地上本部の臨時査察が行われてから、数日経ったある日の朝。
「さて、今日の朝練の前に、一つ連絡事項です」
朝練の前にフォワード陣が集合した際に切り出されたのが、その一言だった。
「陸士108部隊のギンガ・ナカジマ陸曹が、しばらく六課へ出向となります」
なのはの紹介を受けて、青髪の女性が一歩前に出た。
「はい、108部隊、ギンガ・ナカジマ陸曹です。よろしくお願いします」
『よろしくお願いします!』
ナカジマさんの自己紹介に、俺達は敬礼をして答えた。
「それから、もう一人」
今度はフェイトの言葉に緑色の眼鏡をかけた女性が一歩前に出た。
「どうもー」
軽い感じで女性が答えた。
「十年前から、うちの隊長陣のデバイスを見て来てくださっている、本局技術部の精密技術官」
「マリエル・アテンザです」
フェイトの紹介に続いて、女性……アテンザさんが敬礼をしながら自己紹介をした。
「地上でのご用事があるとのことで、しばらく六課に滞在していただく事になった」
「デバイスの整備を、見てくれたりするそうですので……」
シグナムさんとシャーリーさんが説明をした。
「気軽に声を掛けてね!」
それを受けて、アテンザさんは笑顔で新人たちに言った。
『はい!』
「おし、紹介が済んだことで、さっそく今日も朝練始めるか!」
『はい!』
一通り自己紹介が終わったのを見計らったヴィータが、一歩前に出て口を開いた。
その後、なのはの提案でスバルとナカジマさんの模擬戦が行われた。
結果はスバルの負け。
だが、そこまでのスバルの動きは前より一段と良くなったと言うのが、なのはの話。
「じゃ、皆集合」
『はい!』
なのはの一声でフォワード陣は再び集合を掛けられた。
「せっかくだからギンガも入れたチーム戦、やってみようか? フォワードチーム五人対、前線隊長五人チーム!」
「………え?」
なのはの言葉に、ナカジマさんが目を丸くして固まっていた。
「いや、あのね、ギン姉。これ、時々やるの」
「隊長たち、かなり本気で潰しに来ますので……」
「まずは地形や幻術を駆使してなんとか逃げ回って……」
「どんな手を使っても、決まった攻撃をいれることができれば、撃墜になります」
スバル、エリオ、ティアナ、キャロが、固まっているナカジマさんに順々に説明していく。
「ギンガはスバルと同じくデバイス攻撃ね。左ナックルか蹴り」
「……はい!」
「いや、ちょっと待って、何気に俺まで入れられて――――」
「じゃあ やってみようか!」
俺の問いかけを遮るようにして、模擬戦は始められた。
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