健康の意識 忍者ブログ

黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第44話 人生の転機

天国と地獄を味わった日から数日後。

「フェイト、この後用事とかある?」

俺は放課後になると、フェイトに声をかけた。
今では、少しではあるが仲良くなって呼び捨てで呼んでいる。
男子達の視線が怖いが……

「え? ないけど……どうしたの?」
「それじゃ、フェイトの家にお邪魔してもいいか?」
「ええ!?」

俺のお願いに、フェイトが顔を赤くして声を上げた。

「あれ? もしかしてまずいかな?」
「う、ううん! まずくなんてないよ。大丈夫だよ!! それじゃ行こう、早く行こう!!」

フェイトはなぜか早口で叫ぶと俺の腕を引っ張って教室を後にした。

(俺、地雷踏んだか?)

内心でそう思いながら、俺はフェイトの住む家まで向かった。










「な、何だ……リンディさんに用事があったんだね」

マンションに到着した俺は、事の次第を目を見開いて驚いている女性と、その横にいるハラオウンさん………本人曰く、クロノに説明した。

「そう、あなたが真人君ね。私はリンディ・ハラオウンよ」
「前にもあっているだろうけど、クロノ・ハラオウンだ」
「山本 真人です」

まずは自己紹介をする。

「それで、私にお願いって何かしら?」
「はい、その……管理局に入れさせてください!!」

俺はそう叫ぶと頭を下げた。

「あ、えっと……とりあえず頭を上げて」

困惑したようなリンディさんの声に、俺は頭を上げた。

「ちょっと驚いたわ。私の方からも管理局に入ってくれないかを、聞こうとしていた矢先なんだもの」
「それって、もしかして」

俺の予想にリンディさんは笑顔で頷いてくれた。

「大歓迎よ」
「あ、ありがとうございます!!」

俺はリンディさんの言葉に、思わず大きな声でお礼を言ってしまった。

「ただ、問題があるのよね……」
「え?」

リンディさんが言う問題それは………










「――――と言う事です」
「真人が」
「魔法使い!?」

今いるのは俺の家のリビングだ。
リンディさんの説明に、父さんたちはしわを寄せて驚いていた。
そう、問題と言うのは父さんと母さんへの説明だった。
俺はリンディさんにお願いをして、話し合いの場を設けて貰ったのだ。

「何かの勘違いじゃないんですか? そんな魔法だなんて、小説じゃないんですから証拠を見せなさい、証拠を」
「いいえ。その証拠に……真人君」

信じられないと言った様子で反論する母さんに、俺はリンディさんに言われるがままに片手を上空に向けてかざした。
俺がやるのは、魔法の中でも基礎中の基礎の魔法球の生成だ。
意識を集中すると、俺の手の上に銀色の魔力球が生成された。

「これは……」
「………」
「これでご納得いただけましたか?」

目を見開かせて驚く父さんたちに、リンディさんはそう問いかける。

「で、ですが! 管理局に入れるなんて反対です!! そんな訳の分からない所に息子を行かせるわけにはいきません!! あなたもなんとか言ってください!!」
「……真人、管理局とやらに入ると言うのはお前が本心から望むことなのか?」

父さんの問いかけに、俺は無言で頷いた。

「そうか………ならば俺は構わない」
「あなた!?」

父さんの意見に、母さんが信じられないと言った様子で叫ぶ。

「これは真人が決めたことだ。人様の迷惑にならないのであれば、それを快く見守るのが親と言うものだ」
「父さん」

俺は、父さんの言葉に、思わず感動してしまった。

「だがしかし! 真人は小学生だ。彼の本文は勉学であり、それを疎かにしないように配慮するというのが最低の条件だ。中学を卒業した後は好きにするといい」
「分かりました。それでは、今後の事についてご説明します」

そしてリンディさんから今後の経緯について説明された。
まずは俺は訓練校に入れられるらしい。
これに関してはうまく学校の方と両立すると言う事で決まっていた。
早ければ3,4か月で卒業し、入局できるとのことだ。
入局した際は所属する部隊を決めるらしい。

「それでは、これで失礼します」

全ての説明を終えて、リンディさんは家を去って行った。

「それにしても、真人が最近家を抜け出したりすることが多いと思ったら、そういう事だったのね」
「う、ごめんなさい」

俺は母さんに思わず謝っていた。

「それよりも、誰もいない部屋から時より音がしているのだが………それもお前の魔法とやらか?」
「いや、それは多分……」

父さんの言葉を俺は否定した。
魔法と言うよりは部屋に住まうものの仕業だろう。

「それは僕の原因だな」
「誰だ!!」

突如として姿を現した執行人に、父さん達が敵意むき出しで睨みつける。

「僕の名前は執行人だ。お前らの後ろにいる人物を支援する使い魔のようなものであり、魔法の師匠だ」
「ほ、本当なの? 真人」

俺は母さんの剣幕に押されながら、頷いて答えた。
「それよりも、出てきて良かったのかよ?」
「お前が魔法について話していた。ならばこの僕が隠れる必要もないだろ。それにこれからは堂々としていられるしな」

彼の場合後者の方がもっともな理由だと思うのは、俺だけであろうか?
ともあれ、こうして執行人も家族の一員として迎えられ魔法の事を認めて貰えたのであった。










但し、執行人が両親に認められるのに一週間ほどはかかったと言っておこう。

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第43話 お手伝いと……

ある日、俺は親のお使いで翠屋と言う喫茶店でケーキを買うように言われた。

「いらっしゃいませー、て、真人君!?」
「どうも」

翠屋に入ると、そこにはなのはがいた。

(そう言えば、なのはの両親は喫茶店を経営してるって言ってたっけ)

俺はそれを思い出しながらなのはに挨拶を返した。

「どうしたの?」
「いや、ケーキを買いに来たんだ」

不思議そうな表情を浮かべて聞いてくるなのはに、俺はそのまま答えた。

「あ、それと俺あまりケーキに関して詳しくないから、なのはのおすすめする物を適当に選んでくれるか?」
「う、うん」

なのはは、次々とケーキを選んでいく。
ケーキの名前を見ても、どういう意味なのかがさっぱり分からない。

「そう言えば、お兄さんは?」
「お兄ちゃんなら、今お出かけ中だよ」

俺はなのはの言葉を聞いて、ほっと胸を撫で下ろした。
前に一度なのはの家に来たことがあったが、その時にお兄さんから猛攻撃されたからだ。

「お前か! なのはにちょっかいを出す輩は!!」などと叫ばれながらだ。

それ以来すっかり苦手になってしまった。

「あれ? 君は真人君じゃない!」
「へ?」

突然声に、俺は思わず身構えた。
出てきたのは、母親に見えないくらいに和解、なのはの母親だった。
確か桃子さんだったっけ?
俺の2番目に苦手な人だ。

「ご、ご無沙汰しています」
「そうよ~。あ、そうだまたあれ、やってくれないかな?」
「お断りします!!」

俺は必死に拒否した。
これが苦手な理由だ。
桃子さんはよく俺に女装をさせるのだ。
それはもう、俺の中では一生のトラウマものだ。

「そう、残念」

本当に残念そうにつぶやく桃子さんに、苦笑いを浮かべるしかなかった。

「ところで、二人に頼みたいことがあるのよ」
「頼みたい……」
「事、ですか?」

そう、それはある意味天国と地獄のチケットだった。










「ご、ごめんね真人君。私のお使いに付き合わせちゃって」
「いや、気にしないでいいよ」

俺達への頼みごとと言うのは、お使いだった。
それはあくまで、なのはへのお使いであり俺は荷物持ちだった。
桃子さん曰く、「男の子だから女の子をエスコートしなくちゃ♪」とのこと。

「そう言えば、執行人さんはどうしてるの?」
「ああ、あいつならたぶんどこかで見えないのをいいことに、自由気ままに飛んでいたり驚かせて遊んでいたりするかもな」

しかも執行人ならやっていそうで怖い。

「あ、あはは……」

さすがのなのはも苦笑いを浮かべるしかなかった。

「ねえ、真人君は管理局には入らないの?」
「管理局か………今考えてるところなんだよな」

そう、俺は今早すぎる人生の転機を迎えていた。
俺の持つ人ならざる力”魔法”……
これを生かすには、管理局と言う警察のような組織に入らなければならない。
もちろん、管理局には入らずに普通の人として過ごすことも選択肢だ。
これに対して執行人は『全てを決めるのはお前自身だ。僕はただマスターの決めた通りに従っていくだけだ』と答えるだけだった。
要するに、俺自身で決めろと言う事だ。

「魔法の力を使っていたのだって、生きるためだし、管理局に入りたいというほどの理由にもならないもんな」

それが、俺が一番頭を抱える理由だった。
きっと執行人が聞いたらくだらないと言われそうだが。

「でも、私は真人君が管理局に入ってくれるとうれしいかな」
「なのは……」

この時、俺はなぜか自分の悩み事がまるで水が流れるように解消していくような気がした。

「あ、もしかしたらフェイトちゃんに相談してみるといいかも。フェイトちゃんはね、管理局のリンディさんとクロノ君と一緒に住んでいるから」
「ありがとう」

俺はなのはにお礼を言った。

「………あの、なのは」
「何かな? 真人君」

俺は、なのはに自分の想いを打ち明けようとした。

「………何でもない」
「え~!? 何それ」

俺の言葉に、なのはが不満そうな表情を浮かべる

(ダメダメだな、俺は)

俺は心の中で自分の度胸のなさに呆れてしまった。
だが、自分の気持ちは分かったのだ。
あとはそれを切り出せる日が来るようにするだけだ。
こうして俺のダブルお使いは終わったわけだが……。










「高町恭介、推して参る!!」
「ノォォォォ!!!」

翠屋に見事に鉢合わせになったなのはのお兄さんに、決闘を申し込まれる羽目になってしまった。
まさに天国と地獄だった。
と言うより、桃子さんこれを狙っていたような気が……。

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第42話 模擬戦

とある世界にて俺と執行人に健司とで向かい合っていた。

「ルールの説明をするぞ。使う魔法は自由。魔力が無くなるか、相手がリタイアすれば勝ちだ」
「分かった」
「同じく」

執行人の言葉に、俺と健司が頷いた。
なぜこうなったのかと言うと、執行人名物の練習も終わった時の事だ。

『健司、真人と模擬戦をやれ】

と突然言い出したのだ。
こうして俺と健司の模擬戦が決まったのだ。
もちろん、俺に拒否権はなかったが。

「それでは、始め!!」
「はぁぁ!!」

俺と健司は一直線に駆け出すと剣を振るった。

「っと!!」

それを健司は干将莫邪で防ぐと押し返してきた。

「そこ!」
「喰らうか!」

押し返された隙を狙って、俺に向かってくる健司だが俺は横に移動することで回避した。
そしてクリエイトを弓状に変形させると一発射た。

「ちぃ!」
「ブレイク・インパルス!!」

俺の矢を一発喰らう健司に、俺は攻撃力の高い矢攻撃を放つ。

「喰らうか!! I am the bone of my sword.偽・螺旋剣カラド・ボルグ
「のわぁ!?」

健司による一撃に俺は慌てて回避する。
危うく直撃しそうになった。
まあ、多少はかすったが。

「ブレイクイヤー・マルチショット!!」

俺はそれに答えるように矢を10本射た。
それは扇状に放たれる。

熾天覆う七つの円環ロー・アイアス

回避できないと悟ったのか、結界を展開する。
だが……

「ぐあああ!?」

俺のブレイクイヤーにある結界魔法や防御魔法をすべて破壊するスキルのおかげで、健司の結界は破壊され3発喰らうことになった。
そして俺はこの隙を無駄にはしていない。

「行くぞ!! 一刀………」
「しま――――」
「両断!!」

俺は剣状にしたクリエイトを思いっきり健司に振りかざす。
これで倒せただろうか?
答えは否だ。

「I am the bone of my sword.Steel is my body,and fire is my blood」

健司が唱えているのはおそらく、固有結界だ。
本来であればここは防ぐべきなのだが、俺は健司がどのくらい強くなったのかを見たかったのでそのまま見ることにした。

「I have created over a thousand blades.Unknown to Death.Nor known to Life」

だが、ただ見ているだけではない。
俺はある準備をしておくことにした。

「Have withstood pain to create many weapons.Yet,those hands will never hold anything.So as I pray,"unlimited blade works"!!」

そして辺りの景色は一変した。
そこはまるで砂漠の中にあるオアシスのような場所だった。
言い方は変だが、前方には砂漠が、後ろの方には森林が広がっていた。
これが健司の創り出した世界。
まるで天国と地獄だ。

壊れた幻想ブロークン・ファンタズム!!」
「ぐぅ!!」

突如として健司が弓を射てきたので避けるが、突然発生した暴風に俺は吹き飛ばされそうになった。

「はああ!!」
「っし!」

健司が干将莫邪を俺の方に投げてくるが、俺はそれをバックステップで回避する。

「ファルス」
「なッ!?」

俺の一言で空中に無数の魔法弾が出現する。
これが俺の新たに作り出した能力。
その名も格納放出だ。
これは、事前に作り出した魔法弾をクリエイトの中にしまっておき、一言で一気にそれを放出するものだ。
弱点と言えば、作り出すのに時間が掛かることだが。

「健司、お前は強い。だから俺も本気で行く。ファイアー!」

それを俺は一気に放った。
健司のいた場所が爆煙に包まれる。
だが、俺は油断しない。
剣状のクリエイトを手に、俺は一気に肉厚する。

「一刀……」
「やば――――」

煙が晴れると、そこにいたのは防御魔法で防いで立っている健司だった。
しかしその姿はすでにフラフラだ。

「両断!!」

そんな健司に俺は容赦なく剣を振り下ろした。

「そこまで!! この勝負、真人の勝ちだ!!」

こうして、この模擬戦は俺の勝利となった。
だが、健司はどんどん強くなっているという感じが、俺が感じた印象だった。

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第41話 定まる覚悟

ある休日の一面が砂漠の世界にて。

「はぁぁ!!」
「甘い!」

俺の前で健司と執行人が模擬戦を行っていた。
なぜこうなったのか。
それは今から数時間ほど遡る。










「魔法を教えてほしい!?」

突然家に訪れた健司の一言がすべての始まりだった。

「ああ、俺は今思えば魔法に対する覚悟がなかったんだ。だから真人にそれを含めたすべてを教えてもらいたい!!」

そう言い切ると、健司は俺の前で土下座をした。

「お、おい。よしてくれよ!?」
「この通りだ!!」

俺の制止も聞かずに、健司は土下座を続ける。

「なるほど。覚悟は決まったようだな」

そんな中口を開いたのは、ベッドに腰掛けて本を読んでいる執行人だった。

「ああ」
「そうか。では、この僕が直接教えるとしよう」

執行人はそう告げるとゆっくりと立ち上がった。

「言っておくが真人はまだまだ半人前だ。教えを乞うのであれば俺の方が最適だ」
「お願いします!!」

執行人の若干のトゲのある言葉に、俺は執行人の事を睨みつけるが執行人はそんな俺を気にせずに、片手を地面に向けて掲げた。

「クロッキング・ブレザード」

執行人の呟きと同時に周りの空間から色が抜けた。
いわばそれはモノクロと呼ぶらしい。

「何をしたんだ?」
「時間を止める魔法だ。かなり高度な魔法なために、多用は出来ない」

今更だが、本当に何でもアリだよな、魔法って。










そして今に至る。

「よし、今日はここまでだ」
「あ、ありがとう……ございました」

時間にして約2時間にも及ぶ練習と模擬戦は、健司にとってかなりハードな物だったのか、息を切らしていた。

「この程度で息を切らしていては、まだまだ先は長いぞ」
「は、はい」
「もしかして、これから毎日続ける気か?」

俺は若干嫌な予感がしたため、執行人に聞いた。

「当り前だ。一日で良くなるものなどおらん」
「………」

どうやらこの数日間は、俺は平穏な暮らしが出来ないようだ。
なぜなら、いつの日にかは俺と健司との模擬戦があるだろう。

「心配するな。時間は今回のように止める。真人が怒られることはない」

執行人は別の事だと思ったのか、そう笑顔で言ってきた。
確かにそれも困った。
この間両親に長時間も起こられたのだから。
まあ、毎晩夜遅くに無断で出歩いていれば、それも当然だが。

「さあ、戻ろうか」
「了解」

こうして、健司の特訓は幕を開けたのであった。

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第40話 初心者の中の初心者

「ん……」

気が付くと俺はどこかの部屋に寝かされていた。
そこがすぐにアースラであることに気付く。

「目が覚めたか」
「し、執行人!?」

俺に声をかけたのは、執行人だった。
その表情はいつにも増して厳しいものだった。

「闇の書の意志は!?」
「落ち着け、順を追って説明する」

起き上がろうとする俺を抑え、執行人は説明を始めた。
まず、俺と対峙していた闇の書の意志はいつまでたっても戻らないのを不審に思った真人が駆けつけた際には、弱ってはいたが動いていたらしい。
そして執行人に倒れている俺を、安全な場所まで避難させるように指示を出したらしい。
そして闇の書の意志に真人が止めを刺したと言う事だ。
何だか良いとこ取りをされた気分だ。

「お前は今回の敗因を何だと考えている」
「………」

執行人の問いかけに答えることが出来なかった。
覚悟はできたし、固有結界だってちゃんと展開出来た。
問題はないはずだ。

「中身がないくせに固有結界とかを使ったからだ」
「……どういう事だよ」

俺は執行人に問いただした。
そんな俺の様子に執行人は呆れた風にため息をつく。

「固有結界の中で、お前の使うタイプの物は心象世界を映し出すもののはずだ。違いはないな?」

執行人の言葉に、俺は無言で頷いた。

「しかし、お前は中身が空っぽだったために心象世界を形成するほどの物がなかった。なのに強引に展開させたから暴走を起こして結界の影響を受けて倒れたんだ」
「一体俺はどうすればいいんだよ」

もう何が何だかが分からなくなってしまった。
もうこれ以上出来る事は、俺にはない。

「お前はようやく中身に具材が入り始めたのだ。鍛錬と実践を欠かさなければ満足に使えるようになるだろう」
「………理不尽だ」

俺は気が付くとそう呟いていた。

「あいつは俺と同じ素人のはずなのに、俺以上の強さを持っている。こんなの不公平だ!」
「何時だって世の中は不公平で理不尽さ。だがしかし、それを受け入れる者と受け入れない者とでは大きな差がある」

俺の嫉妬に近い言葉に、執行人は諭すような口調で答えた。

「さらに言えば、あいつには魔法を始めた当初から”覚悟”があった。だからこそ魔法をどんどん習得することが出来、強くなれたのだ」
「………」

俺は何も言えなかった。
あいつと俺の”差”。
今まで全く考えたことがなかった。
俺は転生してチートな能力を手にしたことに浮かれてただけ。
だが、真人は何かしらかの大きな選択をしたのだろう。
だからこそ俺達の力には差があるのだろう。

「まあ、そう言うところだ。覚悟がしっかりと定着するまではあまり使わない方がいいな。何度も言うがお前には中身がない。そんな状態で固有結界を使うなど、命取りもいいところだ」

執行人はそう告げると、部屋を後にした。

(俺自身の覚悟、か……)

俺はそのことだけを頭の中で考えていた。





この後、この事件は闇の書残滓事件と名付けられたらしい。
この事件は俺にとってレベルと、新たな課題を知らしめるものとなった。

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