健康の意識 忍者ブログ

黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第3話 リピート

12月3日

「はっ!!!」

朝、俺は慌てて目を覚ました。
そして自分の体を確認した。
俺の体は傷一つもない。

(夢……だったのか?)

俺はそう思うことにした。
でなければ、辻褄が合わない。
だが、この動悸だけは全く治まることはなかった

(なんだろう……この嫌な感じは)

俺はそれに少しだけ胸騒ぎを感じるのだった。










「おはよう、真人君」
「あ、ああ……おはよう」

学校で、いつものように声をかけてきたなのはだが、それはいつもと何かが違った。
それがなんなのかは分からないが、どこか無理をしているような感じだった。

「大丈夫か?」
「え?! な、なにが?」

俺の言葉に、なのはが一瞬慌てた。

「いや、なんか元気がないように見えたからさ。具合が悪ければ休んだ方がいいぞ?」
「だ、大丈夫だよ!! 私元気だから」

そういいながらなのはは両手を上げて元気だということをアピールしている。

「そ、そう? ならいいんだけど……」

俺はこれ以上聞いても無駄だと思い、切り上げることにした。

(なんだろう)

胸に何かが使えるような感じが残った。










夕方
借りた本を返し、違う本を借りるために図書館へと寄った。

「うーん、何かいい本はないのかな?」

俺は図書館の中を歩いて面白そうな本がないかどうかを探す。
しかし、なかなか見つからない。
そんな時だった。

「うーん、届かへん」
「ん?」

見れば車いすに座っている俺と同年代の、栗色のショートヘアの少女が高いところにある本を取ろうとしていた。
人が困っているところを見ると放っておけない性分なので、俺は少女の近くに異動すると、本を一冊取った。

「これがほしいのかな?」
「え?あ、はい。ありがとうございます」

本を差し出した俺に驚いた様子でお礼を言った。

「他にも取ってほしい本とかあったら遠慮しないで言って。ついでだし」
「あ、それじゃお願いします」

妙にイントネーションが変なことから、彼女はおそらく関西人だろう。
こうして俺達は少女の取りたい本を取るために歩くのであった。





一通り本を取り終えた俺達は、本を読む場所に座っていた。

「さっきは助けて頂きありがとうございます」
「いや、別についでだから。と言うよりもすごい量だな」

俺はテーブルに積み上げられている本を見る。
有に20は超えている。

「あはは、うち本読むのが好きなんです」
「そう。俺も好きだぞ。今日も本を借りるために来たわけだし」
「そうなん?」

俺の言葉に、少女は聞き返す。

「あ、うち八神はやてと言います」
「俺は山田真人。よろしくね、八神さん」

自己紹介がまだだったのを思い出したのか、八神さんが自己紹介をした。

「はやてでええよ。そだ! 真人君の本をうちが選んであげる」
「え? あ、ちょっと八神さん!?」

俺はなすがままに、八神さんに引っ張られていった。










「本、ありがとね八神さん」

俺は再びテーブルに目をやる。
SF系の本がいいと言ったら5,6冊選んでくれた。

「ええって、本のお礼やし。それより、うちのことは”はやてでええよ”」
「わ、分かったよ。はやて」
「うん♪」

なぜかはやては上機嫌に返事をした。

「あ、はやてちゃん、ここにいたんですか?」

ふいに聞こえてきた女性の声に俺は声のした方を見る。

「あ、シャマル!」

シャマルと言われた女性は金色のショートヘアが特徴の女性だった。

(はやてのお姉さんか?)

「あ、この人は、うちの親せきでシャマルと言うんよ」
「山本真人です」

俺はとりあえず名前を言う事にした。

「シャマル、この人はなうちが本を取れなくて困っている時に、助けてくれたんよ」
「そうですか。私はシャマルです。はやてちゃんを助けてくれてありがとね」
「いえいえ、当然のことをしただけですから」

俺の返事にはやてとシャマルさんはくすくすと笑うと、そのまま去って行った。

(不思議な人たちだったな)

内心でそう思いながら。
そして俺も図書館を後にするのだった。











今日も俺は自室で本を読んでいた。
言い忘れたが、俺の両親は共働きだ。
とはいっても夕食は家族全員でするし、ちゃんと帰ってくるので、大して気にはしていないが。
たまに父さんたちが帰ってこないことがある。
そう、今日がたまたまその日だったのだ。

「お、もうそろそろ寝ようかな」

そして俺はいつものように、ベッドにもぐりこみ、寝るのだった。
これで今日という平凡で、刺激のない1日が終わりを迎える。





―本当にそうなのか?ー










「ん?!」

眠りに落ちてどのくらいたったのかは全く分からない。
突然の違和感に俺は目を覚ました。

「……?」

まだ目が覚めていないからなのか、それとも違和感が気付きにくいからなのか、俺は何がおかしいのかが分からない。

「でも、普通なわけではないんだよな」

俺はベッドから出て明かりをつける。
別段不自然なところはない。

「あれ? 何かが違うような……」

明かりをつけた時、俺はさらなる違和感を感じた。

「……気のせいかな?」

俺はそう決めることにした。

「とりあえず父さんたちに電話しよう」

俺はそう考えると、父さん達が帰ってきているかを確認するために、玄関へと向かった。





「靴がないということは、父さんたちはまだ仕事かな?」

靴がないのを確認した俺は、電話をかけるためにリビングに向かった。

「えっと番号番号は」

俺は父さんの携帯の番号に電話をかけることにした。
その方がいいと思ったからだ。

「あれ?」

番号を押したのにもかかわらず、なぜかつながらないのだ。
番号が間違っているわけでもない。

「一体何がどうなってるんだ?」

俺はなぜかこれを知っていた。
そうこれは■■■■■だ。

「っく……とりあえず、ここから逃げよう」

思い出そうとするたびに頭痛が襲う中、俺はそう決意した。

「よし!」

俺は一回気合を入れて、自室に戻って弓矢を持ち出した。
これでも俺は昔、地区大会で準優勝の成績を残しているのだ。
だから少しばかり弓矢の腕に自信があるのだ。

「さて、行きますか」

俺は矢を50本(競技用なので、殺傷能力はない)が入った入れ物を背負うと家を飛び出した。




「それにしても何だか静かで不気味だよな……」

俺は今オフィス街を歩いていた。
聞こえるのは風の音だけ。
それ以外の音は聞こえなかった。

(そうか!! 違和感の正体はこれだったんだ!!)

そこで俺は気付いた。
静かすぎるのだ。
出る前に見ると時間は午後10時。
人はいなくとも、車の一台でも通っていてもおかしくはない。
しかし車は通っていない。
だが明かりはついている。

(そういえば周りの色もおかしい)

よくよく見ればわずかに色が変だ。
まるで何かを通してみているかのようなくらいに、白い家だったものが黄色っぽくなっていたのだ。
つまり、これから言えることは……。

「ここは俺の知っている世界じゃない……という事か」

なぜ今まで気づかなかったんだという後悔をしつつも結論を出す。
だとしたら電話が繋がらないことも、納得がいく。

「とりあえず、歩いていけば抜け出せるか」

俺はそう考えるとそのまま歩き出した。










「見つけたぞ!!」
「え?」

しばらく歩き商店街のような場所に出た時、俺は背後から突然かけられた声に慌てて振り返った。
そこにいたのは赤いゴスロリのような服に身を包んだ少女だった。
その姿から普通の人だと思われる。
でも、俺はこの少女を知っていた。
そう、こんな風に出会った。
そして俺は殺された。
すがる気持ちで俺は、少女の持つそれを見た。

「あ……あれって……」

それはかなり大きめのハンマーだった。

「こ、これはお前の仕業か!!!」
「んなもん関係ねえ。あたしはてめぇのリンカーコアを、蒐集すればそれで十分だ」

少女の言葉に俺は混乱する。

(なんだよリンカーなんとかと、蒐集って……それにどこかで聞いたような)

俺が混乱している時だった。

「ッ!!?」

俺は不穏な気を感じ、横に避けた
その次の瞬間、轟音と共に俺が今まで立っていた場所に”何か”が命中した。

「へえ、あたしの攻撃を避けるなんてやるじゃねえか」
「な、な、な」

俺は言葉を失った。
俺はそれを知っている。
これは……そう魔法だ。

(何を言ってんだ?俺は)

自分の考えていることに思わずおかしく思ってきた。
俺はこの少女と初対面のはず、なのに前に会ったような気がするのだ。

「抵抗しなければ無傷で返す」

俺は素早く弓矢を少女に向けて構える。

「なんだ、やる気か?」

なぜか俺は落ち着いていた。
狙うのは彼女ではない。
少女の脇を掠めるようにする。
少なからず少女の動きは止まる。
その隙に俺は横に運よくあるビルの中に逃げ込もうと考えていた。

「はぁ!!!」

そして俺は矢を射た。
その矢は狙い通りにまっすぐに少女の脇に向かう

「フン!」

少女はその矢をハンマーで思いっきり弾いた。
それが一番無駄な動き。
それるようにしたものを自ら弾く際の行動のロスが生じた。

(よし今だ!!)

そして俺は一目散にビルに逃げ込んだ。
俺は背後から追いかけられているのを気にして、ひたすら階段を上る
やがて俺は屋上へと出た。

「よしこれで何とか巻け―遅かったじゃねえかーっ!?」

俺の頑張りもむなしく、少女は上空にいた。

(そうだったよな。魔法って空を飛ぶこともできたんだよな)

俺は今まで忘れていた自分に恥ずかしく思った。

「ったく、手間かけさせやがって……でもこれで終わりだぁ!!」

放たれたのは鉄球だった。

「たぁ!!」

もうその攻撃にこなれた俺は、それを矢で難なく打ち落とす。

「おりゃああ!!!」
「っ!? がぁ!!」

鉄球に気を取られていた俺は、背後から奇襲してきた少女の攻撃をもろに食らう。
さらに悪いことに俺は、そのまま屋上から落ちていく。
不気味な浮遊感を感じた。

(あぁ、俺死ぬんだな)

それを理解した瞬間、俺の意識は闇に落ちた。










―どうだ?ー

再び声が聞こえる

―同じ日を繰り返しても大して変わらなかったー
”ああ、俺には手も足も出なかった”
―……ではそなたは力を手に入れたら立ち向かうのか?ー
”あればいくらでも立ち向かってやる”
―それが例え、そなたが望まないものでもか?ー
”俺は現実しか見ない。で、今現実でそれが起こっている。それだけで十分だ”
―………おめでとう。貴殿が試験の合格者第1号だー

突然聞こえてきたおかしな声に、俺は意味が分からなかった。。

―合格した証に、特別な力を渡そう。今現実で起こっている真実に立ち向かう強大なる力をー

その瞬間俺は体中に力が湧き上がるのを感じた。

―さあ、そなたの名を聞かせておくれー
”俺は、山本 真人”
―では真人よ、使う武器の形態はどれがいい?二つ指定が出来るー

俺は使いたい武器を考えた。
やがて思いついたのは。

”弓と剣が良い”
―なるほど、近中距離か。和風の弓に洋風の剣とはなかなか愉快なマスターだ。では、そんなマスターにもう一つプレゼントしよう、どれほど離れている敵にでもダメージを与えられる超長距離型の形態をー

俺はその声を怪しむ何て物は頭の中から消えていた。
怪しむなんてものが無駄なことだと感じたからかもしれない。

―さあ、呼び出したまえ。そなたの武器ともなり右腕ともなる相棒の名を……クリエイトをー
”クリ……エイト?”

その瞬間俺の視界はまばゆい光に包まれた。
どうやら、ここからが始まりのようだ。


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第2話 襲撃

12月3日



寝起きの俺を襲ったのは、突然の動悸だった。

(なんだろう……この嫌な感じは)

俺はそれに少しだけ胸騒ぎを感じるのだった。










「おはよう、真人君」
「あ、ああ……おはよう」

学校で、いつものように声をかけてきたなのはだが、それはいつもと何かが違った。
それがなんなのかは分からないが、どこか無理をしているような感じだった。

「大丈夫か?」
「え?! な、なにが?」

俺の言葉に、なのはが一瞬慌てた。

「いや、なんか元気がないように見えたからさ。具合が悪ければ休んだ方がいいぞ?」
「だ、大丈夫だよ!! 私元気だから」

そういいながらなのはは両手を上げて元気だということをアピールしている。

「そ、そう? ならいいんだけど……」

俺はこれ以上聞いても無駄だと思い、切り上げることにした。
これが俺が初めて感じた些細な日常の異変だった。










夕方
借りた本を返し、違う本を借りるために図書館へと寄った。

「うーん、何かいい本はないのかな?」

俺は図書館の中を歩いて面白そうな本がないかどうかを探す。
しかし、なかなか見つからない。
そんな時だった。

「うーん、届かへん」
「ん?」

見れば車いすに座っている俺と同年代の、栗色のショートヘアの少女が高いところにある本を取ろうとしていた。
人が困っているところを見ると放っておけない性分なので、俺は少女の近くに異動すると、本を一冊取った。

「これがほしいのかな?」
「え?あ、はい。ありがとうございます」

本を差し出した俺に驚いた様子でお礼を言った。

「他にも取ってほしい本とかあったら遠慮しないで言って。ついでだし」
「あ、それじゃお願いします」

妙にイントネーションが変なことから、彼女はおそらく関西人だろう。
こうして俺達は少女の取りたい本を取るために歩くのであった。





一通り本を取り終えた俺達は、本を読む場所に座っていた。

「さっきは助けて頂きありがとうございます」
「いや、別についでだから。と言うよりもすごい量だな」

俺はテーブルに積み上げられている本を見る。
有に20は超えている。

「あはは、うち本読むのが好きなんです」
「そう。俺も好きだぞ。今日も本を借りるために来たわけだし」
「そうなん?」

俺の言葉に、少女は聞き返す。

「あ、うち八神はやてと言います」
「俺は山本真人。よろしくね、八神さん」

自己紹介がまだだったのを思い出したのか、八神さんが自己紹介をした。

「はやてでええよ。そだ! 真人君の本をうちが選んであげる」
「え? あ、ちょっと八神さん!?」

俺はなすがままに、八神さんに引っ張られていった。










「本、ありがとね八神さん」

俺は再びテーブルに目をやる。
SF系の本がいいと言ったら5,6冊選んでくれた。

「ええって、本のお礼やし。それより、うちのことは”はやてでええよ”」
「わ、分かったよ。はやて」
「うん♪」

なぜかはやては上機嫌に返事をした。

「あ、はやてちゃん、ここにいたんですか?」

ふいに聞こえてきた女性の声に俺は声のした方を見る。

「あ、シャマル!」

シャマルと言われた女性は金色のショートヘアが特徴の女性だった。

(はやてのお姉さんか?)

「あ、この人は、うちの親せきでシャマルと言うんよ」
「山本真人です」

俺はとりあえず名前を言う事にした。

「シャマル、この人はなうちが本を取れなくて困っている時に、助けてくれたんよ」
「そうですか。私はシャマルです。はやてちゃんを助けてくれてありがとね」
「いえいえ、当然のことをしただけですから」

俺の返事にはやてとシャマルさんはくすくすと笑うと、そのまま去って行った。

(不思議な人たちだったな)

内心でそう思いながら。
そして俺も図書館を後にするのだった。











今日も俺は自室で本を読んでいた。
言い忘れたが、俺の両親は共働きだ。
とはいっても夕食は家族全員でするし、ちゃんと帰ってくるので、大して気にはしていないが。
たまに父さんたちが帰ってこないことがある。
そう、今日がたまたまその日だったのだ。

「お、もうそろそろ寝ようかな」

そして俺はいつものように、ベッドにもぐりこみ、寝るのだった。
これで今日という平凡で、刺激のない1日が終わりを迎える。


――はずだった。


★ ★ ★ ★ ★ ★


とある場所にて、一人の少女が上空に立っていた。

「この辺か?」
【うん、そこの近くに強力な魔力反応があるの。それを収集できれば2,300頁は稼げるわ!!】
「分かった」

少女がそう答えるのと同時に、赤色の魔法陣が展開される。

「封鎖領域、展開」

その瞬間、あたりの世界は一変した。


★ ★ ★ ★ ★ ★


「ん?!」

眠りに落ちてどのくらいたったのかは全く分からない。
突然の違和感に俺は目を覚ました。

「……?」

まだ目が覚めていないからなのか、それとも違和感が気付きにくいからなのか、俺は何がおかしいのかが分からない。

「でも、普通なわけではないんだよな」

俺はベッドから出て明かりをつける。
別段不自然なところはない。

「あれ? 何かが違うような……」

明かりをつけた時、俺はさらなる違和感を感じた。

「……気のせいかな?」

俺はそう決めることにした。

「とりあえず父さんたちに電話しよう」

俺はそう考えると、父さん達が帰ってきているかを確認するために、玄関へと向かった。





「靴がないということは、父さんたちはまだ仕事かな?」

靴がないのを確認した俺は、電話をかけるためにリビングに向かった。

「えっと番号番号は」

俺は父さんの携帯の番号に電話をかけることにした。
その方がいいと思ったからだ。

「あれ?」

番号を押したのにもかかわらず、なぜかつながらないのだ。
番号が間違っているわけでもない。

「一体何がどうなってるんだ?」

俺はなぜか無性に恐ろしくなった。

「とりあえずここから逃げた方がいいかも」

俺の直感が告げていた
このままここにいたら危ないと。

「そうだ!」

俺はあることを思いつき、自室に戻って弓矢を持ち出した。
これでも俺は昔、地区大会で準優勝の成績を残しているのだ。
だから少しばかり弓矢の腕に自信があるのだ。

「さて、行きますか」

俺は矢を50本(競技用なので、殺傷能力はない)が入った入れ物を背負うと家を飛び出した。










「それにしても何だか静かで不気味だよな……」

俺は今オフィス街を歩いていた。
聞こえるのは風の音だけ。
それ以外の音は聞こえなかった。

(そうか!! 違和感の正体はこれだったんだ!!)

そこで俺は気付いた。
静かすぎるのだ。
出る前に見ると時間は午後10時。
人はいなくとも、車の一台でも通っていてもおかしくはない。
しかし車は通っていない。
だが明かりはついている。

(そういえば周りの色もおかしい)

よくよく見ればわずかに色が変だ。
まるで何かを通してみているかのようなくらいに、白い家だったものが黄色っぽくなっていたのだ。
つまり、これから言えることは……。

「ここは俺の知っている世界じゃない……という事か」

なぜ今まで気づかなかったんだという後悔をしつつも結論を出す。
だとしたら電話が繋がらないことも、納得がいく。

「とりあえず、歩いていけば抜け出せるか」

俺はそう考えるとそのまま歩き出した。










「見つけたぞ!!」
「え?」

しばらく歩き商店街のような場所に出た時、俺は背後から突然かけられた声に慌てて振り返った。
そこにいたのは赤いゴスロリのような服に身を包んだ少女だった。
本当ならようやく人に合えたことの嬉しさで駆け寄るところだが、俺の体が動かない。
それどころか俺の中で危険信号を発している。
逃げろ!
逃げろ!!
逃げろッ!!!
そして俺は少女の持つそれを見た。

「あ……あれって……」

それはハンマーだった。

「こ、これはお前の仕業か!!!」
「んなもん関係ねえ。あたしはてめぇのリンカーコアを、蒐集すればそれで十分だ」

少女の言葉に俺は混乱する。

(なんだよリンカーなんとかと、蒐集って)

俺が混乱している時だった。

「ッ!!?」

俺は不穏な気を感じ、横に避けた
その次の瞬間、轟音がしたかと思えば俺が今まで立っていた場所に、”何か”が命中した。

「へえ、あたしの攻撃を避けるなんてやるじゃねえか」
「な、な、な」

俺は体が震えた。
今のは目の前にいる少女が放ったのか?
あり得ない! 信じられない!!
そのような感情が頭の中を占める。
夢じゃないかとも思う。
これは夢で起きれば新しい朝がやってくる
でも、焦げたような匂いと、辺りに立ち込める何かがそれを否定する。

「抵抗しなければ無傷で返す」
「く、来るな!!」

俺は怖くなり、とっさに背中に背負っていた弓矢を少女に構える。

「なんだ、やる気か?」

恐怖のあまりに手が震える。
だが俺は根性で矢を引いた。

(一瞬でもいい、逃げる隙が出来れば!!)

俺はそれを放ってどこかに隠れようと考えていた。

「はぁ!!!」

そして俺は矢を射た。
その矢はまっすぐに少女に向かって

「フン!」

行かなかった。
ハンマーで思いっきりはじかれてしまった。

「この!! この!! このぉ!!!!」

俺は無我夢中で矢を射た。

「だから無駄だ……くぅ!?」

どうやら俺が射た矢の一つが少女に命中したらしい。

(よし今だ!!)

そして俺は一目散に逃げ出した。
そして適当な路地に入ろうとした瞬間、体に一瞬痛みが走ったかと思うと、俺の体は意志とは関係なくそのまま地面に倒れた。

(な、なんで!?)

俺は突然の事態に何も理解できなかった。

「てりゃああああ!!!」
「がぁああああ!!!?」

考える間もなく、俺は少女の叫び声と同時に伝わった衝撃で吹っ飛ばされた。

「あ……ぐぅ!?」

どこかの壁にぶつかったのか、背中が痛かった。
そして俺は見てしまった。
自分の体に開いた4つの穴を。
疑問が頭の中をぐるぐる駆け巡っている中、唯一分かったことは

(あぁ、俺死ぬんだな)

そのことだけだった。
少しずつ意識が遠のいていく。

「な!? てめぇ、魔導師じゃねえのかよ!!」

そんな中少女の慌てるような声を、聞いたような気がした。
そして俺の意識は闇に落ちて行った。










なぜ?
そんな疑問を思う時間が残っていたようだ。
俺はただ自然に生活をして幸せに過ごしていたはず。
それなのに、なぜおれは死ななければいけなかったんだ?
なんでこんなことになってしまったのか?

―お主は知りたいのか?ー

声が聞こえたような気がした。

だから俺は答えた。

”ああ、知りたい”と

―左様か、ではこれより試験を始めるー

”試験?一体なんのだ?”

聞こえてきた声に俺は疑問を投げかける。

―良い結果を待っているぞー

俺の疑問に答えずに声はそう告げると、今度こそ俺の意識は闇に落ちて行った。


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第1話 日常

12月2日

「真人~ご飯よ」
「は~い!」

朝、俺はいつものように下から聞こえてくる母さんの声に返事をした。
俺の名前は山田やまだ 真人まさとどこにでもいる普通の小学生だ。
って、誰に説明しているのだろうか、俺は?
そんなこんなで俺は制服に着替えて、リビングに行った。





朝食を食べ終えて、少しだけゆっくりしている時、俺達家族はテレビのニュースを見ていた。

『続いてのニュースです。4月に発生した原因不明の市街地の壁などが突然壊れた事件ですが、未だに原因が分かってはおりません』

ニュースでは『市街地破壊事件』(俺命名)が取り上げられていた。
その事件は4月に入って少ししてから起きた。
突然市街地の壁が壊れたのだ。
電柱は折れ曲がっていたと言われていた。
それからしばらくして今度は町中に木の幹が出現した。
少し経ったら消滅したが、環境問題による現象や、地球の終わりだとか色々な憶測が飛んだ。
結局答えなどは出なかったが……。
さらには連休中にも光が飛び交うのを見たという目撃証言まで飛び出したりした。
そのため、一時期海鳴市は怪奇な街と呼ばれるようになってしまった。
まあ、そっち関係での観光客は増えたみたいだったが。

(それにしても、一体なんだろう?)

俺はふと考え込んだ。

「嫌だわ、近頃は物騒で」

俺の考えを遮ったのは、母さんのぼやきだった。

「そうだな、真人も気を付けるんだぞ」
「はーい、父さん」

俺はそう答えたものの俺にとっては無関係だった。
そしていつも通りに学校へと向かうのだった。





――そういつも通りに。










「お、真人おはよう」
「おはよう」

クラスの友人が教室に入った俺を見つけて声をかけてくる。
それに対して俺はいつも通りに答える。

「なあなあ、やっぱり今年のミス聖翔は高町さんで決まりだよな」
「おいおい何を言ってんだよケンジ、それならバニングスさんだよ」
「いやいや月村さんという線も」

三人はそのまま討論を始めてしまった。
俺はその三人から離れることにする。
周りを見れば案の定三人を冷たい目で見る女子たちの姿があった。

「あ、おはよう真人君」
「おはよう、なのは」

挨拶をしてきたなのはに俺も挨拶をした。
別に俺となのはは知り合いだとかそういうのではない。
家が隣だからとか近所だからとかはない。

(そもそも学校からバスに2,3分くらい乗って乗って5分程度歩けば家だし)

なのになぜかこういう風に自然に話せるぐらいの中なのだ。
ちなみに呼び方は、彼女自身が指定してきた。
思い当たるとすればたまたま席が隣で元気がない時に、俺が元気づけてあげたりしただけだ。
まさかそれだけで仲良くなれるのであれば、今も俺にひしひしと感じる男からの殺気はないはずだし。

「そう言えばなのははどう思う?」
「え?何が?」

俺はとりあえず気になったことを聞いてみることにした。

「ほら、4月にあった市街地の壁が突然壊れた事件」
「さ、さあ?」

俺の言葉になぜかなのはは慌てていた。
なぜ?

「は~い、皆さん席についてくださいね」

理由を聞こうとしたが先生が来たため打ち切りとなってしまった。
結局その後、市街地破壊事件に関して聞くことはできなかった。










「ふぅ……」

夜、俺はいつものように自分の部屋で本を読む。
読んでいるのは、ごく普通の少年が魔法使いの学校に行くという内容の本だ。

「いいなぁ、魔法って」

一通り読んだ俺はそう呟いた。
やっぱり俺でも魔法というものにあこがれる物さ。

「もし魔法が使えたら好きなお菓子を、いっぱい食べたいな」

俺はそんな現実味のないことを口にする。
でもそれは所詮、作り物。
この世に魔法なんてものは存在しないのだから。

「……寝ようっと」

そして俺は眠りにつくのだった。


―日常崩壊まで残り1日ー


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プロローグ

この世界には2種類の力の得方がある。
一つ目が得たくて得た力。
つまりは自分で望んで得た力だ。
次は偶然得た力。
才能、運命等々によって得た力だ。
どの得方も力も得たことによって持つ責任は同じだ。
なぜならば人ならざる力はそれだけ脅威だからだ。

――だがしかし、この責任は本当に平等と言えるのだろうか?
異種の力――魔法。
その力を望んでいないにもかかわらずに得た者にとって、その責任は果たして軽いと言えるのだろうか?

そしてまたここに一人、望んでもいないのに力を手に入れてしまう少年がいた。
果たして彼はどのようにその力を振るうのだろうか?
それは誰にもわからない。

これはそんな少年に降りかかった事件の物語である。


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前書き(必ずお読みください)

このたびは、本作を読んで頂きありがとうございます。
この作品は、私が不詳にも書いてしまった新作です。
本作品を読まれる前にいくつか注意点がございますので、ご覧下さい。


・本作品では時たま残酷な描写が含まれていたりします。
 なるべく注意しますが、そう言ったものに抵抗を感じる場合は読まれないことをお勧め します。

・またこの作品内では主人公はややチート傾向にあります。
 一応理にかなった形で力を高めていくという形にはしますが、もしそう言ったものに不 快感を感じられましたら、引き返すことをお勧めします。

偉そうに書き連ねましたが、これからもよろしくお願いします。


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