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黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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IF-Y 第7話 終わりと新たな災禍

俺達がいるのは、周りが木々に囲まれた森の中だ。
あの後、魔物の元となった妖刀が落ちて行った場所を追いかけたのだ。
そして今目の前にあるのは、紅い蔦のようなものを不気味に動かしている妖刀だった。
その妖刀は近づく俺達に気付いてその動きを遅くさせる

「それにしても、我らの姫君と勇者殿には驚かされる。妖刀の贄となった子をああも見事に退治成されるとは」
「拙者は存じ上げておりましたよ。姫様もシンクも、ちゃんとできる子だと」

ブリオッシュの言葉に、ユキカゼが続く。
そう、あの大きな魔物は勇者シンクと、姫君によって退治されたのだ。
正確には元凶に戻すことが出来たということだが。
それでもすごい物はすごい。

「さすがは勇者と言った所か」
「そうであったな。さて、ここからは拙者のお役目でござる」
「「はいっ!」」

大剣を握りしめながら告げるブリオッシュに、俺とユキカゼは答える。
その瞬間、妖刀が牙をむく。
俺達に目掛けて赤い蔦のようなものを使って攻撃してくる。
それを俺達は巧みにかわす。

「天封!」

隙を狙って俺は蔦の攻撃を止める。

「浮き世に仇なす外法の刃。封じて廻るが、我らの努め……大地を渡って幾千里、浮き世を巡って幾百年」

ユキカゼの詠唱が進むにつれて地面に金色の紋章が描かれる

「天狐の土地神ユキカゼと、討魔の剣聖ダルキアン! 流れ巡った旅のうち、封じた禍太刀……五百と九本! 天地に外法の華は無し!」

短剣から放たれた金色の小さな何かが妖刀の蔦に突き刺さる

「……朽ちよ禍太刀!!!」
「神狼滅牙、天魔封滅!!!」

ブリオッシュの大剣に纏った紫色の光によって、辺りは包まれる。
その力でさえも、妖刀は耐えている。

「天高く舞い上がれ」

そこに俺の一撃が加わる。
その言葉と同時に、俺は背中に生えているであろう翼を使い斬り伏せるように動かした。
それだけでも空刃となって届くため、有効な一撃なのだ。

「点に轟く一筋の光は!」

再び、言葉を切り刻みながら両翼で2回切り刻む。

「絶望の闇を打ち消す光となる!!」

そう叫び両翼で一斉に切り込むように動かすと、俺は神剣二本を頭上で合わせる。
次の瞬間、二本だった神剣は一本の大きな剣に姿を変えた。
白銀の光に包まれたそれは、前に使った時よりも膨大な威力を発揮するだろう。
だが、その時それは起こった。

「っ!?」

体中に走った鈍い痛み。
そして力が無くなって行く喪失感。
それは、まるで霊力が付きかけているような感じだ。

(そういう事か)

俺は悟った。
今までやりすぎたのだ。
守護結界を構築したりフロニャ力を高めようとしたり。
その為に一時的に補給された俺の霊力は再び尽きかけているのだ。
妖刀は、止めの一撃が差されないため、まだ健在。
だが、もはや虫の息だ。
ユキカゼ達の一撃で十分に停止させることが出来る。

――――はずだった。

「渉殿!!」

聞こえてきたのはユキカゼの声。
見えたのは俺に向かって飛んでくる妖刀と、慌てて駆け寄るユキカゼの姿。
その二つはほぼ同時に俺の前に重なった。
そして走ったのは眩いほどの閃光だった。
その光が消えて行く頃には、発作的に起こった俺の痛みも無くなっていた。

「大丈夫でござるか! 渉殿」
「あっ……ああ。俺は大丈夫。ユキカゼは?」

慌てて駆け寄ってきながら身を案じてくれるブリオッシュに何とか答えつつも、俺はユキカゼの事を聞く。

「ユキカゼは……っ!!」
「風神っ!」

ブリオッシュが応えようとした次の瞬間、俺達を炎が襲う。
その炎は橙色の物ではなく、青白い物だった。
それを俺は風神によって防いだ。
俺はすぐに攻撃を放ったとされる方角を睨みつける。

「……は?」
「何っ?!」

その瞬間、俺は言葉を失いブリオッシュは驚きの声を上げた。
なぜなら、そこにいたのは俺とほぼ同じ背丈の九尾の狐だったのだから。

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