健康の意識 忍者ブログ

黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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IF-Y 第3話 目覚めのハプニング

「ぅ………」

目が覚めるとそこは天界ではなく、よく見る天井だった。
周囲を見回すと、やはりフィリアンノ城内の俺に宛がわられた部屋だった。

「ッつ!?」

体を動かすと、体中に痛みが走るがそれを無視して起き上がるとベッドから出た。
額にはタオルのようなものがあった。
(俺は風邪なんてひいてないぞ)
そんな事を思いながら、服を探すべく辺りを見渡す。

「服は………あった」

俺はベッドの横に置かれた椅子の背もたれに掛けられていた服(とはいっても勇者が来ているジャージと、色違いの物だが)を着込んだ。
すると、扉が開く音がしたので、その方向を見る。
そこには桶のようなものを手にしたユキカゼの姿があった。
そしてユキカゼは俺の姿を見るや否や、信じられない物を見たように目を見開いた。

「渉殿ッ!」
「ユキカゼか」

そして大きな声で叫ぶ彼女に、顔をゆがめながら声を上げた。

「何をしているでござるか!! 今日は絶対安静でござる!」

どうやら目を見開いたのは、俺が立っていたからのようだ。

「それは結構。もうほとんど完治し………分かった」

俺の言葉を遮るように、ユキカゼから無言のプレッシャーが襲う。
それに勝てるような俺ではなく、素直に従うことにした。
ベッドに横になった俺を見て、安心したのかほっと安堵の息を漏らすと、ベッドの横に会った椅子に腰かけた。

「渉殿が目覚めてくれてよかったでござる。突然渉殿が倒れたから、心配したでござる………」

ユキカゼの表情は見えなかったが、両手が力強く握りしめられていた。

「すまなかった。体調管理もできていないとは、まだまだだな」
「そんな事はないでござる!!」
俺の謝罪に、ユキカゼが大声で否定した。
「渉殿はとても強いでござる! だから、拙者は渉殿の事が……」
「……」
ユキカゼは途中まで言うと口を閉ざした。
何を言いたいのかは、俺には何となくだが分かった。

「あ、今果物を持ってくるでござるから少し待っていて欲しいでござる」
「あ、ああ」

徐に椅子から立ち上がったユキカゼに、俺は何と返したらいいのかが分からずに生返事をしてしまった。

(………悪くないな。こういうのも)

ユキカゼが去っていったドアを見つめながらそう心の中でつぶやくと、俺は戻ってくるまで待とうと思い目を閉じた。










「渉殿……」

まどろみの中、俺を呼ぶ声がした。

「っ!?」

そして唇に何か柔らかい物が触れた。
俺は慌てて目を開けると、そこには目を閉じたユキカゼの顔がすぐ近くにあった。
俺の唇に当たっているのはユキカゼの唇だった。
俺はそれが分かったが、ユキカゼを引き離すことが出来なかった。
まるで金縛りにあったかのように、体が固まってしまったのだ。

「ッ!? わ、わわわわ渉殿ッ!?」

俺がの目が覚めていることに気付いた、ユキカゼは慌てて俺から離れた。

「こ、これは……その、えっと……」

慌てた様子で視線を俺から逸らすユキカゼの姿に、俺は声も出なかった。

「も、申し訳ない渉殿ッ! わ、私急用を思い出したので、失礼するでござるッ!!」

そして、そう言って逃げるように部屋を飛び出して行ってしまった。

「………」

俺に出来たのは、逃げるように彼女が去って行った扉を見ている事だけだった。

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『DOG DAYS~誤召喚されし者~』最新話を掲載しました。&キリ番達成

こんばんは、TRです。

大変お待たせしました。
本日、『DOG DAYS~誤召喚されし者~』の最新話を掲載しました。
ハーレムルートは無事最終話を迎えることができました。
読んでくださった皆様はもちろんのこと、アイデアを寄せてくれた方、誤字脱字のアドバイスをしてくれた方、感想を書いてくださった方、あげるときりがない皆様のおかげでもあります。
本当にありがとうございました。
引き続き始まった”ユキカゼルート”もよろしくお願いします。
今のところ、ハーレムルートと同じ状態ですが。

さて、この作品のことで、また皆様のお力をお借りしたいと思います。
今回は物の名称決めです。
渉が持っている神具は神剣、正宗・吉宗の二本ですが、これにもう一つの神具を追加したいと思います。
下の方に形状と、用途を添えますので、これだ!と思うアイデアがありましたら、ぜひお知らせください。
私の場合、ネーミングセンスに重大な欠陥があるようなので。
出来れば横文字ではなく日本の神話で出てくるような(天照大神など)でお願いします。

形状:灰色の杖、先端はさすまたのよう(リリカルなのは出言うところのなのはが持つデバイスの、砲撃モードのような形状)に分かれていて、その中央には小さな剣のようなものがついている。

用途:神剣を使って行う霊術ではできないような高度の霊術を行使する際に使用。

どうかご協力をお願いします。

さて、再び話は変わりまして本日ついに当サイト初のキリ番”5000”を到達しました。
ありがとうございます。
5000を踏まれた方はおめでとうございます。
あなたにはリクエスト権があります。
リクエスト権をお使いになる場合は、キリ番についての注意事項とを熟読の上、1月15日の午前0時までご連絡をお願いします。
0時を過ぎますと、リクエスト権は失効となります。

さて、恒例の拍手レスに移りたいと覆います。
『ハーレムルートお疲れ様です。
次のルート&他作品も応援しています。
更新頑張って下さい。』
イヴァさん、拍手コメントありがとうございます。
次のルートも全力投球で行きたいと思います。
ちなみに、寄せられたストーリーの流れの希望案ですが、出来うる限り添えるようにしたいと思います。


それでは、これにて失礼します。

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IF-Y 第2話 魔物退治

「渉殿」
「……何だ?」

ロランさんに言われた場所へ向かう途中、ユキカゼが俺に声をかけてきた。

「どうして渉殿だけ歩きでござる? セルクルに乗れば楽でござるよ」

(またか)

前に同じ疑問を親衛隊長に投げかけられたのを思い出して、俺は思わずため息をつきそうになった。

「も、もしよかったら拙者のセルクルに乗らないでござるか?」

頬を赤らめながらのユキカゼの提案に、俺はガクッと転びそうになった。

「却下だ! セルクルに乗らないのは、乗ることによって出来る危険を防ぐためだ!」

これ以上続けられて変な方向に話が進む前に、俺は理由を話した。

「危険……でござる?」
「動物の足を狙った攻撃は乗っているものに不意打ちをする、一番手っ取り早い方法。確かに動物に乗れば移動労力は軽減できるけど、危険が伴う」

首を傾げているユキカゼに、俺は出来るだけ分かりやすく説明をした。

「なるほど」
「さて、セルクルはそろそろ降りた方がいいかもな」

俺の説明にすごいとばかりに頷いているユキカゼをしり目に、俺は静かに告げた。

「………そうでござるな。この先は空気が違う……確実に魔物がいるでござる」

ユキカゼも先から漂うよどみを感じているのか、真剣な面持ちで答えた。
そして、少しばかり開けた場所でユキカゼはセルクルから降りた。

「行くでござるよ」
「了解」

ユキカゼの合図に、俺は気を引き締めて返事をした。
そして奥へと足を踏み入れるのであった。










開けた場所から進んだ場所は芝生で覆われ、脇には草木が生い茂るという、一種のジャングルのような場所だった。

「これはいかにも出そうな場所でござるな」

辺りを見回しながらその感想を述べるユキカゼに俺は静かに頷く。

「渉殿、気を付けるでござるよ。今回のは今までの比ではないでござるゆえ」
「分かりました」

ユキカゼから注意され、俺は静かに返事をした。
確かにこちらに向けての敵意を感じる。
だが、分かるのはそこまで。
今の俺・・・に分かるのはそれだけだ。
まあ、普通はそれだけでもすごいと言われるほどのレベルだが。

「無茶だけはしないように」
「その言葉。そっくりそのまま返すでござるよ」

俺の注意に、ユキカゼが反論した。

「拙者は、渉殿の方が心配でござる」

ユキカゼの言葉に、心配かけるようなことをしたかと記憶を遡ってみたが、思い当たるのは一つもなかった。

「渉殿を見ていると危なっかしく感じるでござるよ」

そんな俺の考えが分かったのか、再び口を開く。

「………俺が無茶するのはお前たちを守る時か、仲間を守る時ぐらいだ」
「ッ!? そ、そうでござるか」

俺の言葉に、なぜか頬を赤らめ視線を俺から逸らしながら答える。
その時、ふっと敵意が強まった。

「どうやらあちらさんは、せっかちさんだな。自分から来たようだ」
「そのようでござる」

俺の軽口に、ユキカゼは武器を構えながら返すと、来るであろう魔物に備えた。
そしてその魔物は唐突に俺達の前に躍り出た。

「グゥゥォォオ!!」

その魔物は犬ぐらいの大きさで、色は黒かった。
爪先は非常に鋭利であれで引っ掻かれでもしたら、下手すれば致命傷だけは避けられない。
おまけに鋭い牙ときた。
これも噛まれたら大ダメージだ。
どちらにせよ、”爪”と”牙”の二点にだけ気を付ければいいだろう。

「数は10匹。どうやら、一瞬で片が付きそうだ」
「そのようでござる、なッ!」

俺の言葉にユキカゼが言いきるのと同時に飛び掛かって来た魔物を、やや大きめの手裏剣のようなもので斬りつける。
魔物はそのまま地面に横たわり、動かなくなった。

「お見事」
「えへへ」

その一切乱れぬ動きに称賛の声を送ると、ユキカゼは一気に緩んだ表情で喜びをあらわにした。
するとさらに俺達の背後や周辺に魔物が姿を現した。
どうやら前方にいた魔物と同じタイプらしいが、数がものすごく増えた。
おそらくさっきの2,3倍ほどは。

「どうやら敵は数で攻めてきたようだ」
「うむ、拙者たちはものの見事に囲まれているでござるな」

俺は互いに背中を合わせ、意識を集中する。
勝負は一瞬。
判断を誤ればただでは済まない。
そして……

「グオオオオっ!」

魔物たちは雄叫びを上げると、一気に襲い掛かってきた。
ユキカゼが動き出す中、俺は一歩前に出た。

「紋章剣……」

冷静に、無駄のない動きで神剣に輝力を集める。
後は魔物たちをひきつけるだけ。
俺から見て右側の真横から左側の真横までの魔物を俺が狩る。
それが、俺の導き出した戦術だった。
意識を集中していると、見えるはずのないユキカゼの行動が手に取るようにわかった。
目まぐるしい速さで魔物たちを退治していくユキカゼ。
そして、俺の目の前まで迫る魔物たちの姿。

(今だッ!)

「裂空一文字ッ!!」

一気に正宗を横に薙ぎ払うように振るう。
直撃した魔物たちは、断末魔を上げることなく消滅した。

「ふぅ………渉殿、お見事でござる」
「それを言うなればユキカゼの方がだ」

ユキカゼの労いの言葉に、俺はそう返した。
俺がやったのはあくまで真正面の魔物だけだ。
実際ユキカゼはやや広い範囲の魔物を相手にしたのだ。
だからこそ、俺達はそう返したのだ。

「いやいや、渉殿の方が見事でござるよ。お館さまの使っていた紋章剣を、あそこまで再現できるとは羨ましいでござるよ~」
「そ、そこまですごくはない」

ユキカゼの真正面からの称賛の言葉に、俺は顔が熱くなるのを感じた。
すると、それを見ていたユキカゼはからかうような目で俺を見てきた。

「いや~渉殿が照れるのを、始めて見たでござるよ。顔、真っ赤っかでござるよ」
「ユキカゼ、人をからかうのも大概に――」

ユキカゼの言葉に、注意をしようとした俺の視界がぐにゃりと歪んだ。

「……? どうしたのでござる?」

俺の異変に気付いたユキカゼが首を傾げて訪ねてくるが、俺はそれに答えることはできなかった。
一気に体が重くなったような感じがした。

(体中を襲うこの倦怠感……まさか)

俺は、その原因に心当たりがあった。
しかし、そんな事を考える時間はなかった。
なぜなら、俺の意識はそのまま途切れたのだから。

「いやあぁぁぁッ!!!」

その寸前に、ユキカゼの叫び声が聞こえたような気がした。

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IF-Y 第1話 渉の選択

来てしまった。
いや、ここに来るのが嫌な訳ではない。
だが、なんとなく嫌なんだよな。

(絶対のこの前の事で文句を言われる)

そう思った時肩を掴む人物がいた。
同時に、ものすごいオーラを背後から感じる。
それは言うなれば怒りのような気もした。
そして振り返った。

「渉殿。拙者に、何か言う事はないでござるか?」

うん、やっぱり怒ってた。
声は穏やかなのに、ユキカゼが放つオーラは全く穏やかじゃない!!

「わ、悪かったって。でもあんな状態で寝られるほど、俺は図太い神経はしてないんだ!」
「……イクジナシ」

いや、ジト目で言わなくても。
それとも彼女は、俺に狼になれとでも?

「それはともかく、ユキカゼに頼みがあるんだ」
「拙者に?」

俺の言葉に、ユキカゼは目を丸くして返した。

「魔物関連の事だ」
「………」

俺の言葉に、二人の表情が変わった。
決して、がっかりとした表情はしていない。
その表情は大げさに言えばヴァルキュリエのようなものだ。

「なるほど……すぐに準備をしてくるでござる」
「ああ」

俺に告げて屋敷に駆けて行くユキカゼを見ながら、一息つくのであった。
そして、俺はユキカゼが戻ってくるのを静かに待つのであった。

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IF-H 最終話 帰還

風月庵では、草むらだった一か所にかがんでいるユキカゼの姿があった。
それは渉がフォロニャルドを去ってからの日課でもあった。

「ユキカゼ」
「……お館さま」

後ろから声をかけたダルキアンに、ユキカゼは地面から視線をそらしてダルキアンの方へと顔を向ける。

「もう二か月でござるな」
「……はい」

横に腰かけたダルキアンの言葉に、ユキカゼは再び地面に視線を落とした。
渉がフロニャルドを後にしてから二か月という月日が流れていた。

「もしかしたら……」
「何でござる?」

口を開くユキカゼに、ダルキアンは先を促した。

「何も思い出してなくて、もうここには………うぅ」
「ユキカゼ……」

涙声だったその言葉は、やがて嗚咽へと変わる。
そんなユキカゼを悲しげな表情で見るダルキアンはそっとユキカゼの肩に手を置く。

「グス……お館さま?」
「大丈夫でござる。大丈夫でござるよ」

涙を流しながらダルキアンの顔を見上げるユキカゼに、ダルキアンは只々それだけを言い聞かせるようにつぶやいた。
ダルキアンも、ユキカゼと同じ心境だ。
だが、彼女はこの二か月間涙を流したことはない。
なぜなら……

「渉は必ず戻ってくるでござる。そう拙者たちが信じなければ、誰が信じるのでござる?」
「……そう、ですね」

ダルキアンは信じているのだから。
渉が必ず戻ってくるということを。
だからこそ、ダルキアンは待ち続けられるのだ。

「渉が戻ってきたらずっとそばにくっつくでござるよ」
「私もでござります。お風呂に入る時だろうとこのユキカゼ・パネトーネ、渉からは離れないでござる」

ダルキアンの宣言に、ユキカゼは涙を拭うと同じように宣言した。
それはある意味すごいことを言っているようなものだが。

「渉が戻ってきたらまずは稽古をするでござろうか?」
「あはは、拙者たちを待たせた罰でござるな。拙者も参加するでござる」

冗談交じり(とは言っても目は本気だが)に物騒な事を言いながら笑いあう。
と、その時一筋の風が流れる。

――それは困るな――

そして風と共に、その声は二人の元に運ばれた。

「え!?」
「っ!?」

その聞き覚えのある声に、二人の方はびくっと震える。

――待たせたことは謝るが、稽古はやめてくれ。確実にリンチになるから――

再び駆けぬける風に運ばれて、その声は二人の耳に入った。
二人は地面にしゃがみ込んだ体制のまま風上……声のした方へと顔を向けた。
そこに立っていたのは。

「久しぶり……よりはお待たせと言った方がいいかな?」

苦笑を浮かべながら立っている渉の姿があった。

「渉っ!!」
「うわっと!?」

先に駆けだしたのは、ダルキアンだった。
渉に抱き着き顔を肩に埋めている。
渉は突然のことに数歩後ろに下がる。

「渉!!」
「っと!?」

次に抱き着いたのはユキカゼだった。
ダルキアンが飛び掛かったことで、心構えが出来たのか次は、渉は後方に下がらずに済んだ。
そして二人は嗚咽を上げていた。

「良かった。会えてよかったでござるよぉ」
「会いたかった、ずっとずっと待っていたでござる!!」

涙ながらに掛けられる言葉に、渉は驚きに満ちていた表情を緩め二人の頭に手をのせると、静かに撫でる。

「二人とも、ごめんな」
「グス……拙者たちが今聞きたい言葉は、それではないでござる」

二人の様子に謝罪の言葉を口にする渉に、涙を拭いながら、ユキカゼは告げた。

「そうだったな。ただいまユキカゼ、ダルキアン」
「「………」」

涙ぐんだままで、ユキカゼとダルキアンは渉を期待しているような目でじっと見つめる。

「大好きだよ」

そう二人の耳元で囁かれた言葉に、二人の表情に笑顔が戻った。

「拙者も渉の事が、大好きでござる!!」
「拙者もでござる」

渉の言葉に返すように大きな声で返事をしながら渉に、飛び掛かるユキカゼに続いて、ダルキアンも渉目掛けてジャンプした。





今、こうして渉は帰還を果たした。
――彼を必要とする本当の居場所へと。

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