんた何を――」
「お前は黙ってろ!」

俺は反論してきたさやかの言葉を遮る。

「でもな、巻き込まれる者の身にもなれ」
「はぁ?」

俺の言葉に、何が何だかわからないような表情をする少女。

「迷惑だ」

俺はそう告げた。

「だからさ、とっとと消えてくれるか? 俺とて、少女を傷つけるのは気が進まないから」
「それは、あたしがあんたに負けるとでも言いたいのか?」

俺の言葉に少女が目を細めた。

「そうかもしれないな。と言うより、あんた賢そうだから、撤退してくれることを希望する」
「上等だ!!!」

少女はそう叫ぶと俺から距離を取る。
するとこっちに向かって攻めてきた。

「やれやれ、物わかりの悪いものだこと」

俺は呆れながら少女に背を向ける。

「炎天の輝きよ、かの者を守る盾となれ!」

俺は前に使った結界をさやかに展開する。

「よそ見するなんて、ずいぶん余裕そうだね!」

もうかなり背後に迫って来ているのが分かった俺は、その場から離れる。

「っち!」

俺は反転して少女の方を見やる。

「ほら、来いよ。遊んでやる」

俺がそう挑発すると、少女は槍を楔状にしてこちらに向けて振り撒く。

「っと! っほ! はぁ!」

俺はそれを手に持つ二本の剣で弾く。

「なんあんだよ、そのでたらめな剣は!」
「それをあんたに言われたくはない」

槍が楔状になる武器を持つようなものには特に。

(しかし、このままでは不利だ)

俺は頭の中で冷静に考える。
今は何とか戦歴で誤魔化しているが、威力は向こうが上だ。
喰らってしまえば跡が無くなる。
ここは、とにかく攻める!!

「はぁ!!」
「かかったね!」

俺は少女の言葉で気付いた。
だが、その時はすでに遅い。
俺の体には楔が巻き付きそして……

「がはッ!!」

俺は壁に思いっきり叩きつけられていた。
言っておくが、ダメージはちゃんと入っている。
と言うか、背中が痛い。

「ゲホッ! ゴホ!!」

なんとか動けるが、痛みで体の動きが鈍ってしまった。

「ほらほら! さっきまでの余裕はどうしたんだい!?」
「ぐう!!?」

そのため、一気にこっちが不利になる。
いつか必ずやられる。

(”あれ”を使うしかないか)

「なかなかやるな」
「そう言ってられんのも今の内だよ」

向こうも余裕が出てきたのか、ご丁寧に笑みまで浮かべてやがる。

「それをそのまま返す」

俺の言葉に少女の顔から笑みが消えた。

「ちょっと本気を出す」

俺はそう宣言した。

(今ここで使えるのはリミットブレイク・ブート2までそれ以上使えばまどか達に正体がばれる!!)

俺の切り札は、俺の封じられた”力”を開放するものだ。
段階的にはブート1,2,3そして真名解放の4段階だ。
ブート3以降になると姿自体が変わってしまうため、ここでは使えない。
よって……

「リミットブレイク・ブート1!」

俺は1段階力を開放した。
それと同時に、ものすごい力が湧いてきた。

「なっ!?」

少女が、その力が分かるのか驚きの声を上げる。

「あんた、一体何者だ?」
「さあな。………第2ラウンドと行きましょうか!!!」

俺はそう告げて一気に少女の元に駆ける。

「っく!」

俺の剣を弾くが、その勢いについて行けないのか、数回通っている。

「さっきまでの調子はどうした!!!」

俺は少女にそう声をかける。

「炎天の輝きよ、わが剣に続け!!!」

俺はそう唱え、正宗を少女に向けて一振りする。
俺の剣は槍で防がれるが……

「っぐぅ!?」
「なぜだ!? 防いでるはずだ」

信じられないものを見るような目でこっちを見る。

(これだ。この感じだよ。俺の求めていた戦場は!!)

俺はその感触に酔いしれていた。
それが俺の間違いだった。

「最後に言う。とっとと失せろ。これ以上はその身の安全を保障しかねる」
「なめんじゃない!!」

威勢よく少女は俺の最終通告を無視した。
なので俺はあれをやることにした。

「炎天の輝きよ。すべては我が内に。人に理解されない剣よ、我が前に浮かび上がれ。その剣は敗北を知らぬ勝利へと導く剣」

俺は上空に大量の白い剣を召喚した。

「なっ!!」
「降り注げ! レインソード!!」

俺は少女に向けて片腕を振り下ろした。
それが合図となり上空に浮かび上がる剣が、一気に少女へと降り注ぐ。

「その必要はないわ」

そんな時、暁美さんの声がしたかと思うと、降り注ぐ剣の動きが止まった。
まるで時間が止まっているみたいに。

(これが、あいつの魔法か!?)

俺は暁美さんの魔法に一瞬ぞっとした。
だが、そのような魔法は、俺には一切効果がなかった。
次の瞬間、ものすごい轟音と共に、誰もいない地面に剣が突き刺さった。
俺はそれを慌てて止めた。

「ほむらちゃん……?」
「なっ!?」

突然のことに、少女は驚きを隠せなかった。
少女は俺よりもかなり離された場所に移動されてたのだ。

「何しやがったテメェ!……なっ!?」

少女は暁美さんの立っていた方へと、槍の先端を向けるが時間を止めて彼女の背後に移動していた。

「そうか、アンタが噂のイレギュラーってやつか。妙な技を使いやがる」

どうやら少女は彼女の事を知っているようだった。

「くっ! 邪魔するな!」

いつの間にか俺の結界をうち破っていたさやかが、少女に向けて走り出すが、これまた時間を止めて移動してきた暁美さんの手刀で気絶させられた。

「さやかちゃん!?」

その瞬間、俺とまどかを隔てていた壁が消えて、まどかがさやかの元に駆けよる。

「大丈夫、気絶しているだけだ」
「早く行きなさい。佐倉杏子」
「な……どこかで会ったか?」

佐倉杏子と言う名前に目の前の少女が反応した。
どうやら、それが彼女の名前らしい。

「さあ、どうかしら」
「手札がまるで見えないとあっちゃね。今日のところは降りさせてもらうよ」

しばらくにらみ合いが続いたかと思うと佐倉杏子はそう告げた。

「賢明ね」

そして佐倉杏子は壁伝いに飛んで行った。

「終わった……の?」
「一体何度忠告させるの。どこまで貴女は愚かなの。貴女は関わり合いを持つべきじゃないと、もう散々言って聞かせたわよね?」

初めて暁美さんがまどかに向けて怒りをぶつけた。

「私は……」
「愚か者が相手なら、私は手段を選ばない」

暁美さんはそう言って俺達の前から去って行こうとするが、俺は彼女のやや前方に向かって、上空に浮かんでいる残り数本の剣を放った。

「愚か者はお前だ。俺達はただ、友人を助けたにすぎん。それともお前は友を見殺しにでもしろと言うのか?」
「……別にそうでもないわ。ただやるのならあなただけにして。彼女を巻き込まないで」

暁美さんはそう答えた。
俺に背を向けているので、その表情をうかがい知ることはできない。

「それ、次言ったら今度こそただでは済まさない。俺とまどかは大事な友達を見捨てる何て真似はできないんでな」
「………」

暁美さんは何も答えずに、去って行った。











「ふぅ……」

俺は自宅のリビングにあるソファーで一息つく。

「お疲れのようね」
「ああ疲れてる。馬鹿を相手にするのもかなり気がめいるし体力を使う」

テーブルに紅茶を置きながら、話しかけてきた人物に、俺は皮肉を込めてそう返す。

「……それは私への嫌味かしら?」
「もちろんですよ。馬鹿2号」

俺はその人物のジト目を気にせずに頷いて答えた。

「2号って……それじゃ、1号は誰かしら?」
「俺だよ」

馬鹿2号の問いかけにそう答えた。

「………その考え、変える気は――ない――即答なのね」

苦笑いを浮かべながら言うが、こればかりは仕方がない。
俺こそが真の愚か者にして偽善者だ。
だからこそ……

「絶対に俺のような愚か者や偽善者とかは出しませんよ」
「渉君……」

その人物―――落ち着いた雰囲気を醸し出し、金色の髪で両サイドを髪止めで括り、毛先はパーマをかけているかのように、くるくると渦巻いている少女―――は悲しげな表情で俺を見た。

「お前が気にするべきではないさ。俺は俺の役割を全うするだけさ」

俺はそこで一区切りつけ、紅茶を一口飲んで目の前にいる人物を見る。

「そうだろ?………巴 マミ」

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