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黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第48話 取り戻した絆

気が付くと、俺は撃ちぬかれた壁の前に立っていた。
横を見ると、驚いた表情を浮かべるなのはの姿があった。

「ああああっ!」

何が何だかわからない俺の耳に、ヴィヴィオの叫び声が聞こえた。
ヴィヴィオのいるであろう方向には、苦しそうに頭を抱えるヴィヴィオが立っていた。

「「ヴィヴィオ!?」」

俺達は急いでヴィヴィオの元に駆け寄ろうとする。

「なのはママ………真人パパ」

ヴィヴィオは駆け寄る俺達に気付いたのか名前を読んだ。

(良かった元に戻ったのか)

俺は、安心しながら駆け寄る。
だが………

「駄目! 逃げて!」
「……くっ!?」

ヴィヴィオの悲鳴と共に、鈍い衝撃が走った。
ようやく、攻撃されたことに気付いた。

『大丈夫ですか。マスター!』
「ああ、大丈夫…だ」

どうやらクリエイトが防御障壁を張ってくれたらしい。
だが、この時、俺はまるで魔法弾を食らった時のような痛みを感じていた。

「駄目なの……ヴィヴィオ、もう帰れないの」

その瞬間、玉座の間が揺れだし、周囲は灰色の何かに覆われた。
さらに、サイレンが鳴りだす。
その次の瞬間

【真人! 来るぞ!!】
「ッく!!」

執行人の警告に、俺はその場を離れた。
すると、今まで俺が立っていた場所に虹色の砲撃が着弾していた。

「なのは、戦えそうか?」

俺は相手から視線をそらさずに、なのはに確認を取る

「うん。大丈夫」
「よし、それじゃ行くぞ!」

そして俺達は再び戦い始める。










あれからどれぐらい経ったのだろうか?
俺達は何回武器を交合わせたのだろうか?
もはやそれは記憶にも残っていない。
それほど、俺達の戦いは激しかった。

「拘束! なのは!」
「うん! ヴィヴィオ、今助けるから!」

俺はバインドでヴィヴィオの動きを封じ、その隙を狙ってなのはが攻撃を加える。
だが、すぐにヴィヴィオはバインドを破り同じく虹色の砲撃を放とうとする。

「駄目なの! 止められない!」
「駄目じゃない!!」

二人の砲撃は拮抗しているが、なのはの砲撃の威力が勝ったため、うち破った。
しかし……

「きゃああ!?」

後ろに回り込まれたなのはは、ヴィヴィオに殴り飛ばされて地面にたたき落とされた。

「なのは!! 【真人、よそ見するな!!】ぐはッ!?」

なのはの安否を心配する俺に執行人が檄を飛ばす。
その次の瞬間、俺もなのはと同じく殴り飛ばされ、壁に叩き付けられた。

「逃げて!!」
「ッ!?」

さらに追い打ちをかけるようにヴィヴィオは、砲撃を放とうとする。

「シール・プロテクション!」

俺は何とか防御魔法を張ることに成功したが、衝撃を防ぐことが出来ずに地面に叩き付けられた。

「もう来ないで……」

ふらつきながらも立ち上がる俺達に、ヴィヴィオがそう声を上げた。

「分かったの私。もうずっと昔の人のコピーで、なのはマ……なのはさんも、フェイトさんも、真人さんも……本当のパパやママじゃないんだよね」

ヴィヴィオは涙を流しながら話す。
その表情は、とても悲しみに満ちていた。

「この船を飛ばすための只の鍵で……玉座を守る、生きた兵器」
「違うよ」

なのはは否定の声を上げるが、ヴィヴィオの言葉は止まらない

「本当のママなんて、元からいないの! 守ってくれて……魔法のデータ収集させてくれる人を探してただけ……」
「違うよ!!」
「違わないよ!! 悲しいのも痛いのも、全部偽物の作り物……私は! この世界には居ちゃいけない子なんだよ!」

なのはの言葉を否定し、ヴィヴィオは自分を否定する言葉を紡ぐ。

「それは違うよ……生まれ方は違っても、今のヴィヴィオは……そうやって泣いてるヴィヴィオは、偽物でも作り物でもない! 甘えん坊で、すぐ泣くのも、転んでも1人で起きられないのも、ピーマン嫌いなのも……私が寂しいときにいい子ってしてくれるのも、私の大事なヴィヴィオだよ・・・」
「もし仮に、ヴィヴィオの事を悪く言う奴が出てきても、ヴィヴィオが鬼や悪魔だったとしても、俺達はヴィヴィオの味方だ」

俺は、なのはに続くように数歩前に歩きながら、話しかけた。

「ヴィヴィオ、俺達はまだ父親らしくないかもしれない。だけど、これから頑張って父親になれるように努力する」
「だからいちゃいけない子なんて言わないで。ママに教えて……ヴィヴィオの、本当の気持ち」

俺の言葉に続くように、なのはがヴィヴィオに聞いた。

「私は……私は……なのはママと真人パパの事が大好き……ママ達とずっと一緒にいたい……ママ……パパ……助けて……!」

ヴィヴィオの本心を聞いた俺達は、大きく頷いた。

「助けるよ」

なのはは、レイジングハートを横に振り魔方陣を展開する。

「いつだって、どんなときだって!!」

その次の瞬間、ヴィヴィオが動き出した。
だが、俺はすぐになのはの前に出ると、突き出された拳を受け止めた。
その隙を狙い、ヴィヴィオに桜色の、ひも状のバインドが掛けられた。

「なのは!」
「うん!!」

そして俺となのはは宙に浮かんだ。

【本当にお前は口先だけはいいことを言う】
「……ヴィヴィオ、少しだけ痛いけど……我慢、できるね?」
「……うん」

なのはの言葉を聞きながら、俺は念話でからかうように話しかけてきた執行人に文句を言う。

【いけないか?】
【いけなくはない。そろそろ頃合いだ。お前に新たなら力を与える】

執行人の言葉に、俺は何のことか理解できなかった。

【これから僕の使っていた魔法の全データ・知識・能力を送る】
【それはッ!!!】

俺の言葉を遮るようにして、頭の中に、色々な物が入り込んでくる。
それはほんの一瞬の事だった。

【お前は十分に戦った。その経験値やスキルがあれば、僕の魔法を活かせられる】
【執行人】

執行人のそれは、俺をマスターとして認めた事と同じような物だった。
なぜならば、執行人は「僕の魔法を与える時、その時こそ、お前は僕の真のマスターとして認められることを意味する」と前に言っていたからだ。
俺は、それが嬉しくて、泣きそうになった。

【おいおい、泣くな。まだ戦いは終わってはいない。それよりも、お前に与えた魔法を使えば、高町のような砲撃を放つことが出来る】
【え……】

執行人の言葉に俺は固まった。

【お前も高町のサポートをしたい……そうだろ?】

執行人には俺の事はすべてお見通しの様だ。

【僕の言うとおりに動け】
【分かった】
「なのは、俺もサポートする」
「………うん。防御を抜いて、魔力ダメージでノックアウト……いけるね、レイジングハート」

俺の言葉に、なのはは少しだけ戸惑った表情を浮かべたが、すぐに頷くと相気に問いかけた。た。

『いけます!』
「クリエイト、杖形態」
『了解です』

俺は執行人に言われるとおりに、クリエイトの形態を変化させる。
その形態は、今まであまり使わなかったものだった。
俺の戦闘フォームは中距離型だ、だからこそ遠距離型の戦闘フォームを誇る、杖形態は使わなかったのだ。

「ブレイク系魔法、始動!」
『了解です。魔力収束、開始』

俺の指示を聞いたクリエイトは瞬時に魔力を収束させる。
すると、ものすごい速度で俺の前方に大きな魔法球が現れた。

「早っ!?」
【それが、僕のレアスキルの一つ、高速ロードだ。魔力の集束を普通の魔導師の2~3倍の速さで行うことが出来るやつだ】

執行人の説明を聞きながら、俺はタイミングを見計らう。
横を見れば、レイジングハートから桜色の翼が展開され大量の魔力が収束していた。
さらに周りにある”ブラスタービット”にも魔力が収束され、巨大な魔力球を生成していた。

「全力全開!!」
「貫け」

そして、俺達は、おそらく最強の魔法を放つ。

「スターライト……ブレイカー!!」
「ブレイク……レーザー!!!」

桜色と白銀の砲撃が、ヴィヴィオを貫く。
ヴィヴィオが苦しげに声を上げる。
だが、それと同時に、俺の方にも言葉には言い表せないほどの圧力が襲ってくる。

「ああ……ああああああ!!」

だが、ヴィヴィオの胸元からレリックが姿を現した。

(あと少し!)

「ブレイク……シュート(インパルス)!!」
「あああああっ!!」

止めとばかりに、追加詠唱を行うと、レリックが砕けた。
その次の瞬間、爆発が起こりヴィヴィオのいた場所には大きなクレーターが出来ていた。

「「ヴィヴィオ……!」」
「来ないで……」

急いで駆け寄ろうとする俺達を、ヴィヴィオの声が止めた。

「一人で……立てるよ」

何度も転びそうになりながら、ヴィヴィオは自分の力で立とうとし、俺達に頼ろうとはしなかった。
それは、前にヴィヴィオが転んだ時の事を思い出させた。

「強くなるって……約束したから」

そしてヴィヴィオが立ち上がり、なのはは涙を流しながらヴィヴィオに駆け寄り、抱き着いた。
俺はなのはの横に立つと、それを静かに見守るのであった。

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