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黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第49話 黒幕と戦い

大きなクレーターからヴィヴィオを抱えて這い上がった時、サイレンの音が響き渡った

『聖王陛下、反応ロスト、システムダウン』
「なのはちゃん! 真人君!」
「はやてちゃん!」
「はやて!」

アナウンスが流れる中、玉座の間にやってきたのは、ユニゾンしているはやてだった。

『艦内復旧のため、全ての魔力リンクを解除します』

はやてがやってきた瞬間、アナウンスが再び流れAMF濃度が一気に高まったため、はやてのユニゾンやなのはのアクセルフィンが解けてしまった。
俺の場合は、ユニゾンは解けなかったが、魔法を使うには少々厳しい状態だ。

『艦内の乗員は、休眠モードに入ってください』

その後、はやては急いで撃ちぬかれた壁の中に入り、戦闘機人を連れて行くために向かった。

「駄目です! 魔力結合できません! 通信も!!」
「しゃあない、歩いて脱出や」

リインの言葉に、はやてはそう指示を出した。

「でも、なのはさんが」

リインの言葉に、なのはを見ると息が切れていて、立っているのがやっとの状態だった。

「大丈夫、歩けるよ」

しかし、すぐに息を整えると、俺達を安心させるように言った。

『乗員は、所定の位置に移動してください………繰り返します、乗員は所定の位置に移動してください』

そんな時、再びアナウンスが流れ始めた。

『これより、破損内壁の応急処置を開始します。破損内壁・および非常隔壁から離れてください』
「出口へ急ぐんや!!」

アナウンスが流れるのと同時に、通路がふさがり始めたのを見て、はやては俺達に声をかけると、玉座の間への入口へと走った。
だが、そこも固く塞がれてしまう。
どうしようかとはやて達が慌てていると、何処からともなくバイクの音が聞こえた。

「ん?」
「この音……」
「まさか!」

はやて達の言葉の次の瞬間、頭上の壁が吹き飛んだ。
そして、そこから現れたのは………

「お待たせしました!」
「助けに来ました!」

スバルとティアナの二人だった。

「真人さん、目が覚めたんですね!」
「ああ、心配かけた」

安心した様子のスバル達に、俺はそう答えた。
そして、なのは達はスバルによって、吹き飛んだ壁の方向へと運ばれていく。

「真人さんも急いでください」
「………」

スバルの言葉に、俺は首を静かに横に振った。

「お前達だけで脱出しろ。俺には、まだ成すべきことがある」
「真人君!」

なのはが俺の名前を呼ぶ。
それだけで、何と言いたいのかが分かったような気がした。

「必ず戻るから。だから、早く行け」
「………行くわよ、スバル」
「………うん」

言っても無駄だと悟ったのか、それとも、俺の言葉を信じてくれたのか、ティアナはスバルに声をかけると、そのままなのは達を抱えて去って行った。

「ふぅ……」

俺は一息ついて気持ちを入れ替える。

【執行人、転生者は?】
【………もう目の前にいるぞ】

俺の問いかけに、執行人は静かに答えた。
目の前には誰もいない。
おそらく姿を消しているのだろう。
だからこそ、俺は大きな声でそこにいるであろう人物に呼びかけた。

「そこにいるのは分かっている………出て来い!!」

俺の呼びかけに応えるように何もない空間がぶれるように揺らぐと、そいつは姿を現した

「何だ、死んだかと思ったのに……まあ、死んだも同然だがな」

そして姿を現したのは黒づくめの男だった。

「お生憎様、俺の取柄はあきらめの悪さなもんでな」
「その余裕そうな表情……ムカつく」

俺の言葉に、男は不快感をあらわにする。

「良いことを教えてあげる。お前が貫いたガジェットは、この俺が作った物さ。良い子ちゃんブルお前が傑作だったぜ」
「………貴様の目的は何だ? ハーレムでも作る気か? それとも世界征服か?」

俺は、男の挑発に乗らないように堪えた。

「ああそうさ。俺はこの世のすべてを支配する! スカリエッティのようなちっぽけな奴じゃつまらない。もっと大きな花火を上げるんだ! そしてこの世の人間どもを俺の思い通りに動かしてくれる!! 絶望と混沌のせかいに彩ってやるさ。ふはははは!!!」

男は俺の問いかけに一気に野望を話すと、高らかに笑い始めた。
その時、俺は疑問を感じた。

【ふざけるな!!】
「あん?」

そんな時、突然声を上げたのは、執行人だった。

【絶望と混沌の真の恐ろしさを知らぬ餓鬼が、偉そうに口にするんじゃねえ!!】
「ははっ! 本当に君は愉快だな」

執行人の言葉を聞いた男は、腹を抱えて笑う。

【もう良い、真人、こいつを消せ。真っ二つに切り刻め!!】
【落ち着けよ! お前らしくないぞ】

物騒な事を迫ってくる執行人に、俺は落ち着くように促した。
執行人が頭に血が上る様子は、初めて見たような気がした。

【悪い】
【正気に戻ったところで、聞きたいことがある】

そして俺は、執行人に今まで疑問に思っていたことを、問いかけることにした。

【前に話していたよな、転生するときに性格とかが180度変わる症状の事】
【ああ、”転生酔い”の事か? それがどうした】

――――転生酔い
それは、転生する際に何らかの原因で性格や精神面に異常が発生して、180度異なる性格になってしまう症状。
執行人曰く、こういった状態の転生者はまず、精神などを修復してから消すかどうかの判断をするらしい。

【もしかしたら、あいつがその”転生者酔い”かもしれないんだ】
【それはありえない。言ったはずだ。転生酔いの可能性は1%にも満たないと】

執行人の言うとおりだ。
転生酔いと遭遇したことは、今まで一度もなかった。
それこそが確率が非常に少ないことを示すものでもあった。

【例え1%未満の確率でも可能性があるのであれば、俺はその可能性に賭ける】
【………ッ!!】

俺の言葉に、執行人は息をのんだ。

【良いだろう。ならばその可能性に賭けてみよう。転生酔いを治す方法を教える】

しばらくして、執行人は同意すると、俺に転生酔いを治す方法を教えてくれた。
その方法は、魔力ダメージでノックダウンと言うものだった。
シンプルなようで難しい。
なぜなら、今の俺は少し前の俺よりも弱っている。
もし一撃でも入れられれば、もう後が無くなってしまう。

「転生者、貴様を排除する」
「やれるものならやってみるのだ、な!!」

俺の宣言に、男はいきなり剣を放ってきた。
俺はそれを難なく避ける。

「導!」
「ッ!? はぁ!」

男の一言で、剣の動きが変わり、俺にめがけて放たれたのだ。
俺は瞬時にクリエイトを振りかぶることで難を逃れた。

【真人!】
「ッ! プロテクション!!」

執行人の声に、俺は障壁を張った。
次の瞬間、俺は素様じい衝撃に襲われた。

「ほぅ、やはり死角を攻めても防ぐか。だが……」
「ッく!!」

俺は急いでその場を離れた。

「これで終わりだ!! 滅閃、鳳来合」
「がああ!!?」

飛び退いて離れたはずなのに、なぜか俺は吹き飛ばされて、壁に叩き付けられた。

【おい! 大丈夫か!!】

中にいるため、ダメージが伝わっていない執行人が、心配そうに声をかけてきた。
普通はダメージが入るものだが、なぜだろう?

【大じょう……ぶ】

俺はふらつきながらも立ち上がると、男を睨みつける。

「やっぱりすばらしい。だが、どうもおかしいな。もしかして君弱ってる?」
「うるさい!!」

俺は男の言葉に、そう答えた。
男の言うとおりだった。
俺はかなり弱っている。
今の攻撃を食らっただけで、もう倒れそうなぐらいなのだから。

「そうだよな~、ならば、これで終わりだ」
「ッやば――――」

俺は、男の動きからその後何が起こるかを理解して、回避しようとする。
だが、それは遅すぎた。

「さよなら」
「がッ!!」

俺は、男の放った魔法弾に貫かれ、そのまま吹き飛ばされた。

「う………ぐッ!!」

起き上がろうとするが、体に力が入らない。

(ここまで……なのか?)

俺は、一瞬だがすべてを諦めかけそうになった。
何もかもを諦めた方が楽になると思ってしまった。
だが、そんな時に俺は自分の言葉を思い出した。

『必ず戻るから。だから、早く行け』

それはスバル達に掛けた声。

(そうだ、ここで倒れてたら約束が守れない)

それだけは嫌だ。
だからこそ、俺は最後の悪あがきをするのだ。

【執行人。”アレ”を使うぞ】
【………どのくらい使う?】

俺の言葉に、執行人は何も言わずにそう問いかけてきた。

【500だ】

だからこそ、俺も静かに答えた。

【ッ!? 了解だ。準備完了……何時でも】

そして俺は最後の切り札を使う。

「おや? まだ立てるのか?」
「ク……リエイ……ト、ファイナルオーバードライブ……始動!」
『ファイナルオーバードライブモード、スタート!!』

次の瞬間、俺は白銀の光に飲み込まれた。

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