健康の意識 忍者ブログ

黄昏の部屋(別館)

こちらでは、某投稿サイトで投稿していた小説を中心に扱っております。

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『けいおん!~軽音部と月の加護を受けし者~』最新話を掲載

こんばんは、TRcrantです。

本日、『けいおん!~軽音部と月の加護を受けし者~』の最新話を掲載しました。
二日かかりましたが、何とか完成しました。
次も少しだけ時間がかかりそうです。
これでライブの話は終わり、年越しとなります。
ですが、まだまだです。
この後にオリジナルの話が控えています。
どのような内容になるのかは、読んでからのお楽しみということで。

さて、拍手コメントの返信を行いたいと思います。

『 いよいよライブだ。 うまくいくか心配です 』

コスモさん、拍手コメントありがとうございます。
というわけで、今回がそのライブの話です。
成功したのかどうかは是非ともご一読して確かめていただければ幸いです。


それでは、これにて失礼します。

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第98話 去る年、来る年

時刻は午後1時51分。
なんだかんだあって何とかセッティングシートを書き終えた僕たちは会場の観客側の方に立っていた。
ステージの方で行われているのはリハーサルだ。
他のバンドのリハーサルを見るのは様々なところで為になる。
例えば、どのような音作りをしているのか、どのようなエフェクトを使っているか等々例を挙げればきりがない。

「うわぁ、すごいエフェクターの数です」

梓はエフェクターの数に、律はマイクの方に関心を持っているようだった。
人が違えば関心を持つ方向も違うようだ。

(あれ? そういえば、唯はどこに……)

「ねえねえ律ちゃん、浩君。お菓子が売ってるよ~!」

そんな時、唯のはしゃぐ声が響き渡った。

「あ、これはCDだ。私たち売るもがないよね~」
「…………」

唯の言葉がものすごいとげとなって突き刺さってくる。

「あずにゃん、これに私たちは移るんだね! すごいすごい~」

大はしゃぎしている唯だが、僕たちは恥ずかしさでいっぱいだった。

「律」
「おおっ」

僕の呼びかけに、律は意味をくみ取ったのかすぐさま唯を抱えた。

「はいはい、外に出ましょうね」
「えぇ~、律ちゃん?!」

律によって強引に外に連れ出されていく唯とともに、澪たちもそそくさと退散していく。

「皆さん、どうもお騒がせしました~」

僕は会場にいる全員に謝りながら、会場を後にするのであった。










「ねえねえ、『放課後ティータイム様』だって!」
「分かったから、落ち着け」

未だに興奮冷めやらぬと言った感じではしゃぎ続けている唯を落ち着かせた。

「お茶にしない?」
「…………」

(ある意味ムギもすごいかもしれない)

なぜかバスケットに飲み物(おそらくお茶だろう)が入った水筒を手にしているムギに、僕は心の中でそうつぶやいた。
そんなこんなで僕たちは、いつものお茶会をすることになった。

「はぁ~、落ち着く」
「やっぱり、これだよな~」

落ち着くことには成功したが、これはこれで落ち着きすぎな気もする。

「良い匂い~」
「おいしそうだね」

そんな中、僕たちに声を掛けてきたのはリハーサルを終えたのか、ラブ・クライシスのメンバーと、セッティングシートのアドバイスをしてくれたばかりか、シートそのものを貸してくれたバンドの人たちだった。

「皆さんもご一緒にどうですか?」
「え? ……それじゃ」
「お言葉に甘えて」

ムギの予想外の提案に、一瞬戸惑いを見せた彼女たちだったが、頷くことで答えるのであった。
こうして、お茶会は予想に反して大きくなった。

「へぇ、それじゃ色々なコンテストに応募してるんですね」
「なかなか入賞しないんだけどね」

お茶がてら、僕たちは緑色の髪を伸ばしている女性たちの話を聞いていた。
なんでも、音楽を始めたが、いまだにコンテストで入賞する機会がないとのことだ。

「それでも、諦めないよ」
「そうだよね、諦めたらそこですべて終わりだもんね」

女性の言葉にラブ・クライシスのマキさんが続く。
外見は全く違うが、彼女たちの共通点は一つ。
彼女たちは、音楽が純粋に好きなのだ。
だからこそ、入賞できなくても音楽を続けていられる。
もしかしたら、それこそがミュージシャンとしての素養なのかもしれない。

(何か僕は重要なことを忘れていないか?)

待ったりとした時間が流れる中、僕はそんな疑問にさいなまれていた。

「放課後ティータイムさん! リハ、お願いしますよ!」
「あ……」

スタッフの人の言葉で、ようやく僕は忘れていたことが何かを思いだした。










スタッフの人に急かされる形で、僕たちは急いで会場の方に向かいセッティングを始めたのだが……

「ま、ままず何から始めればっ」
「セッティングだよっ!」

あたふたとしている唯に、同じく動揺している律が答えた。

(そう言えば、初めての外でのライブだったよね)

忘れていたが、これが彼女たちにとって初めての学園外で行うライブ。
ならば、ここまでテンパっているのも納得だ。

「そ、そうねっ!!」
「誰に言ってるんですか!」

誰もいない柱に向けて受け答えするムギも十分にテンパっていた。

「こら回るなっ! というか僕にリード線を持たせてどうする気!?」

テンパっているのが極限に達したのか周りをぐるぐるとまわり始める梓達を落ち着かせようとするが、なかなか落ち着かない。

(だ、大丈夫か?)

とてもじゃないが不安になってきた。

(というより、これはネタだよな?)

なぜか僕の服のポケットにツッコまれたリード線に、心の中でつぶやいた。
僕はとりあえずリード線を、ぐるぐる回る梓の手の中に一瞬のすきを狙って戻した。

「それじゃ、お願いします」
「は、はい!」

そんな状態も女性の一言で収まった。
その後は早かった。
セッティングも終わり演奏準備を整えた。

「そ、それじゃ……2曲目のふわふわを1コーラス、いきますっ」

律の宣言の直後、リズムコールが行われ唯がギターの音色を奏で始めた。
不安していたが、緊張の割にはちゃんと曲が演奏できている。
ただ若干音が堅いが。
そして、セッティングシートで明記した希望通りに、ミラーボールが動き出した。

「唯、歌っ」
「え? あっ?!」

ミラーボールに気を取られ、ボーカルを忘れている唯に一喝すると慌てた唯はマイクを顔にぶつけた。
ハウリング音が鳴り響く中尻もちをつく形で唯が倒れそうになるのを、僕は何とか片手で受け止めた。
だが、いったん崩れると止まらないのが世の定め。

「大丈――――」
「澪先輩!?」
「澪ちゃん!?」

慌てて駆け寄ろうとした澪がいつぞやのライブと同じように何かに足を取られたのか地面に転んだ。
さらにそれを防ごうとした梓とムギも続くようにこけた。

「お、落ち着けっ」

雪崩形式でダメになっていく典型例だった。

「大丈夫! 大丈夫!」
「しっかり落ち着いてもう一回!」
「がんばってー」

そんな僕たちに声援を送ってくれたのは一緒に参加している他のバンドのメンバーだった。
このライブは僕たちだけのライブではない。
ライブ自体を成功にさせるには、僕たちやこの場にいるバンドメンバーたちの頑張りが必要なのだ。

「……皆、もう一回!」
『おー!』

僕は唯たちに声を掛けて、もう一度リハをすることにした。
先ほどの大失敗で何かが吹っ切れたのか、今度はしっかりと演奏をすることができた。
そして、ついに大みそかライブの幕が開いた。

「それじゃ、頑張るぞ」
「お、おー」

ついに本番を迎えた僕たちは、再び気合を入れた。
澪の方も気合は入っている。
そして僕たちは薄暗いステージに出た。
全てのセッティングは終わっており、演奏の準備は万全だった。
曲の入りは律のシンバルの音が合図だった。
一気に照明が灯り、僕たちを照らし出す。
テンポが速く、難易度も少し高めだがそれでも唯たちはちゃんとそれを弾いている。
僕もバッキングコードではあるが、唯のボーカルに合わせて唯のボーカルをつぶさないように注意をしながら弦を弾き、ときにはリズムパートを弾いている梓と合流したりする。
それが、僕たちなりの演奏スタイルだった。
早いテンポでメリハリが弱い曲調に、唯の甘い歌声がうまい具合に合わさる。
この曲のボーカルは唯が一番しっくりと来ていた。
そしてこの曲一番の難所でもある間奏でのリードギターのソロがやってきた。
最初は伸ばしめで、後半は速弾きにも近いスタイルでの演奏を求められる。
僕と梓はただ音を伸ばすだけで簡単だが。

(本当に本番の時はいい演奏をするんだよな)

難なくソロを乗り越えた唯に、僕は心の中でつぶやいた。
ソロさえ乗り越えれば後はサビの部分のリフなので、難易度も高くなくなる。
そして唯のギターの音色で、この曲は無事に終わった。

「どうもー! 放課後ティータイムです!」

曲のあとにMCを入れたのは、僕の意見だった。
最初よりも、しょっぱなから曲にした方がインパクトが強くなるような気がしたのだ。
決して、僕がそう言うのが好きだというわけではない。

「私は、メインボーカルでリードギターの平沢唯です!」

MCの際の照明希望通り、唯にスポットライトが当たる。
そして拍手が送られる。

「そして、サイドボーカルでベースの秋山澪ちゃん」
「ど、どうも」

唯の紹介に澪にスポットライトが当たる中澪は観客に挨拶をする。
すると、観客からも惜しみない拍手が送られた。

「そしてキーボードの琴吹 紬ちゃん」
「こんにちはー」
「次がドラムの田井中 律ちゃん」
「どうもー!」

次々と唯はメンバー紹介をしていく。
ちなみに、当初はフレーズを入れようとしていたが、僕の方で却下した。
印象度は強くなるが、かなり恥ずかしくなりそうな気がしたからだ。
特に澪が。

「リズムギターの中野梓ちゃん」
「こ、こんにちは」

梓にとってこれが二度目のライブ。
緊張の色は隠せない様子だった。

「そして最後が、もう一人のサイドボーカルでバッキングギターの高月 浩介君」
「どうも」

僕は右手を挙げて紹介に応じた。
拍手が聞こえるが、その中に慶介の姿を見つけた僕は、少しだけ心強く感じた。

「それじゃ、次の曲。ふわふわ|時間《タイム》!」

そして次の曲が始まった。










「名残惜しいですが、次で最後の曲になります。聞いてください。Don't say lazy」

唯のMCが合図となり、スティック同士が合わさる音が鳴り響く。
その直後、ドラムのフィルで曲の演奏が始まった。
キーボードの音色とパワーのあるドラムに目立たず、されど力強いビートが絡み合い、さらにそこにギターの音色が合わさる。
そして僕と澪の歌声もそれに乗っかった。
Bメロに差し掛かった瞬間、これまでのギターの音色が大きく変わった。
これまでの軽く薄い音色から、甘く深いギターの音色へと変化したのだ。
これもひとえに梓が加わったことによるものだった。
そして、間奏に入ってくる。
ピックスクラッチから始まる梓のギターソロは、僕の時とは違い優美な雰囲気を思わせるのに十分だった。
そして駆けるようにして演奏は終わった。
それは、僕たちの外での初ライブが無事に終わったことを意味していた。
そして惜しまない拍手に包まれながら、僕たちはステージを後にすると次のバンドのメンバーに、バトンタッチするのであった。










「うぅ~ん。終わったぁー」

大みそかライブも無事に終わり、星空が輝く空の元腕を伸ばしながら唯は声を上げた。

「お疲れ様」

そんな僕たちに労いの言葉をかけてくれたのは、観に来てくれていた憂達だった。

「あ、皆。待っててくれたんだ!」
「お姉ちゃん! すっごくよかったよ!」

唯の下に駆け寄った憂は感動冷めやらぬと言った様子で感想を口にしていた。

「本当、恰好よかったわよ。皆」
「……ありがとう」

真鍋さんの感想に、唯はとてもうれしそうにお礼を言っていた。

「浩介ー」
「なんだ、まだいたのか」

僕に声を掛けてきた慶介に、僕はジト目で返した。

「おいおい、せっかく来たのにそれはあんまりだぜ」
「で、どうだった?」

慶介の言葉を無視して、僕は感想を求めた。

「いやー、感慨深いと思ってな。あの浩介がいるバンドの演奏が」
「そりゃどうも」

”あの”には僕がDKであることが含まれている。
その後、外に出てきてファンに囲まれたラブ・クライシスに労いとお礼の言葉をかけるのであった。





僕は、少し離れた人気のない場所に立っていた。
目の前にはラブ・クライシスでドラムをやっているマキさんの姿があった。

「それで、話って何?」

帰り際に呼び止められた僕は、話があるということで彼女に人気のない場所まで連れてこられたのだ。

「単刀直入に言うね。君、DKさんでしょ? H&Pの」
「……………」

マキさんの言葉に、僕は無言を貫いた。
それだけでもすごいことだ。
何せ、内心動揺しまくりだったのだから。

「うまく隠したつもりだったんだけど」
「確かにね。でも、会った時からなんとなくそうじゃないかなって思ってたんだよ。だって、私の顔を見て驚いたような表情をしたし、何より口調とかが一緒だから」

いくら僕でも、口調まではごまかせない。
些細なところから気づく彼女も、十分にすごい人だった。

「決定的だったのは、リハーサルの時の君の態度」
「態度?」

マキさんの指摘に、思わず首をかしげた。

「他の皆が緊張で動揺しているのに、君だけは堂々としていて、余裕そうな感じだった。だから、かなり場慣れしてると思った」
「………」

もはやここまで来ると反論のしようもなかった。

「あ、心配しないで。君のことは誰にも話さないから」
「そうだと助かる」

僕は彼女のことを信じることにした。
律の友人だからというのもあるが、この間のライブでズバズバと切り込んでいった彼女が馬鹿げた真似をするようには思えなかったからだ。

「ただ、一つ聞いていい?」
「どうぞ」

真剣な面持ちで訊いてくる彼女に、僕は先を促した。

「どうして、プロのレベルのあなたが、アマチュアバンドで演奏をするの? もちろんだけど、彼女たちは将来プロになる可能性があるけれど、でも聞いておきたい。どうしてプロのあなたが、そこにいるのか」
「……………彼女たちは僕や君たちが知らない何かを持っている。だからだ」

マキさんの問いかけに、僕が言えたのはそれだけだった。

「それが何なのかは僕は知らないけれど、それはきっとどのバンドにも劣らないと、僕は信じてる」
「………………」

僕の返答に、しばらく無言だった彼女はゆっくりと口を開くと”そう”とつぶやいた。

「ありがとう。何となくわかったわ。それじゃ、またいつか」
「ああ。またいつか」

皆を待たせているからか、駆けていく彼女の背中を見送ると、僕は平沢家へと向かう。
律曰く、”年越しは一緒にいるぞー”とのことだった。

「はぁ……今年も終わりか」

満天の星空の中、僕は静かにつぶやくのであった。










『はーい!』
「高月だけど」
『今開けますね』

呼び鈴を鳴らした僕は、インターホンから聞こえる憂の声に名前を名乗ると、声から少ししてドアが開いた。

「遅れてすまない」
「いえ、大丈夫ですよ。あ、コートもちますね」

僕からコートを受け取った憂は横に置いてあった衣文かけにコートをかけた。

「今ちょうど年越しそばが出来上がったところなんですよ。浩介さんの分もあるので、よければ一緒に食べませんか?」
「へぇ。それじゃ、ご相伴にあずかろうかな」

憂の言葉に僕は言葉に甘えることにした。
そして、憂に言われてリビングに向かったのだが……

「ほら、虎ビキニもあるわよ」
「いやです!」

なぜか虎耳のヘアバンドをつけている梓の姿があった。

(虎耳も似合うな)

口にしたら色々な意味でまずい事を呟く。
それほどまでに似合っていたのだ。
もはや才能なのかもしれない。

「そんな才能いりません!」

そんなツッコミがありながら、僕たちは憂が持ってきた年越しそばをごちそうになるのであった。










「あぁ~、またババだ」
「そういう時は心の目で読むんだっ、唯」
「了解であります! 律ちゃん隊長!」

(ババ抜きで心の目を鍛えるって……)

出来たらすごいかもしれないが、ある意味シュールだった。
僕は開始後一番に上がってしまい、手持無沙汰だった。
そもそも最初にババを持っていたのは僕だったりする。
横が梓だったので、僕はあえて心理戦で挑んでみた。

(ババで悲しんで、それ以外の適当なカードで喜ぶ、ベタな方法に引っかかるとは)

ババをひいたときの梓の固まった表情は、今でも記憶に新しい。

(にしても、今日はいろいろなことがあったな)

ふと思い返してみる。
ライブで出会った様々なバンドメンバー。
彼女たちは、唯たちにある意味でいい影響を与えたと言っても過言ではない。

(本当に今年はいい一年だった。)

新しい部員、中野梓を中心に発生した問題。
そしてその後僕の正体で発生した二つの問題。
さらにはどうしようもない男が出てきたりしたり、時間が何度も繰り返されることになったこともあった。
これらの事件や出来事は、何がしらかの形で僕たちを成長させているのかもしれない。
だからこそ、僕は恋人を得た。
初めて、これから先の毎日を共に歩んでいこうと思える人と巡り合えた。
きっと僕は幸せだ。
それはみんなも同じだと信じたい。

(来年も、もっともっと……)

そこまで考えた僕の意識はゆっくりと黒く染まり始めた。

(そう言えば、ライブで疲れてたんだっけ)

初めての外ライブだ。
僕とて緊張くらいはする。
尤も、唯たちがちゃんと演奏ができるかどうかという意味ではあるが。
そしてそのまま僕は眠りにつくのであった。










「浩君、起きて。浩君!」
「んぅ……一体何?」

僕は唯によってたたき起こされた。
未だにしっかりとまわっていない頭で周囲を見渡す。

「初日の出を見よう!」
「…………」
「浩君! 寝るなー! 寝たら死ぬぞーっ」
「ッタッタッタ!?」

唯の言っている意味が理解できずにいると、眠ったと勘違いした律の高速ビンタが炸裂した。
ちなみに、今のは律の声帯模倣だ。
いくら僕とて、騙されない

「おはよう、浩介!」
「……おはよう、律。非常に過激なモーニングコールをどうも」

僕は律へと殺気をぶつける。

「あ、あれ……ばれていらっしゃる!?」
「後で少しお話をしましょう。田井中さん?」
「ひぃ!?」

加減を忘れたので、いつもより強い殺気を律にぶつけてしまった。
顔を青ざめさせた律をしり目に、僕はゆっくりと立ち上がった。

「唯、寝癖がついてるぞ」
「えぇ!? ホ、本当?!」

目に留まったのは寝癖なのか、髪の所々がぼさぼさになっている唯の姿だった。

「ほら、直すからじっとしてな」
「あ、うん。ありがとう」

手クシではあるが、唯の寝癖を直していく。

「年が明けてもバカップルは変わらずか」
「でも、二人とも幸せそう♪」
「はいっ」
「うるさいぞ、そこ」

周りではやし立てる澪たちに、僕はそう言い放つのであった。










最後まで起きなかった山中先生をそのままにしておき、僕たちは唯に先導される形で高台の方へと向かっていた。

「さわちゃんはあのままで良かったの?」
「いいんじゃない? あんなでも一応教師なんだし」

唯の言葉に、先に上に上がっていた僕は少し高めの段差があったので唯を引き揚げながら答えた。

「浩介ってたまに辛口だよな」
「そう?」

律に指摘されるが、僕にはそれほど自覚がなかった。

「うわぁ……」
「きれい」
「ここ穴場なんだ~」

澪たち感嘆の声を上げるので、改めて初日の出に目をやると、山々の間から日光が顔を出していた。
それは確かに幻想的な景色だった。

「それじゃ……ごほんっ」

そんな中、澪は僕たちの集中を集めるように咳払いをする。

「あけましておめでとう」

それは新年恒例の挨拶だった。

『あけましておめでとう』

そして僕たちもそれに応じた。
そんな日常の一幕だが、少しだけ気になることがあった。

「ところであずにゃん」
「はい、なんですか? 唯先輩」

それは同じだったようで、唯は笑みを浮かべながら梓に声を掛けた。
かわいらしく首をかしげている梓に、唯はそれを口にした。

「いつまで付けてるの?」
「え? ………にゃ!?」

自分の頭を指差しながら問いかける唯につられて自分の頭に触れた梓はようやく頭につけっぱなしの虎耳に気付いたようだ。

「ど、どうして誰も言ってくれないんですか!!」
「だって、似合ってたから」
「一種の才能だな。それ」
「あぅぅぅ……」

梓にとってはある意味あれな新年になってしまったが、これもある意味放課後ティータイムらしかった。





ちなみに、これは余談だが。

「どうして連れてってくれなかったのよ!!」

と、戻った時に憂特製のおせち料理を口にしながら抗議をしてくる山中先生の姿があった。

「初日の出を見れば今年こそ恋愛運アップになるかもしれなかったのに!」
「結局そこですかい」

どこまで行っても山中先生は山中先生だった。

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『けいおん!~軽音部と月の加護を受けし者~』最新話を掲載

こんばんは、TRcrantです。

本日、『けいおん!~軽音部と月の加護を受けし者~』の最新話を掲載しました。
今回はついに番外編のライブの話になります。
果たして、無事にライブを成功させることができるのか。
詳しくは次話以降となります。
そして本日で実質的に毎日更新は終了になりますが、継続的に投稿していきますので、温かい目で待っていただければ幸いです。

さて、拍手コメントの返信を行いたいと思います。

『次は外ライブですか。 何かが起こりそうな予感がします』

コスモさん、拍手コメントありがとうございます。
初めての外ライブなので、何も起こらないはずがなかったりします。
毎日更新終了となってしまい、大変心苦しくはありますが、次話の完成まで、今しばらくお待ちください。

大体午前1時を過ぎても掲載されないようならその日は更新なしと思っていただいて構いません。


それでは、これにて失礼します。

拍手[0回]

第97話 プレゼントとセッティング

終業式の帰り道、

「あ、見てみて」

夕日が差し込む中、帰路についていると何かを見つけたのか唯が駆け出す。

「どうしたんだ?」

そこは何かのお店のガラス窓だった。
唯はそれを興味深そうに覗き込む。
お店の中というよりは、窓ガラスに張られたポスターだが。

「へぇ、こんなところにも張り出されてるんだ」
「私たち、これに出るんだよね?」
「がんばろうな、梓」
「はいっ!」

僕たちは大みそかライブの開催を告知するポスターを前に、再び心を入れるのであった。

「あ、他にはどんな人が出るんだろう」
「うっ!?」

唯の言葉に、澪のうめき声が返ってきた。

「澪先輩!?」

声の方を見ると、地面にうずくまっている澪の姿があり、それを目の当たりにした梓が驚きの声を上げる。

「あー、澪は極度の人見知りだから」

そんな梓に、律は苦笑しながら口を開いた。

(本当に大丈夫か?)

澪の姿を見ていると、そんな不安を感じてしまう僕なのであった。










それから数日が過ぎ、12月25日を迎えた。
この日はクリスマス。
恋人たちが幸せに過ごすまさに恋人のためにあるのではないかと思わせる日だ。
とはいえ、恋人がいない者にとっては拷問にも等しい。
それは、戦争を起こすほどだ。
そのような戦争が発生しても、恋人たちは楽しい一日を過ごす。
ある者は楽しげに話し、ある者は腕を組んで歩いていく。
僕たちもその例に漏れていなかった。

「えへへ~」
「全く、さっきから頬が緩みっぱなしだ」

僕と腕を組んで歩きながら笑みを浮かべている唯に、僕はため息交じりに注意した。

「だって、浩君に初めてもらったプレゼントだもん♪」
「そんなたいそうなものじゃないけど」

唯がうれしそうなのには理由があった。
それが唯の手の中にあるやや大きめの箱だった。
中には僕お手製のVシステムが内蔵された眼鏡(度なし)がと取扱説明書が入っている。
それには転送機能はついていないが、通信だけならできるようになっている。
ちなみにエネルギーは毎晩午前3時に余剰体力からひかれたものとなっている。
人間は様々な要因で体力が有り余った状態で眠ってしまう。
しかも寝ている間に体力は自然と目減りしていくので、かなりもったいなかった。
それを利用して、放出される体力を吸収してエネルギ―に変換させるようにしたのだ。
これによって、体力を強引に吸収して、朝起きたら気怠くなると言った症状は起こらない。
ちなみに、効率だが唯ぐらいならば一日で約2時間程度の通信が可能になるだろう。
使わなければ使わないだけ時間も増えていく。
当然だが、これは魔界の技術だ。
中にある物は唯には伝えていないが、注意書きの方で何度も何度も人目のあるところで使用しない旨のことを書いている。
変に技術が漏れると危険だからだ。
そんな危険を冒してまで僕が唯にそれをプレゼントしたのは、もし離れ離れになるようなことがあってもいつでも話をすることができるようにするという理由からだ。
当然だが、離れ離れになるという確証はないし、予定もない。
だが、何が起こるかがわからないのが人生。
もしかしたらそういう事態になるのかもしれない。
その時の対抗策をあらかじめ用意しておくことにしたのだ。

「あ、お姉ちゃんに浩介さん」
「あ、憂~」

そんな中、僕たちを見かけたのか、声を掛けてきたのは憂だった。

「買い物の帰り?」
「はい」

手にある買い物袋で、何をしていたのかがわかった僕の問いかけに、憂は頷いて答えた。

「あ、そうだ。憂にもクリスマスプレゼント」
「ありがとうございます。浩介さん」

僕は憂いのために用意しておいたある物を入れた小さな箱を、憂に手渡した。

「むぅ~」
「むくれるな。憂のは唯のとは意味が違うから」

憂にプレゼントを渡したことに面白くないのか頬を膨らませる唯に、僕は苦笑しながらそう告げた。

「……だったら、良い」

渋々ではあるが唯も納得したようだった。
ちなみに、憂にプレゼントしたのは『緊急呼び出し装置』だ。
これは、シンプルに黒縁の箱にてっぺんにある赤いボタンというシンプルな形状だ。
効果は文字通り、何らかの身の危険を感じた際にそのボタンを押すことで、僕の方に連絡がいくようになっているというものだ。
この装置のすごいところは、ただ連絡するわけではないことだ。
それは転送機能があるということ。
具体的には僕がこの装置のある場所まで転送ができるようになる。
もちろん、ボタンが押されないとできないが。
だからこそ『緊急呼び出し装置』なのだ。
連絡があった瞬間に、僕は転送して現場に向かい危険を排除する。
そのための装置。
色々とずるい装置ではあるが、これも恋人の家族という特権だ。
それに、もしかしたら唯の窮地の時に一緒にいるかもしれないので、悪い話ではない。
そんなこんなで、僕のクリスマスプレゼントは結局発明品ということになったのだ。

「それじゃ、僕はここで」
「うん。またね、浩君」

名残惜しくはあるが、家の前に到着してしまったため、僕はなくなく唯から離れた。
そして僕は唯たちと別れ自宅へと戻るのであった。










それから6日経った12月31日。
暦の上では大みそか……今年最後の日を迎えた。
僕たちは大みそかライブの会場でもある『LOVE PASSION』へと向かっていた。

「お疲れ様です」
「ど、どうも」

ライブハウスの前にはすでに数人の人がいて、こちらに気付いたのか礼儀正しく一礼して声を掛けてきたので、それに律が応じた。

「あれってなに?」
「たぶん、これに出場するどこかのバンドのファンだと思う」

数は少ないが、ファンを有しているのはすごいことでもありバンドのメンバーにとっては励みとなる活力の源のようなものだ。
そして僕たちは階段を下りてライブハウス内に向かう。

「おはようございます。うっ!?」

挨拶をしながらドアを開いた律は、目の前の光景に息をのんだ。
そこには出場者と思われる人物の姿があった。
顔に切れ込みのようなメイクを施していたりする者や、赤い髪の女性等々、威圧感が半端ないほど強かった。

(これはなかなかにして個性的だな)

現に澪は逃げようとしているし。

「おはよーっす」
「おはよう」

だが、外見とは裏腹にフランクな感じで帰ってきた。

(中山さんみたいなタイプかな)

中山さんの場合、外見は違うが正確はかなりフランクだったので、あながち間違いではないのかもしれない。

「律ちゃん、澪ちゃん!」

そんな中肌色のフード付きの上着を着てサングラスのようなものをつけていた青髪の女性が、眼鏡を外すとこちらに駆け寄ってきた。

「マキちゃん!」

(あ、ラブ・クライシスのドラムの人だ)

ズバズバと意見を出していた人でもある。
この人がいなければ、プロジェクトは進化しなかったはずなので、発起人のような存在だ。
しかも、何がすごいかと言えば、意見を出してくれたお礼状を送ったところ、”お礼を言われるようなことはしていない”と言った趣旨の返事が返ってきたところだろう。

「紹介するね。ラブ・クライシスでドラムのマキちゃん。今回このライブを紹介してくれた人」
「どうも、うちの律ちゃんがお世話になっています!」
「お前は律の母親かっ」

何度も頭を下げる唯に、僕はため息交じりにツッコんだ。

「こっちがベースの綾。澪ちゃんの大ファンなんだ」
「この間のライブ、澪さんの演奏はとてもかっこよかったです!」

同じベース担当だからか、それとも澪の持つ魅力か、ファンがいるというのはすごいことだ。

「え? ライブに来てくれたの!?」
「あ、遅れて来た子」

唯が驚きに満ちた声を上げると、唯の顔を見た銀色の髪の少女がそうつぶやいた。

(こんなところまで尾を引くんだね)

しょうがないとはいえ、ある意味強烈なイメージが残っているような気がした。

「すみません! すみません!」

何度も頭を下げて謝る唯だが、頭を下げる度に背中にあるギターからの風圧で髪が煽られているのだが、本人はそのことに気付いている様子はなかった。

「いえいえ、とっても楽しいライブでしたよ」
「っ!?」

そんな少女の言葉に、今度は顔をにやけだした。

「え、えっと……」
「知らない人からライブをほめられたことがないから……たぶん」
「気にしないで上げてください」

困惑するベースの少女に、僕と律はさりげなくフォローをすることにした。

「あ、そうだ。良かったら、見に来て」
「今度は単独ライブする予定だから」
「あとこれも良かったら」

二人の少女から渡されたのは次のライブを開く告知のチラシと、CDだった。

(これで彼女たちは参加権を失くすけど、既に上に向かっているようだし問題はないか)

願わくば、彼女たちもこれをきっかけに次のステップが踏めるようになってほしいものである。

「それじゃ、またあとで」
「ま、また……」

僕たちに手を振って去っていく彼女たちに、律たちは半分生返事っぽく返した。

「何だか、私たちと意気込みが違うな」

(そりゃそうだ)

僕たちはあくまでも部活レベルでの音楽活動をしている。
それはいい加減とかではなく、もっと根本的なものが違うのだ。

「そうだ! ロゴマークなんてどうかな?」
「ロゴマーク?」

突然提案する唯に首をかしげる僕をしり目に、唯は自分の手のひらにペンで何かを書いていく。

「こんなのとかどう?」
「それは温泉!」

自信満々に掲げた掌に書かれていたのは、温泉マークでおなじみのものだった。

「えぇー!?」
「だったら、ティーカップを書いてみたらどう?」

ショックを受けたような表情を浮かべる唯に、ムギが提案した。

「おぉー、待ったりお茶するいい感じになった」

改めて書き直した唯が見せたのはティーカップから湯気のようなものが出ているロゴだった。
確かに、これならいいのかもしれない。

「私のスティックにも書いて」
「それじゃ、私はピックで」
「僕もピックに書いてもらおうかな」
「皆でお揃いだね~」

次々にせがまれる唯は、みんなとお揃いなのがうれしいようだった。

「それじゃ、ミーティングを始めるわよ」

そして書き終えた頃に、案内をしてくれた女性の声が聞こえた。
僕たちはお互いに頷き合うと、手を上げて気合を入れるのであった。










「私たちは二番目だね」
「二番目か……」
「澪的には最初がよかったか?」

話し合いの際に公開された演奏バンドの順番に微妙な反応をしている澪に疑問を投げかけると、凄まじい勢いで首を横に振った。

「それじゃ、何番目がよかったんだ?」
「えっと……」

律の問いかけに、澪は視線を色々な場所に向けるだけで応えようとはしなかった。
結局、何番目だろうと緊張することに変わりはないみたいだった。

「すいません」
「あ、はい」

そんな時、ライブハウスのスタッフの人だろうか、男の人がこちらに駆け寄りながら声を掛けてきた。

「こちら、バックステージパスです」
「あ、ありがとうございます」

6枚のバックステージパスを受け取った律は、別のところにかけていく男の人の背中にお礼の言葉をかけた。
バックステージパスとは、簡単に言ってしまえばステージのそでや楽屋などに入る時に必要なものだ。
つまり、関係者であることを証明するもので、貼っていないと楽屋などに入ることすらできなくなる。

「あ、あの人すごいよ」
「あれは強者だな」

近くにいた人のギターケースに貼られている使用済みのバックステージパスの数々に律は感心したような声を上げる。
相当な場数を踏んでいる証拠だった。
ちなみに、僕の場合はバックステージパスは専用のファイルに貼ってある。
ギターケースに貼るのはさすがにあれだったからだ。

「それじゃ、これが私たちにとっては最初の一枚だね」
「そうだな……」

唯がつぶやいた言葉に、僕は静かに相槌を打った。
厳密に言えば、僕は数えきれないほど場数を踏んでいる。
だが、”放課後ティータイム”の高月浩介としては、これが最初のライブハウスでのライブとなる。
それだけに感慨深いものがあった。

「それじゃ、ペタッと」
「唯、それは自分に貼ってないと意味がないから」

ギターケースに貼る唯に、僕は苦笑しながら指摘した。

「えっと、それじゃ……」
「なぜそこに貼るっ!」

自分の足に貼った唯に、律がツッコんだ。

「それじゃ、ここにペタッと」
「「湿布かっ!」」

肩の方に貼った唯に思わず梓と突っ込むタイミングが揃った。
最終的には左腕の方に貼ることで落ち着いた。

「何だか無難な位置だよね」

本人はあまり納得していない様子ではあったが、そこがしっくりくる。
僕は唯と同じく左腕に貼っていた。

「あ、それよりもセッティングシートを書こうぜ!」

それぞれがバックステージパスを張り終えたところで、律はそう提案すると床にセッティングシートを置いた。
セッティングシートは曲名や曲調、テンポに著作権やら音響等々さまざまな事柄を明記していく必要がある。
それを基にライブハウスのスタッフが演奏中に演出をしていくのだ。
セッティングシートをバカにしていると、セッティングシートに足元をすくわれるという事態にもなりかねない。
そんな中、律はさらさらっと、曲名を書いていく。
曲順はこんな感じだ。

――

1:私の恋はホッチキス
2:ふわふわ時間(タイム)
3:ふでペンボールペン
4:Don't say lazy

――

「えっと、曲名や曲調はいいとして、照明イメージはどうしようか……」
「うーん。どう書いたらいいんだろう」

僕はあえて何も言わないようにした。
こういうのも経験だ。
頭をひねって考えれば曲に対しての理解も深まる。
そして、次のライブではさらに向上することができるかもしれないからだ。
僕がアドバイスをするのは、律たちが聞いてきたときだけだ。

「ちょっと聞いてくるね!」
「へ?」

唯の予想外の行動に、一瞬頭の中が真っ白になっている僕をよそに、唯は立ち上がるとどこかに向かっていった。
そこは先ほど入った時に一番インパクトの強かったトサカヘアの女性たちの下だった。

(怖い人のところに聞きに行くというのは勇気がいるだろうに……)

ある意味唯らしかった。

「なんだか”元気な感じで”とか”ポップな感じ”って書いてたよ!」
「それじゃ、うちもそんな感じで」

何はともあれ分からないところが無くなった律は、セッティングシートに記入をしようとしたところで、

「ちょっと待って」
「どうしたんだ? 澪」

突然それを遮った澪に、律が首をかしげた。

「うちは、全部ピンクがいいっ」
「ピ、ピンク……ですか?」

澪の提案に、梓が引きつったような声を上げる。
言いたいことは分かる。
僕だって言いたいほどだ。

「ダメ……かな?」
「そ、それじゃ、ふわふわのさびの部分はピンクで!」

うつむいた澪に、律があわてて声を掛けた。

「あ、あのミラーボールも使おうよ!」
「それじゃ、前奏とかに使おうぜ」

なんだかんだあったが、何とか形になりつつある。

「それで、私にピンスポットを当ててもらおう!」
「却下!」
「そうですよ! メンバー紹介の時に一人ずつ当ててもらいましょうよ!」

僕の反対意見に賛同するように梓も続いた。
ある意味個性的な意見だったような気がする。

「音響イメージってどんなのかな?」
「待っててっ」

(せめて僕の方に視線を向けるとかしてよっ)

知ったかふうに思われるのが嫌なのもあるけど、自分で決めたこととはいえかなりむなしかった。

「”りヴぁーぶをください”とか、”ボーカルをください”って書いてたよ」
「それじゃ、こっちもそんな感じで……MCはどこに入れるの?」

聞き終わった唯の言葉に、律はさらさらと書いていくが今度はMCの部分で躓いた。

(まさかね。三度目はないよね?)

「行ってくる!」

両腕を構えて力む唯は、そのまま先ほどのバンドのところに向かっていった。
そして再び聞いてくる唯はすぐに戻ってきた。

「なんか、書き終わったから参考にしていいだって」
「おー、それはとっても心強い! ―――――ってえぇ!?」

唯の手にあるのは数回も聞いてきたバンドのセッティングシートだった。

「「すみません、すみません」」
「ありがとー」

慌てて何度も頭を下げる僕と律とは対照的に、唯は満面の笑みでお礼を言っていた。

(な、何だかもう馴染んでる)

ある意味唯は最強かもしれない。
そんなこんなで、いろいろあったがセッティングシートを書き上げていくのであった。o

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『けいおん!~軽音部と月の加護を受けし者~』最新話を掲載

こんばんは、TRcrantです。

本日、『けいおん!~軽音部と月の加護を受けし者~』の最新話を掲載しました。
今回よりライブの話へと突入します。
この話が終わればついに3年生編に突入します。

さて、拍手コメントの返信を行いたいと思います。

『大変ですね』

コスモさん、拍手コメントありがとうございます。
確かに大変です。
何が大変かといえば、次々話の小説が消えてしまったことです。
現在、書き直している最中ですが、心がおれそうです(汗)
なので、毎日更新は明日で最後になりそうです。


それでは、これにて失礼します。

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