「何だって!?」
部隊長室に突然呼ばれた俺は、はやてからの知らせに、俺は耳を疑った。
「せやから、健司君が違法魔導師にやられたんや!」
そう、任務に行った健司が違法魔導師に敗れたという知らせだった。
「それで、健司の容態は?」
「今病院で手術を受けておるらしいんやけど、今はどうなってんのかが分からへん」
俺の問いかけに、はやては首を横に振りながら答えた。
「はやて、病院に行ってきていいか?」
「勿論や」
俺ははやての許可を取り、部隊長室を後にしようとした。
「ちょい待ち」
「何ですか?」
俺は引きとめたはやてに用件を尋ねた。
「健司君の容態、分かったら早く私達にも伝えてな」
「勿論」
はやてのお願いに、そう答え、俺は健司が手術を受けているであろう病院に向かった。
病院に到着した俺は、ベンチに腰かけている長い青髪の女性……アリスを見つけた。
「アリス!」
「真人さん!!」
俺が来たことが分かったアリスは俺に抱き着いていた。
「健司さんが……グスッ……健司さんがぁ!」
涙ぐみながら、悲しげに叫ぶアリスの背中を静かにさすった。
健司には悪いが、後で事情を話せば許してくれるだろう。
なのはは………SLBを覚悟したほうが良いかもしれない。
そんな事を考えていると、手術室と思われる扉が開き、中からはベッドのようなものに横たわる健司が出てきた。
「健司!!」
「健司さん!!」
俺とアリスは目を閉じている健司の元に、近寄って名前を呼びかけた。
口元にはマスクのようなものがつけられ、腕には点滴がつけられていた。
「時空管理局執務官、山本です。何があったかをお教え願えますか?」
「はい、それではこちらへどうぞ」
俺はすぐに気持ちを切り替え、身分を示すIDを医者に提示して事情を聴くことにした。
医者の後を追い、俺は歩き出した。
その際、アリスには健司に付き添うように伝えておいた。
「井上さんですが、心臓の近くを剣で一突きにされている姿で発見されました」
「ッ!!」
モニターに表示されたのは、健司の搬送時に調べられた医療データだった。
その中のレントゲン画像には、健司の体を貫く剣が写っていた。
「幸い、急所を外れていたことと、発見や処置が早かったことが幸いして命だけはとい止めましたが、正直言ってどうなるかは私達にもわかりません。2,3日が山です」
「………わざわざありがとうございました」
俺に出来たのは、お礼を言う事だけだった。
それから後、どうしたのかは自分でもわからない。
気づいた時には、辺りは真っ暗になっていた。
感覚から場所は自室の様だ。
視力はなくなったのだろうか?
そう思った時、眩しいほどの光に照らされた。
「ようやく自分を取り戻したか」
呆れた様子で声を上げたのは、執行人だった。
どうやら、俺が正気を取り戻すまで待っていたようだった。
「なのは達が心配していたぞ。お前の様子がおかしいとな」
「………」
「まあ、そのあたりはこの僕がうまく言っておいたから安心しろ」
執行人が、感謝しろと言わんばかりに言うが、俺は何も言えなかった。
「で、いつまで黙りこくっているつもりだ。そのままじゃ健司を襲った野郎の話が出来ないじゃないか」
「ッ!? 犯人を知ってるのか!?」
執行人の言葉に、俺は胸ぐらをつかんで問いかけた。
「だぁ!!! 落ち着かんか馬鹿者!!」
それを執行人は、鬱陶しげに振りほどいた。
「………悪い」
「はぁ……始めるぞ?」
落ち着いた俺を見た執行人は、ため息交じりに話を始めた。
「健司の体を調べたところ、転生者反応があった」
「健司は転生者だ。反応があってもおかしくないだろ」
執行人の報告に、俺は反論した。
転生者反応とは、転生者が発する特有の魔力反応の事だ。
健司は転生者なのだから、あってもおかしくはない。
「それは、魔力回路や、肉体の話だ。健司の場合はそれが臓器にあった。これがどういう意味か分かるか?」
「……転生者による何らかの魔法を、体の中で発動させた」
執行人の言葉から導き出されたのは、それだった。
身体強化魔法ではなく、物理的に体の中で発動させたのだ。
通常自分の魔力は、魔力回路に異常がない限り自分の体の中……内臓にまであふれることはない。
医者から見せてもらった魔力回路の診断データからは、どこにも異常は見られなかった。
「つまり、第3者による攻撃」
「そう、そしてそれを行った人物は……」
俺と執行人の中で、元まった答えは一つだった。
「「転生者だ!!」」
公開意見陳述会まで、後5日
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