健康の意識 忍者ブログ

黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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IF第1話 出会い

「ん……」

俺が目を覚ますと、そこは全く知らない森の中だった。
近くには焚火があった事から、俺以外にも人がいた事は確かだろう。

「取りあえず、ここから離れるか」

どうしてここにいるのかはさっぱりわからないが、偶然ここにいたのかもしれなければ、何者かが俺を連れ去ったと考えられる。
そして俺は、その場を離れるのであった。










左右には雑草のようなものが生えている、森の道をしばらく歩いた時だった。

「ッ!?」

何者かの鋭い視線を感じた。
これは、殺気!!
それを理解した瞬間、草を踏みしめる音がしたため、俺はその場を飛びのいた。
そして180度回って後ろの方を見た。
そこにいたのは……

「グオオオオオオ」

雄たけびを上げる、月明かりに照らされた黒っぽい怪物だった。
目が赤く輝いているのが、恐ろしさに醸し出していた。
しかも、数は軽く10を超えていた。

「この怪物……忌わしい気があるな」

怪物から感じ取った邪気に、俺は即座に気付いた。

(どう見ても敵対行動だし、邪気を放っているのであれば浄化をすることが出来るな)

ノヴァから、敵対行動と邪気を放っていない場合の、必殺級の魔法行使は禁止されているのだ。

「それでは始めますか。吉宗、正宗!」

俺は、自分の持つ武器を呼び出す。
相手の攻撃を防ぐ楯の役割の”吉宗”、相手に攻撃を仕掛ける矛の役割の”正宗”の二本ので一本という不思議な剣だ。

「グオオ!!」

その剣を見た瞬間、怪物が一斉に飛び掛かってくる。
俺はそれを横に移動して回避する。

「我と共に奏でよう。レクリエム!!」

そして一気に怪物達に向けて、白く光り輝く剣を振り下ろす。
その瞬間、俺の視界は”白”一色に包まれた。
聞こえるのは、怪物たちの断末魔だった。
やがて光が晴れると、そこに怪物たちの姿がなかった。

「ふぅ……どうやら、終わったようだな」

それを確認した俺は一息つきながら呟いた。
剣はしばらく出しておこう。
そして、もう一度歩き出そうとした時だった。

「そこにいる方~!!」
「待ってほしいでござる!!」

俺の背後から掛けられた声に、俺は振り返った。
そこには、片手を振って向かってきている金髪の少女に、紫色の髪をした女性がいた。
いや、それは問題ではない。
一番の問題は……

(あれって……耳だよな?)

二人の頭には動物の耳のようなものがついていたのだ。
最近はやりのコスプレか?

「はぁ……はぁ」
「ようやく、見つけたでござる」

俺の前にたどり着いた二人は軽く息をきらせていた。
そんな時、俺は気付いた。
二人の背後に俺が相手にした怪物が忍び寄っていることに。

「ッ!! 二人とも、伏せろ!!」
「「っ!?」」

俺の叫び声に驚きつつも、二人は頭を伏せた。

「グオオオオオ!!!」

その次の瞬間、まるで親の仇のように俺に飛びかかってきた。

(今の状況で縦振りのレクリエムは出来ない。ならば)

俺は即座に判断をすると、吉宗と正宗を重ね合わせる。
神剣は、一瞬光を発すると、その姿を弓矢に変える。

「貫け、光矢!」

怪物に照準を合わせ、さらに霊力を込め俺は白銀の光が纏った矢を射た。

「グオオオオオオオ!!??」

まるで断末魔のごとく、貫かれた怪物は消滅した。

「ふん、さっきので浄化されてれば苦しまなかったものを」
「お見事でござる」

静かに呟く俺に賭けられた声は、称賛のものだった。

「二人ともお怪我は?」
「拙者はないでござる」
「私もでござるよ」

紫色の犬耳が生えた女性に続いて、金色のキツネ耳が生えている少女が答えに、俺はほっと胸を撫で下ろした。

「それはよかった。美人な女性に怪我でもさせたら、大変だからな」

そう言ったのは、ノヴァから”美人な女子に怪我をさせたらそのものは死刑物じゃ”と言われていたからだ。

「「び、美人///」」

しかし、二人はなぜか頬を赤らめていた。

「ところで……だ」
「な、何でござるか?」

未だに頬が赤い女性は俺の言葉に、聞いてきた。

「俺は、小野 渉。あなた達は?」
「あ……」

二人とも、自己紹介がまだだった事に気付いたのか、はっとした様子で顔を見合わせていた。

「これは失礼した。拙者はブリオッシュ・ダルキアンと申す」
「私は、ユキカゼ・パネトーネと申します」

これが、今後俺の人生に大きな変化をもたらす人物たちとの出会いだった。

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後書き

こんばんは、TRです。

今回は、本作『DOG DAYS~誤召喚されし者~』を読んでくださり、ありがとうございます。
これにて、本作は完結と相成りました。
完結させることができたことに、私としてはほっとしております。
最終話があまりにもしまりのない物ですが、2期の様子を見て、続編を書いてみようかなと思っております。

本作を読んでくれた方々に感謝の気持ちを込めて、お礼を言って終わりたいと思います。

本当に、ありがとうございました。

追記

この度、小説投稿サイトの諸事情で、こちらに移転となりました。
元の方と話は全く変わっておりませんので、ご安心ください。
この後にはIF編の移転作業が残っておりますが、こちらが終了次第最新話の執筆に取り掛かっていきます。
今しばらくお待ちいただければ幸いです。

それでは、これにて失礼します。

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最終話 旅の始まり

シンクが元の世界に戻ってから一月ほど経ったある日。

「なぜに俺はここの掃除をしてるんだ?」
「よいではないか。これも大事な仕事でござるよ」

俺は縁側に腰掛けて、静かにお茶を飲んでいるダルキアン卿に不満を漏らした。
今、俺は風月庵の庭の掃除をやっていた。
なぜだかこれが毎日の日課となっていた。

「しかし、やはり渉殿は腕がいい、すでに板についているでござるよ」
「お世辞は結構です。と言うよりそれをユキカゼの前で言わないでください」

俺は、ダルキアン卿の称賛する声に、そう返した。
ユキカゼは、なぜか対抗心を燃やして勝負を仕掛けてくるのだ。
しかもそれは俺が負けるまで続けられる、サバイバル勝負とかす。
ユキカゼ曰く、『渉殿は腕がいい凸ござるから拙者も張り合いがあるのでござる』とのこと。
意味が分からない。
そんなこんなで、庭掃除も終わり昼食をとることとなった。

「旅に……ですか?」

おにぎりに舌鼓を打っている時に、ダルキアン卿からそんな話がされた。

「うむ。どうやら遠いところで魔物が出没しているようでな」
「拙者達は魔物退治に行こうか思っているのでござるよ」

ダルキアン卿とユキカゼは、魔物を封じる為に旅をしていた。
それゆえに、俺も旅をするのかと思ったのだが

「いや、旅ではないでござるよ。今回は出没する国に向かった後に封じてすぐに帰るだけでござるから、60日ほどで戻ってこられるでござる」

ユキカゼの説明から、俺の考えは間違っていたことが分かった。

「それで、渉殿も一緒に行くかどうかを、決めて貰おうと思ったでござる」
「拙者たちは来てもらった方がありがたいでござるが、エクレの事もあるから……」
「あー」

ユキカゼの心配そうな表情から、何を言いたいかが伝わった。
つまり、恋人であるエクレを残して旅に出ても良いのかということだ。

「後で、エクレに聞いてみます」
「うむ、そうすると良いでござるよ」

俺の答えに、ダルキアン卿はそう返すとお茶を一口すすっていた。

(まあ、彼女が何て言うかは大体の予想は出来るけど)

俺はそんな事を思いながら、おにぎりを頬張るのであった。










昼食を食べ終えた俺は、フィリアンノ城に来ていた。

「エクレ!」

中に入ってしばらく歩くと、運よく探していたエクレと会うことが出来た。

「む、何をしに来た」
「開口一番にそれはないだろ」

俺は、いつも通りのエクレに苦笑いを浮かべる。

「実はエクレに話したいことが――「旅の事か?」――何でそのことを?」

俺は、まだ話してもいない事を知っていた事に驚き理由を聞いた。

「姫様から聞いた」
「あー、なるほどな」

考えてもみればそうだよな。
普通は旅に出ることは、姫君とかに言うよな。

「知っているのなら話は早い。俺は隠密部隊の一員として行くべきだろうか?」
「何を当り前な事を言ってるんだ? 行くべきに決まってるだろう!」

俺の問いかけに、エクレは怒った様子で、声を上げた。

「それはそうなんだが、お前がな……」
「……? 私がどうかした」

俺がどう言おうかと考えていると、エクレは怪訝そうな表情を浮かべながら聞いてきた。

「ユキカゼ曰く、お前が寂しがるのではないかと心配しててな」
「なッ!? だ、誰が寂しがるものか! わ、私は別に渉がいなくても寂しいなど……」

エクレは途中まで言いかけると、言葉が詰まったのか何も言わなくなった。

「難儀な性格をしているよな、お前は」
「わ、悪いか?」
「いや、悪くはない。素直に”行かないで”と言ってくれれば、俺はここに留まるつもりだったけど」

俺は、そう言いながらエクレの頭に手を置いた。

「安心しろ、60日ほどで俺は必ず戻ってくる。その後にお土産話の一つでも聞かせてあげる」
「………わ、私のことなど心配しなくてもいい」

俺はエクレの完全に強がりと思える言葉を聞きながら、静かに頭を撫でた。
エクレが本当は行って欲しくないということぐらい、俺には分かっていた。
だが、それでもなお、行けと言うのであれば、俺はその意思を尊重したいと思う。
それが俺に出来る唯一の事なのだから。
そして、旅立ちの日を迎えた。










「忘れ物はないか?」
「ああ、これと言ってない」

出発当日、俺は見送りの為に、フィリアンノ城の正門まで付いて来ていたエクレの問いかけに、いつものように答えた。

「落ち着いた場所に着いたら手紙を飛ばすからな」
「ああ、楽しみにしてる」

俺の言葉に、エクレは爽やかな表情で答えた。
これが、俺が考え付いた策だった。
式神を利用して手紙をエクレに届け、そのまま式神によってエクレからのお返事をもらうと言う仕組みだ。
実際問題、式神はそんなに霊力を消費しないため、実にやりやすい物でもあったのだ。
まあ、言ってしまえば、これがエクレの爽やかな表情にさせている理由でもあるが。

「それじゃ、行ってくる」
「ああ、気を付けてな」

俺は見送りに来てくれたエクレに手を振りながらしばらく歩くと、フィリアンノ城に背を向けて歩き出した。
向かうは待ち合わせ場所の風月庵だ。










「お、出発のあいさつは済んだのでござるか?」
「ああ、悪いな。わざわざ待ってもらって」

俺は、エクレとあいさつをするために出発を待ってくれた二人に、お礼を言った。
二人はそろって”気にするな”と答えた。

「では、行くでござる」
「「おー!」」

ダルキアン卿の言葉に、俺とユキカゼは片手を上げると、そのまま風月庵を後にした。
こうして、俺達は魔物封じの旅に出るのであった。

(出来れば、シンク達が来るまでには間に合わせたいな)

そんな事を思いながら





Fin.

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第44話 再召喚の条件

シンクが送還された次の日の朝。
フィリアンノ城はいつも以上に静かだった。

「静かな場所が好きだとは言え、これはな………」

静かすぎると悩んでいた時だった。

「あ、渉さん!!」
「リコッタ。大声出して一体どうしたんだ? しかもこんな朝っぱらから」

一人考え事をしていると、大きな声で俺の名前を呼びながら駆け寄ってくるリコッタの姿があった。

「大変………大変なのでありますよ!」
「もしかして敵襲か!?」

リコッタの慌てぶりから想像して、聞いた。

「ち……違うで…あります」
「あー、とりあえず息を整えて」

俺は、何があったのかを聞きたい気持ちを抑えて、リコッタの息が整うのを待った。











「それで、何があったんだ?」

それからしばらくして息を整えたリコッタに、俺はもう一度訪ねた。

「勇者さまの再召喚が、可能になるのであります!!」
「何!?」

リコッタが嬉しそうに飛び跳ねながら言われた言葉に、俺は驚きを隠せなかった。

「詳しく聞かせてくれ!」
「実はですね――――」

そして、リコッタは経緯を話してくれた。
送還の儀をした勇者をもう一度再召喚する方法が記された手紙が見つかったらしい。
その手紙には、勇者の再召喚の条件が記されていた。
それが最初の帰還から再召喚までは、91日以上の時間を空ける事。
次に召喚主以外の3名の者に、もう一度ここに来ることの制約をして勇者が身に着けていた品を預けておくこと。
そして最後に、召喚主に対して、制約の品と書を手渡しておくことの3つを満たさなければいけないらしいが、シンクはこれを全部満たしていたらしいのだ。

「これって奇跡か? 何だかうまくいきすぎているような気が」
「た、たぶん奇跡であると思いますよ」

俺の疑問に、リコッタは苦笑いを浮かべながら答えた。
と言うより、奇跡としたらすごい確率だぞ。

「それでですね、姫様が勇者さまにパラディオンを送るらしいです」
「あ、だったら………」

俺は、どこからともなく紙とペンを取り出すと、さらさらとフロニャルドの文字で文を書いていく。

「これも同封して貰うように、姫君に頼んでもらっていいかな?」
「勿論であります!」

リコッタは、お辞儀をして二つに折りたたんだ紙を持って去って行った。

(何ともまあ、運のいい奴だこと)

俺は、心の中で苦笑いを浮かべるのであった。

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第43話 帰る日

シンクSide

とうとう、僕が元の世界に帰る日が来た。
不安はないと言えば嘘になるけど、でも必ず僕はここに来る。
それが、僕の誓いだった。

「む……渉はまたか」
「うん、そうみたい」

隣を歩いていたエクレが、いつものように不機嫌な表情を浮かべてため息をついていた。
僕は昨日の夜の事を思い出していた。










『式典に出ない!?』
『ああ、出ない』

夜、廊下で偶々鉢合わせになった渉から、エクレに伝えてほしいとのことで、言われたのが、それだった。

『今朝のあれで、慣れたんじゃなかったの?』
『それでも苦手な物は苦手なのさ。特にお別れ間際の公式な場とかは……な』

悲しげな渉の表情を見て、僕は何も言うことが出来なくなった。
一体何があったのかは、僕に走ることはできないけど、きっとつらい思い出があるのだろう。

『と言うことで、明日は参加しないから、探さないようにあいつに言っておいてくれ。今日のように強引に連れられるのはごめんだからな』
『あはは………』

渉のため息交じりの言葉に、僕は苦笑いを浮かべるしかできなかった。
そして、渉はそのまま僕の前から去って行った。
翌日、渉の部屋に確認しに行くと、すでに誰もいなかった。

(まあ、渉らしくていいや)

僕は、そう思いながら、式典の場所に向かうのであった。

Side out





祭殿がある場所に俺は来ていた。

「もう式典の方は終わったかな?」

俺の呟きに応える者はいない。
なぜなら、ここには誰もいないからだ。

「まだ慣れないもんだ」

口に出すとかなり情けなく思えてしまう。
慣れたとはいえ、ああいう雰囲気の者にはまだ慣れてないのだ。
お別れのときの送別会が良い例だ。

「こんなところにいたんだ」
「………一体何の用だ? シンク」

一人で祭殿を見ている俺に声をかけたのは、シンクだった。
俺は振り返らずに声をかける。

「いや、渉に渡したいものがあってさ」
「渡したいもの?」

シンクの要件に、俺は振り返って尋ねる。

「うん。これをね」
「何だ? これ」

シンクに手渡されたのは、何かのコインのようなものだった。

「記念コインだよ」
「それは分かってる。どういう意図で渡していると聞いているんだ」

俺の問い詰める物言いに、シンクは何も言わなかった。

「俺は元々戦乱期に生きていた人間だ。そう言う人はこれから命をかけた戦いをするための形見分けだと言うことがすぐに分かるんだ」
「そうなんだ」
「別に、これをもらって嫌だと言うことはない。だが、さっきの理由で複雑な心境だ」

俺は、誤解を招きそうなので、軽くフォローをした。

「………こんなことをしている暇があるんなら、とっとと元の世界に帰れ」
「………うん」

そして、俺はシンクに冷たく言った。
これ以上話していると、自分の中の何かがさらけ出されそうな気がしたからだ。
俺が随分昔に封じたつらい過去への何かを。

「またね」
「…………シンク!!」

いてもたってもいられなかった俺は、シンクを呼び止めてしまった。
自分で追い払ってこの扱いは何だと思うが。

「このコインほどではないが、こいつを受け取れ!」
「っと!?」

俺は、シンクに向けてあるものを投げた。
それは、銀色の背景に、金で剣が描かれたエンブレムだった。

「それは、俺が世界の意志であることを示すエンブレムだ。今の俺には不要だ。元の世界に戻って捨てるなり、とっとくなりしておけ」
「ありがとう!!」

シンクのお礼に、俺は背を向けて、片手を振って答える。
そして、今度こそシンクは去って行った。

(俺らしくねえな)

あのまま、シンクを元の世界に返してはいけないと、感じた為の行動だった。

「これで、昔の過ちは拭えたのだろうか? レオン」

俺は静かに、昔の盟友の名を呟いた。
それは、俺に出来た最初の盟友であり、最初に殺した友人の名だった。

「ん? このエネルギーは………」

そんな時、エネルギーの流れを感じた俺は、その方向を見る
そこには、天高くに輝くピンク色の光があった。

「シンクの今後に、希望の光があらんことを」

そして俺は、静かにそう願うのであった。
こうして、勇者シンクは、元の世界へと帰って行った。

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