健康の意識 忍者ブログ

黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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第2話 襲撃

やあ! 愚民ども!!
俺様の名前は阿久津 正様だ!!
俺様はくそ神に間違えて殺されて、そのお詫びをかねて転生されたんだ。
まあ当然だな、この俺様を殺すだけでも罪深いのだ。
それはそうとリリカルなのはだぜ!!
いやっほぅ!!
ハーレムを築いてモテモテライフの始まりだ!!
ッと、俺様のかっこいい容姿を説明してやろう。
銀色の長めの髪にオッドアイSA!
貴様ら愚民には、到底たどり着けないよな。
ん? なんだ? 愚民と言うな?
本当のことを言って何が悪いのさ!
俺は今この世界最強だ。
男は全員消してハーレムを築くか!!
そう言えば、転生者を狩る不届きな野郎がいるって言ってたな。
ま、この俺様に掛かれば火を見るより明らかだがな
ふははははは!!
そういえば昨日はあのロリッ娘が襲撃してきたな。
まあ、俺様に掛かれば余裕だったが。
おっと、なのははちゃんと蒐集させたぜ?
原作が変わったらまずいしな!
変なモブ野郎もいなかったし、ここは俺の独壇場だ!
だが、俺はどうも気分が悪い。
原因はあのモブ野郎だ。
俺様のなのはとなれなれしくしやがって
(待ってろよなのは! この俺様が直々に成敗してやるからな! クハハハハ!!)


★ ★ ★ ★ ★ ★


12月3日



寝起きの俺を襲ったのは、突然の動悸だった。

(なんだろう……この嫌な感じは)

俺はそれに少しだけ胸騒ぎを感じるのだった。

「真人~ごはんよ」
「はーい!」

下から聞こえる母さんの呼びかけに答えて、俺は制服に着替えるのであった。










「おはよう、真人君」
「あ、ああ……おはよう」

学校で、いつものように声をかけてきたなのはだが、それはいつもと何かが違った。
それがなんなのかは分からないが、どこか無理をしているような感じだった。

「大丈夫か?」
「え?! な、なにが?」

俺の言葉に、なのはが一瞬慌てた。

「いや、なんか元気がないように見えたからさ。具合が悪ければ休んだ方がいいぞ?」
「だ、大丈夫だよ!! 私元気だから」

そういいながらなのはは両手を上げて元気だということをアピールしている。

「そ、そう? ならいいんだけど……」

俺はこれ以上聞いても無駄だと思い、切り上げることにした。
これが俺が初めて感じた些細な日常の異変だった。










夕方

借りた本を返し、違う本を借りるために図書館へと寄った。

「うーん、何かいい本はないのかな?」

俺は図書館の中を歩いて面白そうな本がないかどうかを探す。
しかし、なかなか見つからない。
そんな時だった。

「うーん、届かへん」
「ん?」

見れば車いすに座っている俺と同年代の、栗色のショートヘアの少女が高いところにある本を取ろうとしていた。
人が困っているところを見ると放っておけない性分なので、俺は少女の近くに異動すると、本を一冊取った。

「これがほしいのかな?」
「え?あ、はい。ありがとうございます」

本を差し出した俺に驚いた様子でお礼を言った。

「他にも取ってほしい本とかあったら遠慮しないで言って。ついでだし」
「あ、それじゃお願いします」

妙にイントネーションが変なことから、彼女はおそらく関西人だろう。
こうして俺達は少女の取りたい本を取るために歩くのであった。





一通り本を取り終えた俺達は、本を読む場所に座っていた。

「さっきは助けて頂きありがとうございます」
「いや、別についでだから。と言うよりもすごい量だな」

俺はテーブルに積み上げられている本を見る。
有に20は超えている。

「あはは、うち本読むのが好きなんです」
「そう。俺も好きだぞ。今日も本を借りるために来たわけだし」
「そうなん?」

俺の言葉に、少女は聞き返す。

「あ、うち八神はやてと言います」
「俺は山本 真人。よろしくね、八神さん」

自己紹介がまだだったのを思い出したのか、八神さんが自己紹介をした。

「はやてでええよ。そだ! 真人君の本をうちが選んであげる」
「え? あ、ちょっと八神さん!?」

俺はなすがままに、八神さんに引っ張られていった。










「本、ありがとね八神さん」

俺は再びテーブルに目をやる。
SF系の本がいいと言ったら5,6冊選んでくれた。

「ええって、本のお礼やし。それより、うちのことは”はやて”でええよ」
「わ、分かったよ。はやて」
「うん♪」

はやてから何とも言えないオーラを感じた俺がはやての名前を呼ぶと、なぜかはやては上機嫌に返事をした。

「あ、はやてちゃん、ここにいたんですか?」

ふいに聞こえてきた女性の声に俺は声のした方を見る。

「あ、シャマル!」

シャマルと言われた女性は金色のショートヘアが特徴の女性だった。

(はやてのお姉さんか?)

「あ、この人は、うちの親せきでシャマルと言うんよ」
「山本 真人です」

俺はとりあえず名前を言う事にした。

「シャマル、この人はなうちが本を取れなくて困っている時に、助けてくれたんよ」
「そうですか。私はシャマルです。はやてちゃんを助けてくれてありがとね」
「いえいえ、当然のことをしただけですから」

俺の返事にはやてとシャマルさんはくすくすと笑うと、そのまま去って行った。

(不思議な人たちだったな)

内心でそう思いながら。
そして俺も図書館を後にするのだった。










今思えばその時から始まっていたのだろう。
さっきから、誰かにつけられているのを感じていた。
背中に受けているのは、今までよりも強い殺気だった。
俺は、つけている人物が姿を現しやすくなるように公園に入ると立ちどまった。
俺を付けている気配も、同時に止まる。

「隠れてないで、出てきたらどうだ?」
「俺様が隠れるだと? 最強の俺様が隠れるわけないだろ」

俺の呼びかけに姿を現しながら答えたのは、阿久津だった。
きっとこれが、阿久津の本性なのだろう。

「それで、用は何だよ?」
「なに、簡単な事だ。俺様のなのは達に近づくんじゃねえ」

阿久津の口から出たのは、ある意味予想通りのものだった。

「俺様のって、なのは達はお前の物じゃないんだぞ?」
「は? お前何言ってんだ? そっか、モブのお前にはこの俺の偉大な言葉は難しすぎるか」
「………」

阿久津の小馬鹿にしたような言葉に、俺の心の中に怒りが込み上げてくる。

「もし、いやだと言ったら?」
「その時は……こうするまでさ」

その瞬間、阿久津の体から光が発せられたかと思えば、その姿は変わり果てた物となっていた。
黒地のシャツに赤いマントを着込み、手には西洋風の剣という、異様な姿だった。

「………コスプレ?」
「コスプレかどうかは、これを見て見な」

そう告げると、阿久津は西洋風の剣を振りかぶる。
次の瞬間爆発音と共に俺と阿久津の間の地面が爆発した。

「なッ!?」
「くはははは!! どうだ! これが俺様の力だ。で、どうする? 俺様の要求をのまないのであれば、テメェは俺様に消されるぜ」

驚く俺を嘲笑いながら、阿久津は俺に答えを迫る。

「答えはNoだ。生憎俺は力でねじ伏せられるのが嫌いなんでね」

俺は、阿久津にそう告げた。
それはひいおじいちゃんからの教えだった。
『武力で要求を呑ませられるぐらいなら、無意味だとしても抗ってみろ』
それがひいおじいちゃんの口癖だった。

「くははは! テメェの未来は決まったようなもんだ。この俺様にテメェは消されるのさ!」

そう言って、西洋風の剣をさっきと同じように振りかぶる。

「ッ!」

俺はその場から飛び跳ねることで一撃を避けた。

「オラオラ、まだまだ行くぜ?」
「くっ!」

剣を何度も振りかぶっては地面が爆ぜる。
俺はそれをほぼ直感で避けて行く。

「へぇ、モブのくせによく避けた。だが、それもここでおしまいだ」

阿久津はその周辺に光弾を出現させた。

(あんなのが一斉に来たら、避けきれない!)

「行くぜ! シュート」

そして大量の光弾が一斉に放たれた。

「ッ!!」

もうだめかと思った俺は目を閉じる。
だが、いつまでたっても痛みは襲って来ない。

「……」

疑問に思った俺は目を開けると、そこには信じられない光景が広がっていた。

(な、何だ。どうして軌道が見えるんだ?)

周囲の景色はモノクロとなり、光弾の動きはスローモーションに、ただその光弾から延びるように白い(灰色ともいえるが)靄がうっすらとに見えるのだ。

(これってこの通りに動くということ、なのか?)

よく見てみれば、光弾は白い靄に沿って動いていた。
何が起こっているかわからないが、俺は白い靄を躱すように移動する。
周囲の景色に色が戻った瞬間、周囲の耳元で風を斬るような音がした。

「なッ!?」

そして阿久津の顔が驚愕に染まった。

「今のをどうやって避けやがった!!」

阿久津が怒鳴り散らす。
だが俺だって知りたいぐらいだ。

「ま、まぐれだ。今度はそうはいかねえ!!」

そして再び光弾を放つ。

「ッ!」

もう一度俺は目を閉じた。
そしてゆっくりと目を開ける。
すると、さっきと同じ状態になっていた。
俺は再びそれを躱すように移動する。
そして再び周囲の景色に色が戻った

「てめぇ! 何者だッ!!」

再び避けられた阿久津が俺に怒鳴りつける。

「何者だ言われても人間としか言いようがない」
「馬鹿にしやがって。だったらこれでどうだ!」

そう叫んだ瞬間、阿久津は目の前に来ていた。
手にした剣を上に振り上げて、俺に向けて振り下ろそうとする。
そして、俺は斬りつけられる……はずだった。

「ぐッ!?」
「ふむ、やはり雑魚だな」

阿久津を吹き飛ばすようにして俺の前に現れた黒いマントを着た男の人だった。

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『DOG DAYS~誤召喚されし者~』最新話を掲載

こんばんは、TRです。

本日、『DOG DAYS~誤召喚されし者~』の最新話を掲載しました。
渉の選択が主でしたが、結局のところどっちなのと混乱を与えそうな気が。
ここから先は飛ばし飛ばしで、所々いちゃいちゃ(とはいえほんの1%くらいですが)を入れつつ、駆け抜けていきます。

そして、今回の掲載をもちまして、本作の巡回執筆は終了となりました。
現在は『魔法少女リリカルなのは~目覚めた力~RB』の巡回執筆中です。


それでは、これにて失礼します。

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IF-H 第13話 選択

姫君のコンサートが行われた翌日、俺とシンクそしてユキカゼに姫君はパレードで外を歩いていた。
リコッタは途中で学院の方に行くとのことで、先に抜けて行った
シンク達はとても楽しそうだったのが、印象深かった。










「ふぅ」

夜、夕食とお風呂を済ませた俺は、浴衣の上に黒いマントを羽織って風月庵から出た。
それは、夕方にリコッタから夜に、図書館の方に来るように言われたからだ。
ユキカゼ達には散歩と嘘をついてしまったが、まあ、いいだろう。
どのような要件かは、想像がついていた。

(まあ、行くしかないか)

そう結論を出して、ビスコッティ城へと向かうのであった。










「小野だが、いるか?」
「渉様、こんばんはであります」

図書館に突いた僕を待っていたのは赤い目をしたリコッタだった。

「どうしたんだ? 目が赤いが」
「え……あ、あの、実は渉様に伝えないといけないことがあるのであります。実は――――」

リコッタの目がかすかに赤くなっている理由を尋ねた俺に、リコッタは本題に入ろうとするがその先の言葉がすでに分かっていたため、俺はリコッタの言葉を遮った。

「勇者送還の儀の事だろ?」
「え!? な、何で渉様がそのことを」

俺の予想は正しかったようで、リコッタが驚いた様子で俺に尋ねてきた。

「それは秘密だ。でも間違ってはないだろ?」
「は、はい」

俺の言葉に戸惑ったように応えた。
俺はリコッタの答えを聞いて一息つく。

「しかし、ここでの記憶をすべて失って、ここには来れないなんて何ともひどい話だよな」

俺は苦笑い交じりに呟いた。

「まあ、この勇者送還の儀は、召喚された勇者がその役を断った際に行うものだから、当然と言えば当然なのかもしれないが」
「渉様は、本当に何でも知っているんですね」

俺の言葉に、リコッタはどことなく悲しげな声を上げた。

「知っていても、それを伝えることはできないのさ。どう取り繕うと俺は観測者(オブサーバー)だからな。出来るのは人々が自分の力で道を切り開くのを見ているだけさ」
「それでもすごいでありますよ、渉様は」
「渉」

俺は、今まで気になっていたことをリコッタに言う事にした。

「え?」
「俺には様付けは不要だ。何だか背筋がぞくぞくして居心地が悪いんだ。いっその事呼び捨てにでもしたらどうだ?」

俺の言葉に、リコッタは鳩がまめ鉄砲を食らったような表情を浮かべていた。

「で、では渉さんで」
「はい、よろしく」

呼び方を直したところで、俺はもう一度話を戻すべく口を開いた。

「俺は母国に戻る」
「ですが、渉さんはこちらに来てからもうかなりの年月が経っています。送還の儀は16日以内です」

俺の言葉に、リコッタが反論する。
確かに、俺が見たのではそうなっていた。

「かなり乱暴だけど、時間経過を誤魔化す紋章を描いて置けば問題ない」
「そ、そんなことが可能なのでありますか?」
「ああ。とは言え、ものすごく複雑でミリ単位でずれれば動かないし、描くのに数年の時間が掛かるという代物だから実用には程遠いが」

目を見開かせて聞いてくるリコッタに俺はそう返す。
だが、それは嘘だ。
本当は数時間もあれば描くことはできる。
この技術を悪用すれば、何が起こるかは想像するに難くない。
この世界にそういった者がいないことを願いたいが、万全を期す方がいいだろう。

「それでは、姫様にお伝えして――「ちょっと待ってくれるか?」――はい、何でありますか?」

俺はリコッタを呼び止めてあるお願い事をした。

「ユキカゼとダルキアンにはこのことを言わないでほしいんだ。姫君との別れに水を差したくはないから、場所もシンクとは別の所にする。送還の儀の術式の方はこっちで何とかするから大丈夫だ。これも姫君に伝えて貰えるか?」
「………分かったであります」

俺の願い事に、リコッタは複雑な表情を浮かべて頷いた。
そして俺はその場を後にするのであった。










「はぁ……」

風月庵に戻る道中、俺は静かにため息をこぼした。

(いまさらだな。分かってたことじゃないか)

リコッタの様子がおかしかったので調べたら送還の儀の事が出てきたのだ。

(記憶も失うのか………想像が出来ないな)

記憶を失うという言葉の実感がいまだにわかない。
冗談とさえ思えてくる。
だが、冗談ではないと、俺の中では告げていた。

「俺だって嫌だよ。二人の事を忘れるのは」

何だかんだあってユキカゼ達は、俺の世界で一番大事な人になった。
その人の事を忘れることに、俺は耐えられない。
それは、向こうも同じはず。

(二人が知ったらこの世界に留まってって言いそうだよな)

それが分かっていたから、俺は二人に隠すことを決めた。
勿論、ここに戻る気満々だ。

「俺だって、ずっとここにいたい」

暗闇の中でつぶやく。
それが出来ない理由があった。

(少しずつ、力が弱まっている。ここの世界に居続けるのは………)

消滅と同意義だ。
フルパワーを出したからなのか、それとも物質へと変わり始めるのを元に戻そうとする作用からか、神の力の源の”霊質”が異様なほどに弱まって来ていた。
このままこの世界に居続けたら、俺は消滅するだろう。
世界の意志は一つの世界に居続けることは不可能。
もし仮に一つの世界に居続けるには、ノヴァに許可を得て術式を施してもらう必要がある。
そうすれば、長期間その世界に留まることが出来る。
ただし、それでも数年に一回は必ず天界に戻る必要がある。
天界で5日間静養すれば、また元の世界に戻れるようになる。
しかし、天界での5日はここでの200日に値する。
半年以上も最愛の人を放っておくのは男として恥だ。

「だから、一回帰るんだ」

この世界に永遠にいるために。
俺は自分の心にそう言い聞かせた。

「渉殿~!」
「遅いでござる!」

いつの間にか風月庵の前に来ていたのだろうか、ユキカゼとダルキアンが駆け寄ってきた。

「悪い。星を見ていたら遠くまで行っちゃったんだ」
「気を付けるでござるよ」
「そうでござる。さあ、渉殿今日こそは拙者らと一緒に寝るでござるよ!」

誤魔化すように告げた俺の言い訳に、ユキカゼは苦笑しながら言い、ダルキアンが俺の腕を引っ張って屋敷の中へと連れて行く。

「はいはい」

俺はそんな二人に苦笑しながら、屋敷の中に入るのであった。





ちなみに、その日の夜

「渉殿ぉ~」
「……苦しい」

ユキカゼの熱い抱擁をされ、色々な意味で寝付くのに時間が掛かったのは、全く関係ないだろう。

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IF-H 第12話 退治の夜

「時に貴様。食事は済ませたか?」
「ううん。まだ」
「向こうに露店が出ている。食べに行くか?」
「え? うわぁ、いいね! 食べに行こうか」

そんなシンクとエクレールのやり取りが聞こえる。
今俺達はユキカゼとリコと共に、木の陰から二人の様子を見ていた。
いや、俺の場合は無理矢理だが。

「ほほぅ、これは興味深げな展開でありますよ」
「ごじゃる」

リコの言葉に、食べ物を食べながらユキカゼが相槌を打つ。
そして二人について行く形で俺達も移動する。
露店の影の方で二人は、シンク達の様子を覗き見ていた。

「エクレが男の人を食事に誘えるようになるとは! リコッタ感激であります!」
「雰囲気も悪くないでござるよ~」
「はぁ……」

二人の言葉を聞きながら、俺はため息をつくと後ろを向いた。
覗き見るのはあまり好きではない。
そんな時、ジェノワーズの三人が近づいてくるのが見えた。

「よぉし、そこでござる。もっと、ぐぐっとぉ」
「ぐ~ッとぉ」

二人の背後に近づいた三人は、ユキカゼ達の肩を叩く。

「ん?」
「お?」

叩かれたことに気付いた二人は、後ろを振り返る。

「はぁい!」
「お二人揃って何されてるんですか?」

クラフティとファーブルタンが二人に声をかけた。
そんな時、ガウルの声がする。

「よぅ! シンク、たれ耳!」
「………む」

声のした方向には、ガウルがエクレールとシンクが座っている場所に向かって行く姿が見えた。
その後、合流した俺達は、色々な食べ物を用意して少し離れた場所にシートを引くと、そこで食事をとることとなった。

「しっかしおめえら、二人して大した活躍をしやがったな」
「いえ」
「まあ、色々ありました」

骨付き肉を豪快に頬張るガウルの言葉に、エクレールとシンクが答えた。

「それに魔物騒動と会見の後、うちの姉上、つきものが落ちたみたいにさっぱりしてしまってな。詳しい事情は聞いてねえけど、後で俺にも教えてくれるってさ」
「そうなんだ」

ガウルの声に、シンクが相槌を返す。

「後、バーナードに聞いたんだけど、戦興業も元のペースに戻すらしいぜ」
「それは何より」

ガウルの知らせに、エクレールが喜びながら答えた。

「戦も終わってごたごたも片付いて」
「魔物も退治されて」
「ビスコッティとガレット領国に再び平和がってことで」

クラフティとヴィノカカオ、ファーブルタンの順にまとめて行った。
………料理を頬張りながらだが。

「そうなれば何よりでござるな」
「ホントであります」

そしてユキカゼとリコッタもそれに続いた。

「戦は中途半端に終わっちまったが、結果よければすべてよしだ」
「だね、ほんとによかった」

そして、俺達は笑いあった。

(ホントに良かった。ホントに)

その光景を見ているだけで、そう思えてしまう。
失ったものもあるが、それ以上に今この光景は価値のあるものだった。

「あ、そうだ渉。ココナプッカ食べる?」
「は?」

何かの料理の名前だろうが、少しばかり意味が分からなかった。
そんな時、リコッタが不意に立ち上がった。

「リコ、どうかしたか?」
「ああ、学院のみんなが緊急で連絡が欲しいとのことで」

エクレールの問いかけに、リコッタはどこか影を落としたような表情で答えた。

「あら」
「勇者さま、ガウル殿下。自分はちょっと野暮用で出るであります」
「はーい」
「おぉ、行って来い!」

リコッタの言葉に、シンクとガウルは快く送り出す。

「………」

だが、俺にはそれが嘘であると言う事が分かった。
どことなく表情が曇っていた。
おそらくは手にしている巻物が原因だろう。
その後、俺達は姫君の臨時ライブを見るのであった。

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『DOG DAYS~誤召喚されし者~』最新話を掲載しました。

こんばんは、TRです。

大変お待たせしました。
本日、『DOG DAYS~誤召喚されし者~』の最新話を掲載しました。
内容は原作と同じですが、所々変わってはおります。
さて、次はいよいよ送還の儀の話です。
時間的問題があるので、これはご都合主義になることは必至です。
果たして渉が選ぶ道とは?


それでは、これにて失礼します。

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